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一泊二日の。。


久しぶりにバウレスから出た。

バウレスはボリビアのベニ県、イテネス州の北東部にある町なのだが、歯医者がない。

まぁアマゾン熱帯地域の小さな町なので、特に驚きもなかったのだが、治療するには州都であるトリニダまで行かなければいけない。

トリニダは、最初にバウレスに来た時に通過したことがある。Googleマップを見たら180kmほど離れた町だ。
いや、それにしても遠いな、、諏訪から新宿に行くようなものだ。
バウレスから一番近い歯科がこの距離だ。


理由は簡単で、ある日の昼食で少し硬めの肉を食べていたら、日本で治療したブリッジが外れてしまったというわけ。

正直、終わったとその時は思った。
見知らぬ国の見知らぬ医者など不安でしかないので、体調管理は気をつけていたがまさか歯の治療が必要になるとは。。

そのためマリアやアントニオさんにも歯科の情報を貰い、ドンファンにトリニダまで連れて行って貰うことになった。

すると、アントニオさんの奥さんのシルヴィアさんはイテネス州の出身で、なんと友人が歯科医だったのだ。


それから一か月が経過。
やっとドンファンのスケジュールが合い、トリニダに向かうことになった。

前回は雨季だったため、泥濘だらけの道でたしか10時間以上掛かった記憶がある。しかもその時は真夜中だった。
今回は朝出発なので、景色も見えるし時間も変わるだろう。そしてなにより今は乾季なので、足止めを食らうような泥濘もないはずだ。

途中バウレスから20kmほど離れたウワカラヘという町で、1組の家族と合流し朝食も済ませた。

後はただひたすら走るだけだ。
こうして長距離を走っていると、頭で理解はしていても改めて日本は便利だと実感する。
コンビニはなくても対して困らないが、医療関係がないというのはやはり不便。

だがそれと引き換えに、目の前には広大な景色が広がっている。
湿地や平原、森林が目まぐるしく移り変わり、すれ違う車もほんの数台で、まるでこの広い世界が自分の物であるかのような気分にすらなってくる。

長距離ドライブとなれば同乗者は寝たくもなるが、この道がそうさせてはくれない。

泥濘はないが悪路であることに変わりはなく、いくらドンファンが凹みを避けても車はアップダウンを繰り返し、乾いた土は砂のように車体をスライドさせて、さながらラリーのようである。

そうして7時間ほど走った後、やっと舗装された道路へ合流した。
相変わらず放牧されている牛や馬は見かけるが、さすがに道路までは出てはこない。

トリニダに着いたと同時にウワカラヘから乗車した家族を下ろし、ドンファンと共に市内へ向かう。
ドンファンが何やら探しているので、Googleマップで検索しながら案内した。

着いた先は歯医者だった。
「え、このまま?」と思ったがまぁ早い分にはいいか。

まさか朝から走りっぱなしで直接来るとは思わず、途中食事してから歯磨きもしていなかったが、そのまま女性ドクターに挨拶しながら案内された。

痛みのある箇所を伝え、外れたブリッジをドクターに渡した。
きちんとスペイン語が通じたかどうかまだ分からず、治療しながら伝わっているかを確認していった。笑

補助している女性は先生に世間話をしながら盛り上がっていたが、こっちはなんだか妙な緊張感だ。
ボリビアの医療事情は分からないが、見た感じ日本の地方都市の町医者レベルだろうか。

先生はその都度染みるか染みないか、空気を歯にかけて確認してくれ少し安心した。

そうこうするうち無事に治療は終わった。

自分の場合はこうして協力者がいるので、子供のように「ああしたい、こうしたい」と周りに言ってるだけだが、ひとりでバックパッカーしてる人などは本当に凄いなと本当に感心する。


アントニオさんに治療が終わったのと支払いのお礼の連絡をしたら、「一番重要なのはあなたが元気でいること」と日本人なら絶対使わないような表現の言葉をかけてくれた。


ボリビア人は大らかなのか、キリスト教だからなのか、はたまた実業家ならではの器の大きさか。。

サンタクルスにいた頃、僕が美味しいと言った店に毎度毎度連れて行ってくれるお茶目なアントニオさんを思い出した。

きっと人柄だな。


トリニダの街はサンタクルスのような都市ではないが、久しぶりの街ゆくバイクの群れや雑多な市場は懐かしく思えた。

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