サッカーを理解する/サッカーの構成要素とは



1.サッカーとは複雑である


まず初めに、サッカーとはどのような要素で構成されていますか?と聞かれた際、何を思い浮かべるだろうか。

ドリブル、トラップ、パス、シュート…etc
それだけではサッカーを理解するには少し物足りない。

サッカーの構成要素として、戦術的ピリオダイゼーション理論を中心に多くの場面で使われている、「4局面3次元」というものがある。

引用:https://www.footballista.jp/special/68558
戦術的ピリオダイゼーション総論。ゲームモデル=「複雑系」への対応

ここにフィジカルと、プレーのフェーズである「認知・(分析)・判断・実行」が追加される。
さらには環境的要因も関係する。(ピッチコンディションや気候、気温)

まとめると
・4局面
ボール保持、ボール非保持、ネガトラ、ポジトラ
・3次元+1
戦術、技術、心理状態、フィジカル
・フェーズ
認知、(分析)、判断、実行
・環境
ピッチコンディション、気候、気温

これらが複雑に関わり合い、相互作用の上で成り立っているのがサッカーである。


2.サッカーの捉え方(要素還元論と全体論)


もちろんしっかりと勉強されている方は例外だが、ざっくり分けると、
日本=要素還元論
世界=全体論
である。

・要素還元論:全体は複雑なものでも、それらを構成している一つ一つの要素に分解し、それぞれを個々に理解(解決・レベルアップ)すれば全体を理解(解決・レベルアップ)できるという考え方。
全体論:全体は要素の相互作用によって生まれているものであり、それぞれを分解したところで、全体は把握できないという考え方。

もちろんトレーニングの考え方も異なる。
・要素還元論

=技術、フィジカル、メンタル、戦術それぞれを個別にトレーニングし、全てのレベルが上がればサッカーは上手くなる。
・全体論
=それぞれは繋がっているため、同時にトレーニングしなければ意味がない。

もう少し解像度を高める為に、ひとつ例を上げてみる。

例1)後半ラストの決定機を外してしまった試合後の分析
・要素還元論

シュート技術が低いからシュート練習をしよう。
後半走りきる体力が無いから、体力をつけよう。
=分解して個々でトレーニングを行う。

・全体論
(技術‐メンタル)
大会の決勝で緊張した?
負けていたから過度なプレッシャーがかかった?
ここ数試合決めきれない状況が続いており、自信が無くなっている?
(技術‐フィジカル)
後半ラストの場面で疲労が溜まっていた?
気温が高く、体力の消耗が激しかった?
(技術‐戦術)
ポゼッションしてくる相手へのプレスの掛け方がハマらず、走らされた結果、アタック時の体力が無くなってしまった?
=サッカーを全体の繋がりで捉え、サッカーのままトレーニングする。

一つの要素にフィーチャーするのではなく、前後の繋がりを認識しなければならない。

単純な反復練習でつけた技術と、様々な要素が複雑に作用しあっている状況で必要な技術は全く異なる(転移できない)ということを念頭に置いておく必要がある。

何度も申し上げるが、このようにサッカーはそれぞれの要素が互いに作用しあってできている複雑系であり、有名な言葉を借りると
「サッカーはサッカーをすることで上達する」ということである。

サッカーを文章に置き換えると、
単語だけを理解して読み解くのが要素還元論。
接続詞や前後の文脈など文章を全体で捉え読み解くのが全体論。

単語だけで見ると良くない意味でも文脈で見るとそうでない場合もある。
サッカーにおいて重要なのは、いくつの単語を把握・理解しているかではなく、前後の文脈を読み取る力だ。

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