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ミラノ第4週 ユベントスの収益拡大戦略を学びセルティックを研究しては天沢聖司くんの修行先を訪問

今週はテストとグループ課題が多く控えていることもあり教室での授業は少なく、その代わりにユベントスを訪問しました。同上の理由から週末は遠出はせず、日帰りで「耳をすませば」の天沢聖司くんがバイオリン作りで修行のために旅立った町へ行きました。

ユーベの新スタが”わずか”4万人収容な理由

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トリノ市を本拠地とするイタリア国内リーグ、セリエAを9連覇中の名門ユベントスは2011年9月から使用されているアリアンツ・スタジアムことユベントスの新スタジアムを使用しています。しかし収容人数は約41,000人と世界有数の名門クラブとしては小規模なのではと思いませんか。

まず新スタジアムを建設することになった理由には、それまで使用していたデッレ・アルピはトリノ市の所有物であり、しかも同じトリノ市を本拠地とするトリノFCと共同使用していたため改善等をするにもトリノFCとトリノ市の双方との調整が必要でした。これだとスピード感に乏しく、クラブの収益拡大にとって大きな障壁となっていました。

しかも旧スタジアムのデッレ・アルピは陸上トラックがあり客席からピッチが遠くて試合が見づらく、しかも約67,000人も収容する大型スタジアムが満員になることは滅多になかったのです。2001年11月のチャンピオンズリーグでドイツの名門バイエルン・ミュンヘンと対戦した際は悪天候だったこともあったにせよ、約18,000人しかスタジアムを訪れずにUEFAから調査を受けたそうです。

そこで新スタジアムを建設するにあたって、市場調査を行ったところ「常に満員のスタジアム」にするためには4万人〜45,000人の収容人数がちょうど良いとの結果だったとのこと。昨シーズンの観客動員は約39,000人(収容率94%)で「劇場空間」を常に演出することに成功しています。

ちなみにユベントスはホームサポとアウェーサポの座席の間に緩衝地帯を設けていないようです。試合運営の担当者に話を聞いたところ、緩衝地帯を設けることが一部来場者の闘争心を逆撫でしてしまい、逆に開放した方が心理学的にも暴動を抑制できるとのことでした。はい、ユベントスはスタジアム来場者の導線も含めて、いかに高収益化できるかを心理学をも用いて追求しているとのこと。

ユベントスはいかに主催試合で収入を確保しているのか

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高集客率の実現に成功したユベントス主催試合のチケットを入手することが困難化、つまりは「プラチナ化」したことでチケットは強気の値段設定で販売されています。はい、本日開催されたフィオレンティーナ戦を観戦した同級生が購入した最安チケットは約14,000円(※注目試合だったので通常より高価格のダイナミックプライシングを実施)だったそうです。

昨シーズンはチケット収入が約90億円でしたが、豪華な食事やラウンジでくつろいだりもできるホスピタリティシートと年間シートを合わせた収入は全体の20%ほどとのこと。ホスピタリティシートと年間シートそれぞれの数字は教えてもらえなかったのですが、ユベントスもプレミア勢と同じく今後は高価格帯チケットの収入を伸ばしていきたいそうです。

それにしても注目試合で値上げしているとはいえ最安チケットが14,000円ほどとはビックリしました。本拠地が76,000人収容のマンチェスター ・ユナイテッドは「スタジアムの熱狂を失わない」ために最安チケットは5,000円ほどに据え置きしていることを考えると、チケット収入を拡大するには41,000人収容だとどうしてもチケット単価を上げる必要があるのか、それともホスピタリティシートの収入を伸ばせれば最安チケットをもう少し安くできるのではと思いました。

ちなみに前回のインテル訪問に続き今回もAFC加盟国で集合写真を撮ったものの、1人がトイレに行っていたので全員が集合しませんでした。次回の訪問は明日2/3(月)にフェラーリの予定なので、今度こそは全員集合できますように。

ユベントス博物館は見応えあり

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スタジアムに併設されている博物館には歴代優勝トロフィーの展示やシーズンごとの出来事を紹介している「お馴染み」のコーナーだけでなく、ユベントスで300試合以上に出場した選手全員も紹介していました。他にも360度大型スクリーンに囲まれた部屋では過去の名シーンを映像で紹介しておりインパクトが大きかったです。部屋自体は迫力を感じられるように30畳ほどとコンパクトで、ぜひ日本のプロスポーツチームにも取り入れてほしい空間でした。

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所属選手の写真が多く展示されており、ロベルト・バッジョやデルピエロはもちろんですが、ジュビロ磐田でプレーした1990年に母国開催のW杯で得点王に輝いたサルバトーレ・スキラッチ選手の写真も発見。その実績からしたら当然なのですが、Jリーグでプレーした選手がイタリアでも愛されていることを目の当たりにし、改めてすごい選手だったんだなと実感。。今後もJリーグにより多くのスーパースターが来日し、もっと注目されてほしいなと思いました。

脱フットボールクラブの時代

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試合運営の担当者の他にも人事と営業担当者の方にも話を聞かせて頂きました。中でも収益を拡大するためにはチケット収入、放送権収入、その他グッズなどの収入だけに頼る「フットボールクラブ」ではなく、様々な業種や国の企業とコラボする「国際エンタメ企業」を目指しているとの話が印象的でした。

オシャレ大国イタリアならではのアパレルブランドとコラボしたシャツを新たに販売したり、海外や異業種からの人事採用を積極的に行っているそうです。しかし、厳しい見方をすると「イタリアではユベントスが国際化のパイオニア」という事実が英国プレミアリーグにだいぶ先を越されている事実を目の当たりにしました。

営業担当者ご本人もかなり危機感を感じており、特にビジネス面でも世界有数の「実力」を誇るクリスティアーノ・ロナウドがユベントスに所属している間こそがビジネスを展開する最大の機会であるため多忙な日々を過ごしているとのこと。

また、世界戦略ではお馴染みのアメリカや中国、インドなどの経済&人口大国はプレミア勢を始めとした競合が多すぎるとのこと。それではその先を見据えて凄まじい勢いで経済成長と遂げているアフリカ方面を開拓しようとはしているものの、経済の不安定さが足かせとなっているそうです。

当日の模様を動画にまとめましたので、もしよろしければご視聴ください(音声あり)。

やはりイタリアは美食の国

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そして軽食を提供してもらえたのですが、インテルに続きユベントスもめちゃウマでした。フットボールビジネスの市場規模ではイングランド勢との差が広がってしまっているイタリアですが、街中のカフェも含めて食事はイタリアの圧勝です。

Jリーグのスタグル文化と同じく、イタリアサッカー界もイタリアの特色をどんどん生かして発展されることを楽しみにしています。

「耳をすませば」で知った町、クレモーナ

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今週末は個人プレゼンのデータ提出、そして木曜日に実施される会計の試験勉強があるため、ミラノから電車で1時間で行けるクレモーナにて4時間のみの滞在という小旅行にしました。

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高校時代にサッカー部の同期「長老」こと、たっちゃんにジブリの名作「耳をすませば」をオススメされて見たら衝撃を受けたのがもう19年前。その後、失恋時や大学受験、就職活動やFIFAマスター受験時など人生の節目で何度も見ている「耳をすませば」の主人公と両思いになる天沢聖司くんが高校へ進学せずにバイオリン作りの修行のため旅立った町がクレモーナ。

しかもミラノから電車で1時間で行けるなら行くしかない。バイオリン博物館では「たくさんバイオリンがあるなー」と音楽素人の私は凄さを理解しきれませんでしたが、クレモーナの町はのんびりしていて過ごしやすかったです。西武線の拝島あたりに似た優しい雰囲気の町でした。

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クレモーナ大聖堂の隣にあるトラッツォという塔の上から町を眺めると、れんが造りの家が並び絶景でした。

そして町並みを眺めているとスタジアムを発見したので行ってきました。

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調べてみるとかつてジャンルカ・ヴィアッリ(ビアリ)やエンリコ・キエーザ(現フィオレンティーナ、フェデリコ・キエーザの父)が若き日にプレーした「クレモネーゼ」というチームの本拠地でした。

どこかで聞いた名前だなと思ったら、キングカズこと三浦知良選手がイタリアでプレーしていた1990年中盤にクレモネーゼもセリエAに所属していました。長らくセリエBからセリエAに昇格できずにおりますが、当時セリエAに夢中になっていた私にとっては聞き覚えのあるチームのスタジアムを訪問できてラッキーでした。

セルティックの未来は何処へ

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組織論の課題にて「KPMG社のランキングトップ32以内のチームを分析し、今後の事業戦略を提案せよ」という課題では昨年末にレンジャースとの伝統の一戦「オールドファーム」を観戦しに訪れたスコットランドの名門セルティックを選びました。

とはいえ世界中にファンがおり、6万人収容のスタジアムで1試合平均で約55,000人が来場し、年間シートの売り上げも右肩上がりで昨シーズンは約52,000枚も売れたセルティックが収入を拡大するにはどうすれば良いのか。それは欧州CLでの好成績による賞金&放映権、もしくは噂が先行する「欧州スーパーリーグ」に入ることしか挙げられませんでした。

セルティックは現在国内リーグを9連覇中、しかも3年連続で国内3冠を達成しているため皮肉にもリーグ全体の競争力が低いため北米やアジアのサッカーファンには注目されていません(=放映権が売れない)。しかも2017年に発表したスタジアムに隣接するホテル建設計画は凍結されており(原因は見つけられず)、現状を打破するには欧州CLでの躍進しかないのか。

ただ、興味深いことにルームメイトがドイツの名門バイエルン・ミュンヘンも規模は違えど似たような状況を迎えていると教えてくれました。国内リーグにおいて戦力面よりも、経済面で頭打ちを迎えているチームが「欧州スーパーリーグ」の早期実現を望んでいることを学ぶことができました。

美食の国にてチャーハン

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冬休みに妻が大量に持ってきてくれた救援物資のひとつにチャーハンの素(黒胡麻ガーリック味)があり、韓国人のルームメイトが持っている胡麻油を使って調理したら感動的なうまさでした。

節約のため食事はほぼ自炊で、たまに近所でクロワッサンやピザを買ったりしますがやはり白米が一番。食文化が近いルームメイトに恵まれて本当に助かっています!

来週はテスト直前&グループ課題が2つあるため授業は少なめですが引き続きガンバります。そして週末は待望のミラノダービーを観戦予定です!

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