亡き人を想う 酒井抱一の紡ぐ文化ネットワーク
酒井抱一の《夏秋草図屏風》は 二曲一双の屏風絵である。
いずれも銀地に、右隻には 驟雨に打たれてしな垂れる夏草、左隻には強風にたなびく秋草が描かれている。
それぞれをよりつぶさに見てみると、右隻では、画面右上方には一筋の水流が描きこまれている。水流といっても子細に特徴を描きこまれた植物とは対照的に、あくまで意匠的に様式化された文様に近い描かれ方である。幾たびか蛇行し進む水の流れは、濃淡のない群青色に染め抜かれていて水紋もこれはまた退色してしまっているものの銀の線で描かれてい