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本の虫(10年目)の100冊本棚

 病んじゃって、毎日狭い部屋に籠って、ただ小説を読んで過ごした中学2年生の冬。あれから色々あったのに、不登校も高校も東大も卒業したのに、今日も変わらず家は本の重みで傾いている。そんな夏です。

 何が言いたいかって、本の虫10周年だと気づきました。わーい。なんか嬉しくなっちゃった。続けようと思わないことの方が続いたりするんですよね。
 やろうやろうと思ってたのにやらずにいたのが、ブックリストをつくること。徹頭徹尾自己満足なんだから、やらなくて支障はないんだけど。せっかくなので、ハイテンションに任せて、つくってみました100選


👑王道10選

 「古典」というには語弊もあるような気がする。「教科書に載るような」を意味する形容詞ないのかな。あるのでしょうけれど、深夜3時半には思いつかない。詩文も戯曲も色々、世界中。ほぼ全年齢対象。でも一応対象年齢順(私的判断)に置いておきますね。自己満足のくせに発揮する気遣い。

ミヒャエル・エンデ『モモ』
宮沢賢治『銀河鉄道の夜』
・宮沢賢治『よだかの星』
・芥川⿓之介『羅⽣⾨』
・J.D.サリンジャー『フラニーとズーイ』
・フランツ・カフカ『変⾝』
・⾼村光太郎『智恵⼦抄』
・太宰治『斜陽』
・ドストエフスキー『罪と罰』
・オスカー・ワイルド『サロメ』

この猫の足跡好き。

📚小説20選【前期】

 「前期」って何。本の虫1〜5年目に仲良くしてもらった作品です。「いやお前の前期かよ」って自分で自分に言い聞かせるので勘弁してください。引きこもりの頃にできた友達はみんな年上でしたが、今では追い越してしまった奴も何人かいて切ない。秀美くんは書き下ろしの続編で再会できたのでよしとします。一つ言いたいのは、初恋もまだだったこの時期に江國香織さんを読んだことで歪んだ何かが確かにあるということです

・坂⽊司『夜の光』『仔⽺の巣』『⼥⼦的⽣活』
・⽶澤穂信『氷菓』
・宮部みゆき『ソロモンの偽証』
・辻村美⽉『スロウハイツの神様』『噛みあわない会話と、ある過去について』
・江國⾹織『スイートリトルライズ』『きらきらひかる』『冷静と情熱のあいだ』
・⼭⽥詠美『僕は勉強ができない』
・原⽥マハ『暗幕のゲルニカ』『楽園のカンヴァス』『総理の夫』
・住野よる『⻘くて、痛くて、脆い』『よるのばけもの』
・窪美澄『晴天の迷いクジラ』
・島本理生『Red』
・川村元気『世界から猫が消えたなら』『億男』

🎓学習10選

 学ぶの語源は「真似る」なんてよく言いますね。大学に入ってから尊敬する先生・学友から薦められて読んで、つまり真似してみてはちゃめちゃ良かった本を集めました。資格の本や自己啓発本とかではないのです。でも思いっきり教科書が入っている。『憲法』とか誰向けに載せてるんだろう、我ながらわからない。「他者と、社会と、つながってもみてもいいかな」って、そのために頑張り続ける勇気をくれた面々です。『社会学感覚』は追記されたところまで含めて好き。

・吉本隆明『共同幻想論』
・杉⽥敦『境界線の政治学』
・平⽥オリザ『わかりあえないことから ── コミュニケーション能⼒とは何か』
・鷲⽥清⼀『「聴く」ことの⼒:臨床哲学試論』
・野村⼀夫『社会学感覚』
・無藤隆、森敏昭、遠藤由美、⽟瀬耕『心理学 新版』
・芦部信喜(補訂:⾼橋和之)『憲法 第6版』(*第7版出ています)
・ジョーゼフ・キャンベル、ビル・モイヤーズ(訳・⾶⽥茂雄)『神話の力』
・ロラン・バルト『物語の構造分析』
・酒井健『夜の哲学 バタイユから⽣の深淵へ』

サムネの写真。イヤリングとリングケース(空)です。
ミネルヴァの梟イメージです。


🎨漫画20選

 本の虫になる前から漫画は好きだったので、初めて読んだのは小学生の頃の作品もあります。『NANA』とか。意味ほどんと知らないで読んでいましたね。「りぼん」読んでたのにお仕事漫画ばっかり好きだったことを思い出すなど。LGBTQとか知る前から『きのう何⾷べた?』をお料理漫画として読んでいた自分のこと結構好きです。

・⼤場つぐみ、⼩畑健『DEATH NOTE』
・⽮沢あい『NANA』『Paradise kiss』『天使なんかじゃない』
・⽻海野チカ『ハチミツとクローバー』『三⽉のライオン』
・樫の木ちゃん『株式会社ラブコットン』
・小桜池なつみ『青空ポップ』
・持⽥あき『おもいで⾦平糖』(*)『スイートソロウ』『ゴールデンラズベリー』
・朝霧カフカ、春河35『⽂豪ストレイドックス』
・よしながふみ『きのう何⾷べた?』(*)『愛すべき娘たちへ』
・⽥村由美『ミステリと⾔う勿れ』
・⼭⼝つばさ『ブルーピリオド』
・⽔城せとな『窮⿏はチーズの夢を⾒る』(*)
・幌⼭あき『マーブルビターチョコレート』(*)
・岡崎京⼦『リバーズエッジ』
・椎名軽穂『君に届け 番外編〜運命の⼈〜』

(*)マークついているものは、LGBTQが主題の一つになっている作品です。

📱漫画5選【電子】

 2013年から2022年までに何が変わったって、漫画を片手で読むようになったんですよね。スマートフォンで、無料だったりする。紙媒体大好きなので、斜に構えていた時期もあったけど、いい作品に出逢えたら「おーるおっけー!」な訳です。
 そこで、私が電子で読んだ作品を集めました。元々出版物の作品もあれば、『セッちゃん』のように後から単行本化されたものも(同作は漫画論でレポート書きました)。あ、『氷の城壁』が紙になったら買います。

・⼤島智⼦『セッちゃん』
・KAITO『⻘のフラッグ』(*)
・阿賀沢紅茶『氷の城壁』
・かっぴー、nifuni 『左利きのエレン』
・古宮海『可愛そうにね、元気くん』(**)

(*)マークついている作品は、LGBTQが主題の一つになっている作品です。
(**)マークがついている作品は、特定の性的嗜好に関する言及がある作品です。

🍯諸々10選

 上手く分類できず、夏。古典も新書も連弾詩集も展覧会図録も。『愛するということ』は王道かもしれないけれど。あ、『もうすぐ絶滅するという紙の書物について』はとても綺麗な本です。昨年の夏、うっかりコーヒーを浴びせてしまいましたが、いっそう美しさを増しています。アガンベンの『創造とアナーキー 資本主義宗教の時代における作品』について、これは最新の本かつ薄い本なので、初めての方もお気軽に。

・エーリッヒ・フロム(訳・鈴⽊ 晶)『愛するということ』
・⼭本七平『空気の研究』
・ロラン・バルト『恋愛のディスクール・断章【新装版】』
・⼭⼝路⼦『ココ・シャネルの⾔葉』
・江國⾹織、森 雪之丞『扉のかたちをした闇』
・荒⽊⾶呂彦『荒⽊⾶呂彦の漫画術』
・東京都美術館ムンク展「共鳴する魂の叫び 展覧会図録」
・国分功⼀郎『暇と退屈の倫理学』
・ウンベルト・エーコ、ジャン=クロード・カリエール(訳・工藤妙子 )『もうすぐ絶滅するという紙の書物について』
・ジョルジョ・アガンベン『創造とアナーキー 資本主義宗教の時代における作品』

🦋女性10選

 私の性自認が微妙に、それでも確かに女性であるから手にとった一冊。目を通して、苦しくなった。私は自分のことばっかりで、世界は優しくなかったりして、私は無力だね。それでも目を背けたくなくて手を伸ばし続けていたから、気づけばこんなに増えていた。本棚は、私も知らない私の核を教えてくれます。
 
私は『往復書簡 限界からはじまる』を読んでずっと泣いているような人間です。

・牛窪恵『恋愛しない若者たち コンビニ化する性とコスパ化する結婚』
・【編】北村 英哉、唐沢 穣『偏⾒や差別はなぜ起こる?―⼼理メカニズムの解明と現象』
・中野⾹織『モードとエロスと資本』
・⼭⼝慎太郎『「家族の幸せ」の経済学 データ分析でわかった結婚、出産、子育ての真実 』
・ラファエル・リオジエ(訳・伊達 聖伸)『男性性の探求』
・⻄井開『「⾮モテ」からはじめる男性学』
・ジョニー シーガー(訳・中澤 高志、大城 直樹 、荒又 美陽、中川 秀一、三浦 尚子)『女性の世界地図: 女たちの経験・現在地・これから 』
・ダフナ・ジョエル、ルバ・ヴィハンスキ『ジェンダーと脳: 性別を超える脳の多様性』
・上野 千鶴⼦ 、鈴⽊涼美『往復書簡 限界からはじまる』
・笠原 美智⼦『ヌードのポリティクス―⼥性写真家の仕事』


別アングル。

📖雑誌5選

 「an・an」とか入らないのなんでだろう。すごい買ってるのにね。「ゼクシィ 」も300円であんなキラキラした世界を無心で味わえるなんて最高なのにね。首都圏2021年1月号を買ったら、ストッキングついてきたし。
 でもまあ今回は「読み返したい!保存本」として選んだので、以下の面々です。「Maybe!」はどの号も永久保存かもしれない。「美術⼿帖」は内容はもちろん、表紙がマット加工で特集と合っていて好き。手前味噌で申し訳ないんですけど、「東大美女図鑑」はテーマも透明のカバーの案が我ながら天才なので。別の記事で詳しく書きます、長くなるので。

「Maybe! vol.1  恋愛ってなんだ」
・「現代思想 2019年11月号 反出世主義を考える」
・「ゲンロン5 幽霊的身体」
「東大美女図鑑 vol.14」
「美術⼿帖 2022年02月号 ケアの思想とアート」

『東大美女図鑑 vol.14』

📚小説20選【後期】

 大学生になってから沼った面々。高校生の頃からお世話になっている作家さんもいらっしゃいますが、いま好きな本を選ぶならこの辺りになります。こうして見ると短編集多いかも。
 語りたいこと尽きないんですが、村上春樹『⼥のいない男たち』は「ドライブ・マイ・カー」ではなく「木野」を推しておきます。何度も読みたくなるので、二週目以降は雨の描写に着目してみてください、ぜひ。
 それと、私の思う朝井リョウはこの3冊で構成されています。『どうしても⽣きている』はハードカバーで買ったのですが、最近平棚で目があった文庫版の装丁があまりに素敵だったたので、友人に贈りました。

・⽩⽯⼀⽂『僕のなかの壊れていない部分』
・⽯⽥⾐良『MILK』
・佐藤正午『夏の情婦』『恋を数えて』
・村上春樹『⼥のいない男たち』
・窪美澄『トリニティ』
・綿⽮りさ『⽣のみ⽣のままで』
・千早茜『正しい⼥たち』
・彩瀬まる『くちなし』『あの⼈は蜘蛛を殺せない』
・島本理⽣『2020年の恋⼈たち』『あなたの愛⼈の名前は』
・古市憲寿『平成くん、さようなら』
・川村元気『四⽉になれば彼⼥は』
・朝井リョウ『正欲』『ままならないから私とあなた』『どうしても⽣きている』
・村⽥沙耶⾹『地球星⼈』『星が吸う⽔』『信仰』


 100冊選ぶの楽しくて、110冊になっていました。僕は算数ができない。つまらないことを言いました、最後まで締らない。
 次は一冊一冊に小言を贈りたいな。もしくは追記しますその頃にはまた言葉を残したい本も増えているのかもしれない。あー、また今後の抱負を言ってふんわり誤魔化すのをやってしまう。

 なんにせよ、飽き性でものぐさな私を10年間も捕らえて放さないでいてくれる本という存在に改めて感謝です。どこでもドアがすでに存在しているとしたら、コイツで決まりでしょう。
 10年間ありがとう、これからもどうか知らないところへ連れて行ってください。

京都のホホホ堂さん。好き。



*漫画作品について直接的な視覚表現があるため注意書きをしています。そのほかの作品についても、「読んでみたい!」けれど懸念点があるといった際はお問い合わせいただければと思います。

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