背筋を伸ばす?


「亀バック」と「バックマウント」


 最近、かつて一緒にグラップリングを練習していた(が、更なる高みを目指して他所のジムへ移籍した)子達だけでなく、ウチの道場で一緒に稽古している若者もMMAの試合に出るようになった。

 私自身はMMAをやった経験がないし、「見る専」で知ったかぶりをするのが嫌いなので、これまで(プロの)MMAの試合は見ないようにしていた。

 だが、知り合いが出るとなると話は別である。
 彼らの試合がLIVE配信されるような時は、前後の試合もついつい見てしまう。

 アマチュアMMA(以下、「MMA」という単語は、全てアマチュアの試合を指す)の試合を見ていて、何度か同じ光景に出くわしたので、今回はそれについて思ったことを書きたい。

 相手のタックルを切って「がぶった」状態、もしくは、こちらから仕掛けたパスガードが成功し、相手がマウントを取られるのを嫌がって亀になった状態から、「亀バック」に入れる事がある。

 「亀バック」と言っても・・・後述する「バックマウント」と同様に・・・日本語として定着しておらず、あくまでも私の周りで用いられている言葉に過ぎないが、ここでは、亀になった相手に対して、自分の両足を相手の腰に差し込んでいる状態を意味している。

「亀バック」の状態

 統計があるわけではなく、印象論に過ぎないが、ブラジリアン柔術(BJJ)と比べると、MMAの試合の方が「亀バック」に入るチャンスが多いように感じる。

 「亀バック」に入ると、セコンドから決まって「伸ばせ!」という指示が飛ぶのだが、「亀バック」から「バックマウント」・・・相手を伸ばして、完全に這いつくばらせた状態(下画像を参照)・・・に移行したくても、具体的に何をどうすればいいのか?指示する方もされる方もあまり分かっていないと感じる事が多い。

「バックマウント」の状態

 あくまでも「私が見た範囲内」ではあるが、「亀バック」から「バックマウント」に移行したMMAの試合を見たことがなく、「亀バック」で膠着しそうになったら、すぐに別のアタックに切り替えている選手がほとんどである(その理由のひとつには、MMAにおける1Rの時間が3~5分と短いせいもあるだろう)。

 かくいう私も、昔BJJの試合で一度だけ「亀バック」に入れた事があったものの、当時の私は、相手をどうやって伸ばしたらいいのか分からず、結局「バックマウント」が取れなかった。

 「亀バック」から相手を伸ばして「バックマウント」に移行する、という技術は「知識として知っていれば簡単」だが、「知らないと一生分からない」かもしれない。

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