(77) 「人」

今日もお疲れ様でした。
今日は遠足でした.
不登校だった子が来ました。
靴箱にいるその子の表情を見たぼくは
「よっ.おはよっ」
とほほえむだけにしました.
出発まで保護者の方が付き添い
「何かあったら迎えに行きますので」
とメールをいただきました.
ぼくはあえて,そのことは本人には伝えませんでした.
そして,伝える必要はありませんでした.
その子なりに,一日過ごしていました.
その子ずっと友達に囲まれていました.
苦手だと言っていた集団も
友達パワーで乗り切ったと思います.
「tonk先生.レジャーシートの畳み方がわかりません」
初めてぼくのなまえを呼びました。その子から話かけてきました.
その子と会話したのは,それくらいです.
それくらいで,いいんです.

実に1年以上.よく耐えたと思います。
今日の一日は,その耐えた1年以上が詰まりに詰まった,一日だったでしょう.

その子が遠足に来たことは
その子の頑張りであり
ぼくは何もしていません
ぼくがしたのは
日々の電話だけです
「○日に内科検診がありますがいかがなさいますか」
「配布物どうしますか」
そんだけです.あとは放課後など,学校にその子が来た時
「よっ」

「ほなっ」
って言ったくらいです

だから,ぼくは何もしていません
今日,いろんな先生に
「あの子来ているね!」
って言われましたが
「友達ってすごいです」
って返すぼくがいます
来ているからなんですか.
と思ってしまうのです.よくないですよね.

学校に迎えに来た保護者に
「今日のこと,また,お子さんからいろいろ聞いてください.辛いときは,迎えに来てもいいとメッセージいただいたことは,伝えませんでした.それは困った様子が見られたときの,本人が選べる選択肢のひとつにしたかったからです.」
と言いました。
「先生.本当にありがとうございました.バスから降りてきたときの顔,疲れていると思ったのですが,全然違う顔をしています.」
「そうですか,ぼくはめっちゃ疲れました.笑 まあ,これをきっかけに,また来週から,ぼちぼちいきましょう.」
さようならをした後

違う学年の先生から
「先生!先生のクラスの子,ドッジボールで大活躍でした!」
と言われたときは,ちょっぴり.ちょっぴり,うれしかったです.
その子は,どうしてもドッジボールが上手になりたい女の子.
「勉強頑張ったら先生,ドッジボールの練習してください」
授業で一生懸命プリントを終わらせた後や,昼休みも,ずっと一緒にドッジボールの練習をしてきました.
ぼくは正直,ぼく以外との人間関係を作るために,昼休みは違う子と過ごしてほしかったのですが...
これを機に,もしかしたら,新しい何かが生まれるかもしれません.


放課後,週番だったぼくは職員トイレ掃除をしていました.
「先生.お疲れ様.遠足大変だったのに,トイレ掃除?本当に頑張るねー」
ホースを片手にトイレに入ってきた先生.
その先生は
ぼくが休職してすぐ,ぼくに連絡してくれた,あの先生です.
ぼくを上司から守ってくれた,あの先生です.

「tonk先生,お電話です.」
他の先生に呼ばれて職員室へ.
その後すぐにトイレ帰ってきたら
もう,掃除は済んでいました.
校内を探しても,その先生はもういませんでした.

ぼくは,そういう「人」になりたい.

不登校の子,ドッジボールで活躍した子.
あの子たちにとって,ぼくは
どんな「人」にうつっているかな

やっぱりぼくは,指導者に向いてないなっ