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ホテルの一室


人なつこいのか何なのか、ホテルの部屋に子供が遊びにくるようになった。


我々の持ち込んだ荷物を物色しては、何かを見つけて質問したり、道具で遊んでいる。いわゆる子供のすることの典型だ。

その日もマチェテ(鉈)を振り回してポーズを決めてみたり、携帯電話の画像を見てはこれは何だ?とか誰だ?などといった具合いで、質問を繰り返していた。

そして、珍しいのか何なのかもにかく色んな物を欲しがる。
ある子は箸、ある子はiPhoneの空箱、ある子はキーホルダー。まぁ最初に値段をいちいち聞いてくるところは可愛らしいが。
iPhoneの空箱などどうするんだろう。バウレスの子供たちもだいたい携帯電話は持っている。もちろんその子も。


そして大した写真のない、ほぼチョコレートやその資料の画像ばかりのデータをみては、何やら感心していた。

未知のものに興味を示すその光景は、いつか見たタイムスリップの映画や漫画のようである。

それもそうだろう、ボリビアに比べれば日本の方がずっと経済的には成長・安定している。
街の様子や食べ物ひとつにしても、それが表れているはずだ。


しかし食べたことや見たことがないのに、美味しいと脳が反応することがとても興味深い。

その子は絶対に知らないであろう鰻重の写真に反応し、この魚は美味しいでしょと言った。

きっと人間の生存本能の賜物だろう。

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