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茅花(つばな)


茅花吹かれ
白く吹かれ
茅花流れ
時が流れ

用水路のほとりを散歩をしていた
椎の木の花々が盛り上がり
山々の生命力が黄金色(こがねいろ)を放っていた
風になびく茅萱(ちがや)の白銀
前を行く妻がにわかに穂を手に包み
じっと立ち止まっている
りんくみたい
その一言に私も茅花を手に包んでみた
つるつるしてて
しんなりしなやか
それでいてしゃんとしてて
りんくを撫でている感触が蘇る
光る茅萱の中を跳びはねている
まばゆい幻影のりんくが
胸のなかを駆けめぐる

妻は歩きながら
立ち止まっては茅花をつかみ
ときに何本も束ねて握る
換毛期にはブラッシングを
欠かすことができなかった
ふわんふわんと
銀色の毛が舞う
季節は推移する
遡れない人生

茅花吹かれ
白く吹かれ
茅花流れ
時が流れ


  *「りんく」は飼いうさぎの名で、
    12歳で死を迎えた。





   撮影地  愛知県豊橋市


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