サッカートレーニングの考え方/学ばせることの重要性



1.トレーニングの種類


トレーニングは大きく分けて3種類存在する。
・アナリティクストレーニング(実行のみ)
対面のパスコンやコーンドリブル等、相手がいない反復練習
・グローバルトレーニング(認知〜実行)
ロンドや2vs1等の相手がいるトレーニング
・インテグラルトレーニング(認知〜実行+フィジカル+メンタル+戦術)
グローバルに、チームのゲームモデルを加えたトレーニング

日本で最も行われているのは、アナリティクス(反復練習)である。
所謂、対面パスやコーンドリブル等、相手がいない状況での技術のみに特化したトレーニングだ。
初学者に対してや特定の動きを習得させたいときには多少取り入れる必要もある。

しかし、前回の記事で紹介したサッカーの構成要素の中で実行(技術)しか使用していないこのトレーニングが、果たしてサッカーかと言われると疑問は残る。

よく「日本人はボールフィーリングは上手いが、サッカーは下手だ」と言われるが、反復練習のみにフォーカスしすぎた代償だろう。

例えば3vs1ロンド(鳥かご)を小学2〜3年生を対象に行うとしよう。
日本的な考え方であれば、「まともにボールを蹴れないのに、そんな複雑な練習は難しすぎる」と考えるだろう。
それも一理ある。
しかし、ヨーロッパでは「脚が使えないなら手を使えばいい」と考えられる。

要は、彼らはボールフィーリングよりも認知や判断が重要だと考えており、実際に育成の現場を見てをそう感じさせられる事が多い。
ボールフィーリングは、高学年や中学生になってからも、ある程度修正やスキルアップは可能だが、認知や判断の部分をこの年代からから身に付けさせるのは中々難しい。

ただし、勘違いしないでいただきたいのは、全てはバランスと現場での観察が必要だということだ。
結局サッカーは脚でボールを扱う為、もちろんボールフィーリングも必修スキルである。

選手の質や特徴に合わせて対応していくことが最も重要である。


2.エコロジカルアプローチとは/制約を作り学習を促す


様々なトレーニング理論や考え方がある中で、今回はエコロジカルアプローチという運動学習理論をご紹介していく。


「監督・コーチは制約のデザイナーである」

従来の伝統的なアプローチでは、選手に対して言語による正しい運動への誘導を行い、さらにソリューション(解決策)まで伝えてしまっている。

しかし、エコロジカルアプローチ全く異なる面白い手法で選手に学ばせる。

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