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湖とシャワーと星


朝10時頃から始まった作業は、なんともボリビア時間的な流れだった。
12時頃に昼食を取って、13時くらいに作業再開したら14時半か15時には終了だった。

まぁたしかに長時間できるような作業環境ではないし、山の夜は早いのではあるが。
仕事と言うより部活動のような雰囲気だった。

さて終わってどうするのかと思っていたら、来た道をまた同じ進行方向に向かって、ドンファンが車を走らせた。

この山道は一本道だ。
例の今作っている道を除いて、分岐点は来る途中に1ヶ所だけだった。
その分岐は、バウレスとワチという町を繋いでいるそうだ。

バウレス周辺も同じような感じだ。
村や町を結ぶ道は基本的に一本道で、分岐点は滅多に見ない。
たしかに周りが広大なサバンナに島、湿地帯に森林など多様な環境なので、都市のような交通網は必要ない。
ベニ県はこんな感じなのかも知れない。


また来た時と同じように、トトロの森に行くような道をひたすら走る。
ガサガサと車に当たり続ける草木にももう慣れてしまった。

ちょうど1時間ほど過ぎたころ、急に目の前の景色がパッと開けた。
たどり着いたのは小さなプランテーションのようだ。正面には巨大な湖が広がっている素晴らしい景色だ。

車を降りると、ここの農家さんなのか現れた数人とドンファンが挨拶をしている。
ドンファンの仲間たちも次々と荷物を下ろしては、敷地内に点在する小さな屋根の下へと入って行った。

どうやらこの場所に寝泊まりするようだ。

僕もドンファンに案内され、一緒に小さな小屋に荷物を下ろした。
小屋の中は結構広く、寝室スペースが2つもある。

ドンファンが、まずシャワーを浴びようと言った。ついて行くと、そこは正面にある湖だ。
なるほど、たしかに水は透き通っていて少し冷たくて気持ちがいい。

琵琶湖よりは小さいが、地元の諏訪湖よりは大きな湖だ。
湖を囲むようにして、遠くには熱帯雨林の輪郭が見える。

ドンファンは「綺麗でしょ?」「ここ綺麗だよね?」とずっと言っている。

停められている小さなボートがあったので、下半身だけ湖に浸かりそこに座って、しばらくの間ボーっとしてみた。

アマゾンっぽいな。

生温い風とひんやりした水、鳥の変な鳴き声と夕方なのにまだギラつく太陽。

ずっとそうして居たかったが、湖があるせいか暗くなるとここは蚊がすごいらしい。
泳ぐようにして軽く体を洗い流して、またドンファンと共に湖から上がった。


バウレスと同じように、敷地内を犬やニワトリ、ブタ達が歩き回っている。

家畜小屋の近くに、これまた小さな屋根がありテーブルや小さなキッチンスペースがあった。
そこで農園の人らしきご夫婦たちと共に、ワインやらバナナやらを頂いた。

その後またドンファンの仲間たちと合流し、軽く夕食を済ませた。
そして小屋を出ると、空には満天の星が広がっている。

「これはヤバいな」「天の川がくっきりじゃん」

バウレスでも綺麗に見えた星空が、ここではより鮮明だ。たしかに照明がひとつもなく、夜は真っ暗闇だもんな。
するとドンファンの友人のひとりがやってきて、星座をいくつか説明してくれた。

当たり前だが、日本で見る星座とはまったく位置が違うため、方向も何もかもがちんぷんかんぷんだ。
細かく小さな星まで見えるため、逆に星座などは分かりづらい。

それでも彼の説明で、どんな形の星座なのか何となくは掴めた。
あまり聞き取れなかったが、たぶん逸話も話してくれていた気がする。


よし今度、電波があったら南米の星座を調べてみよう。
またいつか彼と星の話ができるかも知れない。

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