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蕾を救う


黄のユリが浅い器に咲いていた
どうしたのだろう
花の頭だけが飛んできたのか
茎が短すぎる
飛頭蛮の伝奇を思い浮かべた
夜になると頭部が胴体から離れて
耳を翼にして飛んで行く
朝が近づくと元の胴体に付く
ユリの花が茎から離れて
人の知らぬ間に宙を舞い飛び
気に入った所に収まる
花を見送った茎はどうなっているか

妻の姿が見えたら空想が霧散した
大きく膨らんだ蕾が地に転がっていたという
先日の激しい風雨のせいらしい
窓辺の器の中で蕾は開き出した
肉厚の花がどっかと天を仰ぎ
太くぬめぬめのめしべが
花粉たっぷりのおしべたちに囲まれている
生命力が差す

茎は短いものの
水に浮かべているのは
切り花と同じことか
傷ついて
地に放置されていたとしたら
どうなるだろう
蕾のままで
開花することなく
枯れてしまうのではないか
救うべき時に救わなければ
手遅れになる

手遅れ――
手遅れにしたくない
蕾たち

人の世とて変わりはしない

平和のため
正義のため
経済のため

大量殺戮
地球破壊

蕾たちを救いたい
手遅れにならないうちに
でも
願うだけでは――








△▼ ▲▽ △▼ ▲▽ △▼ ▲▽

今年の梅雨入りは遅れていますね。
湿度も高くなり、梅雨の雰囲気は出てきました。
私は、孫と相撲ごっこをしていて、
翌朝から右腕が上がらなくなって
ひそかに苦しんでいます。
みなさんは、いかがお過ごしですか。

今回のテーマは、傷ついたユリです。
今の世界情勢と結び付けていきましたが、
詩としてはちょっと強引だったか?

来週も水曜日か木曜日に更新する予定です。
また見に来てください。
私もみなさんのページを訪ねます。


◆◆◆  ◇◇◇  ◆◆◆  ◇◇◇

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