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「妄想の力」をいかに養うか

伊勢丹新宿店をはじめとした名だたる施設のデザインを数々手掛けておられていて、女優の大地真央さんのご主人としても知られている森田恭道さんがこの度出版された「未来を予知する妄想の力」を読了した。

「どんどん夢を叶えていく人の考え方と行動」が凝縮されていて、私自身の子育てや今後の仕事にも、間違いなく大きな影響を与える1冊になると思う。

具体的な内容は本を購入して、ご自身で読んでいただきたいが、私がこの本を通じて得た学びを、子育て中の方、そして部下育成をされる方に向けて書いてみたいと思う。

①その人の中にある「好奇心」こそが宝。その宝に気づいてあげよう。

本を読んでいて驚かされるのは、森田さんのその「好奇心」の量と深さ。50代になられてもなお、常に新しいことに挑戦されているそのエネルギーの源は一体どこからくるのかと、思わず唸ってしまう。

私が推測するに、生きてくる中で一貫して「自分の感性・感覚・好奇心」を大事にしておられること、それこそがそのエネルギーを一定に保ち続けるコツなのではないかと思う。つまり、「自分自身に素直に、そして自分自身を一番大事にする」ということに貪欲だ、ということではないか。

外の誰がどう思おうと、大事にするのは「自分の感性・感覚・好奇心」。結局のところ、この軸がブレなければ、失敗を恐れることなく、それらに忠実に行動するのみであり、仮に失敗したとしても後悔なく、糧にして次の好奇心に向けて進めるのだと思う。

著書の中には、衝撃的な言葉が数々ちりばめられているが、何といっても驚いたのが「殆どの仕事は、自分から惚れ込んで、自分からピンポン営業のように取りに行っている。」という事実。あの世界の森田さんが、である。「ダメ元なんだから失うものはない。」とも言われている。確かに言われてみればそうだけど、頭でわかっているのと、行動に移せることの間には人によってはベルリンの壁が存在するのが事実。

私事だが、企業研修の仕事に携わっていると、「失敗を恐れる若手が多い」という言葉を人事の方々から良く伺うが、じゃあ彼らと森田さんのメンタリティの違いをもたらすものがあるとしたら一体何なのか。

思うに、社会の、そして周囲の大人の「あれだめ」「これはルール」という制約が、人間が本来持つ感性・感覚・好奇心を奪っているのではなかろうか。

本来、赤ん坊がそうであるように、人間には欲求を満たしたいという気持ちがあるわけで、本能のままに行動できるのであれば、誰しも好奇心のままに、恐れずに行動できるはずなのである。それが出来ないケースがあるのだとしたら、周囲がそれを許さない暗黙のルールで縛っているからなのだろう、としか思えない。

思えば、我々が子供の頃はネットなどなかったから、他人の批判はここまで気にならなかったし、コンプラ?ハラスメント?そんなものとは無縁な世の中だった。

何せ最近の世の中は、すぐ人をディスったり、批判したり、白黒つけて追い込む傾向にあるから、「失敗を恐れる若手が多い」が事実なのだとしたら、明らかに我々大人に罪があると言える。

これを受けて、私たちはどう未来を担う人材と関わっていったらよいのか。自分自身も胸に手を当てて、考えてみたいと思う。

②自分の感性・感覚・好奇心に忠実に生きられる人、自分を大事に出来る人は、結局のところ、他者を大事に出来るということ。

森田さんは「生きていることが遊び」という名言を残されていたが、じゃあ、自分本位に我儘に生きておられるかというと、想定の範囲を超える位、他者思いであることに本当に驚かされる。

仕事で出張する時など、周囲の人が困った時を想定して、薬や日用品を含めたあったら便利であろうグッズを自分の荷物とは別に、もう1つの大きなキャリーに入れて持ち歩くそうだ。

何という方だろう。。

そして、人と会う際は、常に話のお土産、相手が喜ぶお土産を考えられていたり、相手以上に相手の良き未来を祈った仕事ぶり。感激する。

自分を真に大切にしながら生きて来れている方だからこそ、ここまで他者を大事に出来るのだろう、と改めて知らされた気がする。

これ以上を書いてしまうとネタバレになってしまうので、内容に関する言及はここまででとどめるが、森田さんの生き様に、これからの子供たち、そして永続する企業を担う社員の育成のヒントがあるのではないだろうか。

「なんのためにこれをするのか」「これをすることでどんな自分・相手に良き未来が見えるのか、好影響があるのか」

こんな当たり前だけど、本質的な考え方に立ち返ることが出来る人が社会に増えて行けば、きっとこの先の未来は面白いことになる気がする。

現に、中3息子や、小6娘の日々の言動から私はこんなことを感じている。「彼らは、我々大人以上に本質・真実に忠実である。」と。若い世代は気づき始めているのである。

先日Forbesを読んでいたら、どうやら今の若者のことを、True Gen(真実の世代)と呼ぶそうではないか。デジタルネイティブな彼らは、情報の波をうまく乗りこなし、良く知ろうとし、真に自分の心を突き動かすものにのみ惹かれる世代だと。

True Gen。なるほど、そういうことか。

「失敗を恐れる若手」に仮に悩んでいるとしたら、彼らの歩んできた過去に敬意を払い、彼らに関わる我々が、「感性・感覚・好奇心」に忠実に生きる姿を見せればいいのではないか。そこに行き着いた。

本当に良き1冊に出会えたと思う。森田さん、この本を世に出してくださり、ありがとうございます!

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