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【エピローグ】それ故に、僕は性格が悪いらしい。笑

こんにちは、こんばんは、おはようございます。
の美です。

前回からの続きとなります。


”奴”のヤバさの根源が明らかに・・
それでは、お楽しみください。




・・・そして仕事とは一見関係のないような[愛について]

これは昨年になるが弊社の新年会があった。
日頃からお世話になっている取引先と合同でやるという話であった。
その取引先は家具の会社で、主に海外製のものを取り扱っている。
会社の場所は青山。
街も会社の佇まいも非常にセンスがある。

前の会社時代からこの取引先と付き合いのある先輩がいて、その先輩はこの新年会を非常に楽しみにしていた。

家具の新作もあるというので、まずは会社案内をするという予定となり、
新年会はその後でということで僕達はその会社に向かった。

『ネチスト30剛毛おっさん』はまだ、仮病の視界が霞むという設定が続いているとのことで、皆の予定には入っていたが恐らく来ないだろうと思っていた。

午後6時。
取引先に到着し予定通り始まった。
煌びやかな家具ばかりで、どれを取ってもセンスの塊だ。
次のプロジェクトで使いたいねーなんて皆で話していた。
そしてその後、プロジェクターを使い、家具たちの実績例をみたりして今後の両社の展望などを含め話しあっていた。

・・
・・っく・・
・・・っか・・・

なんだ、、?
、、何か聞こえる。何なんだこれは。
どこからか、、何か変な音が聞こえる、、
、、どうにも何か、、
、、近くに異様な空気を発している、、
この禍々しい空気、、例えるならば、、、
、、そう、、とてつもない空前絶後の想像を絶するバカな存在がいるかのような、、
そんな気がしてならない、、
だが、、いやそんなはずはない、、
そんなはずはないのだが、、僕達は恐る恐るゆっくりと、、
振り返ってみると、、そこには、、


、、なんで居んねん。


いつからそこに居たのか。
いや、それ以上に何故居るのか。
仮病の視界がぼやける設定はもう捨ててしまったとでも言うのだろうか。

、、いや違う。
まだ続いている。
とてつもない程に凄くアピールをしている。
サッカーですらこんなにファールされた事をアピールしているプレイヤーをみたことがない。

『私の目、凄く霞んでるんですよー!』と全力でひたっすらに両手で目を塞いでる『ネチスト30剛毛おっさん』が後ろにいたのだ。
(ちなみに『設定』では片目なうえ、紛うことなき『無痛』である)

この姿を見て、非常に温厚そうで優しそうな取引先の人が、非常にビックリしてとりあえず「だいじょう、、」ぶ?と言おうとしたその瞬間。
役員が「大丈夫です。」と構わないように誘導した。

触れてはダメだ。ソイツは特級呪霊なのだ。
私で最低レベルです。と、ななみんなら言うだろう。

しかし取引先の方々は皆優しく、「一応水だけでも、、」といって渡してあげていた。

どこに行っても迷惑しかかけない『ネチスト30剛毛おっさん』。
本当にもう存在が恥ずかしい。

弊社の皆は既に呆れ果てている為、コイツの存在を無視してプロジェクターの映像を見ながら続きを話し始めた。

が、数分後、、

・・っかは・・
・・はぁ・・っくう・・

もうお手上げである。
この特級呪霊、意地でも成仏しないつもりだ。
呪いが強すぎる。
乙骨ですらこんな強い呪いをかけたことはないだろう。

そしてこの時、僕は気付いていた。
役員と先輩は拳を握りしめ、ガチで震えていたことを。


神が与えし『喜怒哀楽』。受けて賜うたヒューマニズム。
年(とし)月(つき)重ね大人になり、隠さねばならぬこの感情。
溢れ出る『怒り』己(おの)を凌駕し、我が身体に響くが如し。


役員、「このカスを、どうにかしてきてくれ」
と、僕に言った。

僕は「御意」と返事をし、すぐ様この"特級呪霊"を皆の視界から消える位置まで移動させた。

本当にこの時は地獄だった。

まさか社内の人間だけでなく、取引先にまで自らのクソのような承認欲求の為に迷惑をかけるのか、と。

それから1時間後、今回はこれでお開きという流れになった。
皆、どっと疲れていた。
理由は明白、"奴"が取引先の顔に塗った泥を必死に皆がカバーしたせいである。

皆イライラが頂点に達している。
こんな時くらいは飲み直さないとやってられないということで、"奴"に内緒で皆で二次会行こうという話になった。

とはいえどこかのタイミングで"奴"と解散しなければならない。
どうしようか、、と歩きながら皆で考えていると後ろから音がするのだ。

ズザ・・
ズザ・・・ズザ・・・

と何か擦れたような変な音がするのだ。
こんなセンスの良い街並みで、綺麗な紳士淑女が颯爽と歩くこの街に。
夜を彩るが如く、煌々とシャレオツな明かりが照らされているこの街に。


どこで漏れたというのだGーウィルス。
シャレオツ青山にまさかアンブレラ社あったんか。
ジルの目はおろか、クリスの目までも欺いてやがったのか。
呪いでだけでは飽き足らず”奴”が感染してしまったではないか。


しかし妙だ。

何故か"奴"は足を引きづっているのだ。
何故なのか?
お前は目ではなかったのか?

マジレスすると今度は足に仮病が移転したとでもいうのか?
現代医療ではとても治すことの出来ない『複雑な仮病』が奴の体を蝕んだのだ。

皆、背筋が凍り付く。
その姿たるや『ゾンビ』そのもの。
身も性格も、あまりにみすぼらしいその姿は、青山にあってはならない異物。
コイツ一匹ここにいるだけでラクーンシティに成り果てる有様。
ロケランを所持していなかった自分をこんなにも悔やんだ日は無かった。

だが幸いなことに歩くスピードも『ゾンビ』に合わせていた為か、自然と距離が空き始めたのだ。
初期のバイオしか知らないとは、、情けなし。
だが不幸中の幸いとはまさにこの事だ。

僕達は曲がり角を曲がったところで、良い感じの居酒屋を見つけることに成功。すぐ様駆け込むことが出来た。

「はぁ~撒けて良かったわー。」と先輩。
一同ホッとしていたのだが、役員がここで切り出した。

役員「撒いたのは良かったんだけどさ、『一応誘った』という事実が欲しいんだよね、、いやさ、証拠作りの為に必要なんだよ」と。

皆落胆した。
いや、だが確かにそうだ。証拠は残しておかないといけない。
こちらはあくまで『大人な対応』をしなくてはならないのだ。

役員は社員の中の1人に電話をかけさせた。一応「くるか?」くらいは聞いてやってくれと。
僕達は願った。
願うと同時に僕達はこう思った。


流石に一応『仮病』は継続している訳だし、何故か足を引きづるという"設定"も追加されている。
医者に見せても『どんな病気やねん。』と突っ込まれるであろうこの"設定"ならばどんなバカでも「今日は体調悪いので帰ります」とか言わないと仮病がバレてしまうから"流石にここは断るだろう"と。

電話かけた社員、「"来る"、だそうです。」

どうなってんだお前。


KAT-TUNなのかお前は。ギリギリでいつも生きていたいとでも言うのか。
なんでそこまで生まれながらにしてスキル・背水の陣を会得しているのか。
ランボーでも来ねえぞ、お前が作ってしまったこの死地には。

とてつもねえメンタルだ。
何故これを仕事に向けられないのか。

暫くすると奴は来た。
目を押さえならゾンビも継続中だ。もうただのアホだった。

身を隠しながら、"奴"が店に入るまでの動きを観察していた他の社員曰く、「見てるこっちが恥ずかしすぎて凝視出来なかった」と言っていた。

まさか上流国民が集う青山で共感性羞恥心を抱く結果になろうとは誰もが想像だにしていなかっただろう。

とりあえず仕方ないから座らせる。
何がいいか聞いてみた。

ゾンビ「ビールで。」

違う、そうじゃない。
抗生物質だろ今のお前は。
お前は本当に、、しょうもなさ過ぎて、、いや、もう何も言うまい。
とりあえず乾杯した。

しばしこのアホは無視して皆で談笑している中、


ねぇ、それむしろ辛くない?


うつむく→飲む→すかさずうつむく
"奴"はこの一連の動作をずーーーっとやっているのだ。
RPGの村人かのように。そう、ずっと。

コイツの体内に注ぎ込まれたビールがコイツの血肉になるかと思うと非常にビールが不憫に思う。

嘘かとお思いであろう。
だが1ミリ、いや1ミクロンも嘘などではないのだ。

もう皆何も言わなかった。
絡まないことが一番。
それ以上でも以下でもなかった。

時は終盤。
もうじき出ようかというところでラストドリンクを皆頼んだ。

そんな時役員が先輩に、
「お前も再婚しないとだな~」と唐突に言った。
先輩はつい先日、混み合った理由によりバツがついてしまった。
それを聞いた先輩は、
「まぁ~、、いい人がいればって感じすね。愛あっての結婚ですから。」

なんてことを言った瞬間だった。


いきなり"奴"が目を見開いてこう叫んだ。
「愛も知らない人には無理っすよ!」と。

目の設定をすっかり忘れ、叫び散らかしている。
横で一緒に飲んでいたAさんが"奴"に聞こえないくらいの声で「え、キモ。。」と言ったのを僕は聞き逃さなかった。

恐らくだが、怒りの原因は十中八九「あの件だ」と思った。

あの件とは、、
その時かなり大きなプロジェクトが弊社に舞い込んできて、通常のツーマンセルの構成ではとても追いつかなかった時期がある。
なので特例として以下の構成としたのだ。

【役員+先輩+Aさん】+【先輩+派遣の人+派遣の人】+【ゴミ(ネチスト30剛毛おっさん)】

上記を説明すると、
基本的に先輩とAさんが窓口となりメインで動く。
それを"他の先輩"が対応しきれない箇所をカバーし、派遣の2人が資料を創っていく。といった構成となっている。

一番最も使えない"奴"は、最悪どうしようも無いときのみ手伝わせる(資料の印刷とか)こととした。

※他の社員はそれぞれ複数案件を抱えており手が一杯な状況の中、アサインされている"他の先輩"は抱えているプロジェクトが2案件だった為、カバー役とした。派遣の二人は他の案件でもサポートをしながら、この大きなプロジェクトもサポートするという構図。唯一『奴』は案件を持ったことがないので当然0という状況。(一応カタチは正社員なのに。)

なので必然的に先輩とAさんが一緒に過ごす時間は長くなり"奴"は嫉妬の嵐。

ちなみに先輩は3部記事の序盤でも登場した先輩でもあり、この時先輩はもう見放している。

だがこれはあくまで『仕事』。どうしても皆の手が空かない時に仕方なく客先に連絡するよう"奴"に頼んだところ、メール上で『またも』失言し客先から大クレームがきた。

この大クレームは契約解除の本当のギリギリの一歩手前まで行き、損失額はゆうに数十億の損失となる瀬戸際までになった。

契約解除だけは避けなければならない為、すぐに提携先の外資の会社が「"奴"を早急に外してくれ」と弊社に告げ、"奴"を即座に外し、謝罪&今後の進め方等の書類をお客様に提示した。

提携先の強大な助力もあり、何とか九死に一生を得たのである。

そんなことはつゆ知らず、"奴"はその先輩に『Aさんと俺を離す為に外しやがった』と思い込んでいるのだ。

”奴”は本当に頭が悪いので常に「パワハラ」だとのたまっているが、リアルを言うと人に迷惑を掛けるだけでは飽き足らず、会社にまで多大な損害を出している現状があった。

単純に会社にとっての『負債』そのものがコイツなのだ。

皆様、信じられないと思いますが本当に弊社にいたのです。この『人物』。


以上のこともあり、Aさんと引き離されたと思い込んでいる。

そしてその思想は『将来的にAさんと自分は結婚する』とまで思い込んでいた。
その準備段階として『お揃いの食器を既に購入』もしているのだ。
この行き過ぎている【”奴”なりの愛】というのが、この叫び散らかすまでの結果を生んだともいえる。

と、その時。
先輩も今までの”奴”の使えなさ、全ての自分の責任を他責にする行動や、Aさんへのストーカー行為、仕事を一切しないのにも関わらず全力反発、時間の守らなさ、プロジェクトをいくつも危機に追い込むその所業、、etc…
その数えきれない行いの鬱憤が溜まりに溜まってか、返す刀で、

「お前に愛の何がわかんだよ。」

と、言ってしまった。

その瞬間。『ネチスト30剛毛おっさん』は常日頃からところどころで発狂していたが、今までで史上、一番発狂しだしたのだ。

「アンタよりも愛を知ってる!女を大切にしないアンタが言うな!俺は愛について本を読んだ!そこには本当の愛のカタチを記していたから分かる!」と、『ネチスト30剛毛おっさん』は叫んだ。

えっとまず、女を大切にする・しないというのはお察しの通り『思い込みによる決めつけ』となる。
そして一番皆が引っかかったのは、『愛についての本を読んだから、本当の愛を知っている』という部分だ。

皆思った。

「・・だからストーカーになったのか。(何も知らないから)」と。

だがこれだけでは止まらず更にヒートアップしてきて非常に気持ち悪かったのと、店側に迷惑がかかってしまうので僕は、

「先輩は一度結婚している身で、アナタは結婚したことがない。その点を考慮するとアナタの方が愛を知らないんだから話はここまでにしよう」

と、強引に話を終わらせた。

お店も閉店時間となり、汚い鼻息をフンフンしながら店を出た時の”奴”はあまりの怒りからか、目の設定と足を引きずるゾンビの設定をすっかりと忘れ元気一杯歩いていた。

そして役員は、
「証拠作りとはいえまた皆に迷惑かけてしまった。すまない。責任を持ってコイツを俺が帰らすわ。」といって、”奴”を連れて役員は帰っていった。


と、軽く紹介しただけでこんなに長くなってしまった訳だが、
ここまでホワイトボードにリストを書き連ねていた時、
今まで黙っていた、通称『RE:仏  (リほとけ)』と言われている先輩が重い口を開いた。

「もう、、疲れた、、思い出したくもないよ、、」
と、ボソっと喋った。

そのRE:仏 先輩はどんな仕事をしていても、どんなに忙しかろうとも、どんなに理不尽なことがあっても常に話す内容はポジティブそのもの。

人が苦しんでいると「大丈夫かい?」
人が落ち込んでいれば「どうしたの?」
人が悩んでいたら「なんでも言って」


通常仏の顔は3度までだが、このRE:仏 先輩は3度いってもまた1度に戻ることからそう名付けられた。
ゼロから始める異仏生活なのである。

そんなRE:仏 先輩が「思い出したくもない」と放った言葉は、

殺人鬼が、
「アイツの脳ミソや五臓六腑を生きたまま抉り取って、その生の臓物を滴り落ちるブラッドとともに食い尽くしてやったぜ」

と言っている内容とほぼ同じレベルのショッキングな言葉だった。

RE:仏 先輩を、会社を辞めてまでこんなに苦しめることが出来る『ネチスト30剛毛おっさん』。

人間は生まれながらにして不平等。
我らが神である創造主は、時代の節目に一定数のギフテッドをお創りになられる。
それは天才・秀才・神童といった形容詞で崇め奉られ、羨望の眼差しで見られる。
だが悲しいかな、世界の調和を保つ為には"より一層持たざる者"を排出しなければ均衡が保てない。
その1人が"彼"なのである。
アーメン。

と、その静まり返ってしまった場を、
「、、とりあえず、、こんな感じでいいっすかね!」と、とある社員の一言でこのミーティングはお開きとなった。

それから2週間後。

雲一つない晴天を迎えたその日。


実は今日は特別な日である。


それというのは記念すべきリニューアル面接が開始されるメモリアルスペシャルDAYというやつだ。

僕は事務所の重鎮というくらいのオーラを"纏っている雰囲気"を持っている雰囲気っぽいのを演出する為、事前にホワイトボードに書き連ねた怨念ともいえるリストを頭の中に叩き込んだ。

そして迎え撃つ初面接。

次回。【完結エピローグ・面接編】をお送り致します。



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