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時代証言

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#読書

「畠中尚志全文集」【#図書館員の気になる一冊】

 スピノザは17世紀のオランダの哲学者です。44歳で亡くなるまでに出版された著作は2冊しかなく、彼の主著とされる『エチカ』も、死後友人たちの手による遺稿集として出版されたものでした。ところで話は変わりますが、生前にたいへんな数の作品を残し、当時は時代の寵児になっていた人も、時代の波にさらされ、すっかり忘れられてしまうということは多々あることです。  文学者であれ芸術家であれ学者であれ、時間という誰も避けることのできない波に翻弄される存在であることはどうすることもできないという

【書評】佐々木雄一『陸奥宗光』(中公新書)

 陸奥宗光といえば、近代日本の悲願であった条約改正(領事裁判権の撤廃)を成し遂げた人物です。「カミソリ」のあだ名をつけられた切れ者で、優れた外交官として知られています。  しかし、陸奥の実像はその説明にとどまるものではありません。本書は陸奥の生涯を簡潔にたどりながら、彼の実像を明らかにしています。 外交にとどまらない業績 陸奥宗光は、条約改正・日清戦争・下関条約・三国干渉という明治日本の激動期に活躍しました。本書でも半分近いページ数が割かれています。  しかし、年表を見

連載:「新書こそが教養!」【第77回】『人類の起源 』

2020年10月1日より、「note光文社新書」で連載を開始した。その目的は、次のようなものである。 現在、毎月200冊以上の「新書」が発行されているが、玉石混交の「新刊」の中から、何を選べばよいのか? どれがおもしろいのか? どの新書を読めば、しっかりと自分の頭で考えて自力で判断するだけの「教養」が身に付くのか? 厳選に厳選を重ねて紹介していくつもりである。乞うご期待! DNA解析が明らかにする人類の起源2001年7月、北アフリカのチャド共和国で「サヘラントロプス・チャ

身体に身に着けている色でパフォーマンスが変わる

こんばんは。 上記リンク先で書きました日立陸上クラブコラムの追記です。 実は身体に身に着けている色でパフォーマンスが変わります。 結果から先に説明をすると中・長距離など持久系の選手は青系統の色(青や緑)を身に着けると動きのパフォーマンスが向上し、短距離など瞬発系の選手は赤系統の色(赤やオレンジ)を身に着けるとパフォーマンスが向上します。 逆に持久系の選手が赤系統の色を身に着けるとパフォーマンスが低下し、瞬発系の選手が青系統の色を身に着けるとパフォーマンスが低下します。 ※

精神科医と、うつ病患者、必読の書「賢人と馬鹿と奴隷」は風刺小説として絶品

 天才作家、魯迅は、現代社会を3頁の短編小説で風刺して見せた。「賢人と馬鹿と奴隷」というタイトルで。  奴隷は、奴隷主からの待遇を賢人に愚痴る。賢人は、奴隷主と利害が一致する支配者層の人間なので、目先、気持ちの良い言葉だけかけて、奴隷に地位向上などさせないように奴隷をコントロールする。奴隷は、馬鹿にも愚痴る。馬鹿は、お前が辛いなら、苦しいなら、そんな制度ぶっ壊せばいい。権利を求めて立ち上がれという。奴隷はびっくりして、馬鹿を追放して、奴隷主に褒められる。褒められたことを賢人

【本】書店の敵は、Amazonではなく、図書館だった?いや、それは…!

衝撃を受けてしまった。 「窓口の図書館員が、 マクドナルドの店員のような 「ありがとうございましたぁ」を 発するサービス業になったのか。 公僕だったはずの図書館員が、 いつから非正規雇用が半分以上になり、 生活するにはギリギリの低賃金で、 しかも雇用期間も限定なのか? これでは、まるで官製ブラックでは ないのか?」 これは、一昨日の朝日新聞で サンキュータツオによって 紹介され、瞬く間に ベストセラーになった 『私たちが図書館について 知っている二、三の事柄』 (中村文孝、

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