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【最終回】FIFAマスター第20期を修了しました

6月12日の口頭試問を終えてからはひたすら卒業研究に打ち込み、幸いにも私たちのグループはもう1グループと共に最優秀賞を受賞しました。そして2019年9月12日に始まった世界27か国から集う31人のクラスメイト達との山あり谷ありな旅が7月17日に一旦幕を閉じました。

コロナ禍により大阪の自宅に戻ってのオンライン授業が英国レスターやミラノで過ごした日々よりも長くなってしまったのは残念でしたが、仲間たちとお互いを鼓舞し続けたこの経験こそがFIFAマスター最大の魅力なのだなと実感。前置きが長くなりましたが、この1か月を振り返ります。

期限4分前に提出した卒業研究(修士論文)

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私たちの研究テーマは「告発者はスポーツ界のガバナンスにどのような影響を与えるのか」でした。昨年9月に初めてグループで集まった際(上記写真、若い!)に挙がったお題がそのまま採用となったわけではありません。他にも「違法配信」や「テクノロジードーピング」、「スポーツベッティング」なども候補にありましたが、初志貫徹した結果が最高の結果に結びつくとはこの時は想像できるわけもなく。

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3月中旬にヨーロッパでコロナ禍が悪化し、各自が自宅に戻ってからメンバー間の時差は最大7時間。その状況を嘆くのは簡単ですが、そんな中途半端な覚悟で10年もお世話になった前職を辞めて留学したわけではないので、様々なツールを用いて役割分担と進捗状況を明確にしたり、密に連絡を取ってお互いを鼓舞し合っていました。意見の食い違いが発展しての言い争いも当然ありましたが、オンライン上で喧嘩をしてもしゃーないので、できる限り前向きな言葉を意識したのが結果的に良かったです。

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また、多くの識者に実施したインタビュー取材はこのご時世で皆さんが在宅ワーク中だったので、時には1時間半も取材をさせて頂けました。もちろん長ければ長いほど議事録を作るのが大変でしたが、スポーツ界の最前線で活躍されている方々から多くを学ぶ絶好の機会だったので、ひたすら楽しかったです。学生の研究だったからこそ取材に応じてくださった方もいたので、この研究を通じて広がった人間関係も大学院進学の価値だと思います。

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実は超大物な主査の教授と、FIFAマスター卒業生でもある副査の教授の献身的な支えがあったからこそ前述したようなメンバー間の口論はあっても、振り返ってみれば順調に執筆できました。行き詰まった時には気休めに他のグループの進捗状況と比較しがちでしたが、競争しているわけでもないですし、提出直前に焦って雑な内容にならないようにコツコツとやるべきことをやろうと意識しました。

時差が7時間あることのメリットとしては、常に誰かが作業をしているので前進し続けているのが見える化され、充実感を味わえたことです。さすがに提出期限の2週間前からは毎日眠くなるまで作業をしていたので生活リズムは乱れましたが「人生最後の学生としての1年間だぞ」と思うとエナジードリンクは不要でした。

そして文章校正が終わったのが提出2時間前で、そこから事前に別途作業していたデザイン面を仕上げて提出したのが期限の4分前でした。ソワソワしたのは事実ですが、前職時代に経験した斎藤佑樹選手が多くの球団に指名された結果ハズレ1位指名が何度も繰り返されて大混乱したドラフト会議のニュース速報の準備や、錦織圭選手のインタビュー動画を生中継に間に合うように時間に追われながらマッハ編集をした経験が生きました。

期限ギリギリまで改善点を探し、やれることはやるというモノづくりへの貪欲な姿勢を前職時代に学ばせて頂いた先輩方には感謝してもしきれません。

万全を期してのプレゼン

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修論を提出した1週間後に例年は講堂での発表となりますが、今年はオンライン発表会となりました。事前のリハーサルで副査の教授から「Zoomプレゼン時は聞き手を飽きさせないようにパワポのアニメーションを普段より多様した方が良い」とのアドバイスを頂き、徹底的にこだわることに。

プレゼンでの役割分担も執筆時と同じく明確にしました。メンバー4人の中で私の英語力が最も劣っていたものの、パワポのデザインや発表時の緊張下におけるパワポ操作なら前職の生中継時のディレクション経験を生かせるだろうと考えていました。映像編集時のナレーションと映像をしっかりリンクさせることと同じく、パワポのナレーションとアニメーションも違和感なくつながることに徹底的にこだわることにメンバーたちも同意してくれたので余計なストレスなく打ち込むことができました。

発表当日は限定公開されていたライブ配信(私たちの発表は上記Youtubeリンクの1:29:30~)で他のグループの発表も見れましたが、自分たちの前のグループの発表は見たら気が散るだろうと思い、見ませんでした。とはいえ3番手だったのであっという間に順番が回ってきました。

持ち時間は20分。リハーサルでは18分だったので本番で多少延びても大丈夫という安心感と、発表前夜まで付き合ってくださった主査と副査の教授に頂いたアドバイスを自分たちなりに解釈できた自信を胸に堂々と発表し、質疑応答もお互いに補足し合いながら対応できました。

ベンゲル氏から祝辞を頂いた修了式

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修了式もオンラインとなりましたが、やれることはやりきったので晴れやかな気持ちで当日を迎えました。3月中旬に帰国してからの4か月をテキトーに過ごしていたら悔いはあったかもしれませんが、フルパワーで完走できましたし、何よりも家族と友人たちの応援があったからこそ完走できました。

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そしてFIFAマスターでは毎年スポーツ界の著名人(現FIFA事務総長ファティマ・サムラ氏、元ラグビー南ア代表主将フランソワ・ピーナール氏、ボビー・チャールトン氏など)から祝辞を頂いているのですが、今年はなんと元アーセナル監督でありJリーグサポ的には90年代中盤に一時代を築いてレジェンドでもあるアーセン・ベンゲル氏でした。

同氏が長年率いていたアーセナルと同じく、多国籍なFIFAマスターのクラスメイトたちと過ごした日々、そしてコロナ禍での困難を乗り越えた経験は今後必ず生きるので大切にしてほしい、などなど今後の人生の支えとなるであろう金言を頂き感謝の気持ちでいっぱいです。

そして私が高校時代の部活で練習メニューを考える際に参考としていた「ベンゲル・ノート」を思い出しました。あれから早18年、上記リンクや他のサイトにて久しぶりに内容を確認したところ、その内容はベンゲル氏の祝辞と重なる点が多々ありました。ということは人生において大事なことは時が経っても不変なのでしょう。

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最後に成績優秀者と卒業研究の最優秀プレゼンが発表されました。恥ずかしながら前者は早々に諦めていたのと、後者は意識する余裕すら無かったので私たちのグループが読み上げられた時はただただ驚きました。

しかも今年は最後の最後まで教授陣の中で2グループ間でどっちが受賞すべきか意見が分かれていたようです。そんな状況において「せっかくなら両グループに授与しよう」という英断をして下さった教授陣にも感謝の気持ちでいっぱいです。

修了式が終わってからのバーチャル飲み会はもちろん盛り上がりましたが、みんなと同じ会場で歓喜のハグと乾杯で喜びを分かち合えない切なさが込み上げたのも事実。

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上記写真は昨年12月の英国レスター最終日に実施されたパーティでのグループ写真ですが、2学期の途中で帰国となったため飲み会で4人全員が揃ったのはおそらくこの会が最後でした。だからこそ今回の打ち上げをするためにも必ず世界のどこかで再会しようと誓い合いました。

毎日が学びに溢れた10か月

さて、最後にイギリス、イタリア、そしてオンラインで過ごした10か月をサクッと振り返ります。

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間借りしている大学に隣接された寮で共同生活をしていた英国レスターでの1学期。当初は予習復習を含めた勉強のペースに慣れることに時間がかかり、連日3時ごろまで悪戦苦闘していました。

それでも毎週フットサルやサッカーをしたり、夕食の時間に欧州CLを見れる幸せを感じ、寮生活なので移動も楽かつ財布にも優しい宅飲みをしては、世界中から集まる同志たちとお互いの夢を語り合いました。

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2学期のミラノではアジア圏出身のクラスメイトたちと学校から徒歩5分のアパートにてルームシェアをし「AFCハウス」と命名。徐々に就職活動という現実が迫ってきていたものの、週末の大半は彼らと旅行をしたり、学級委員の発案で毎週誰かしらの家かバールで飲んでいました。(上記写真はクラスのほぼ全員が集まったAFCハウスでのクラス会で、騒ぎ過ぎて翌日に大家さんから厳重注意を受けました)

グループ課題や試験前には勉強会を開催し、気が付いたらワインを何本も空けており、完全にワイン党でした(とにかく安くてうまい)。先ほどから飲んでいることしか記載していませんが、全くもってその通りです。

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そんな楽しい日々もコロナ禍の悪化に伴い、3月上旬に学校が手配してくれたスイスの山中にあるログハウスへ主にアジア・アフリカ圏など遠隔地から来ているクラスメイトの約半数と避難。先が見えずに不安ばかりが募ってはイライラし、オンラインで実施されていた授業は頭に入るわけ無く、試験もボロボロでした。

日に日に状況が悪化するニュースばかりが耳に入り、更にイライラしてはぶつかることもありましたが、誕生日会を開催したり、各地に散ってしまったクラスメイトたちとのビデオ電話で冗談を言い合ったり、励まし合ったり、なんだかんだで笑っている時間の方が多かった一生忘れられない10日間となりました。

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そしてコロナ禍のさらなる悪化に伴い一時帰国を強いられた際には「また会おう」と誓い合ったものの、修了までにそれは叶わず。3学期は全てオンライン開催となりましたが、とにかく悔いは残すまいと食らいつきました。時差の都合もありアメリカ大陸のクラスメイトは昼夜逆転の生活を余儀なくされていたので、夕方~深夜にかけて受講できた私は幸運だったかと。

また、定期テストは普段なら教室にて資料の持ち込みNGで実施されていましたが、今回は提出期限を定められた上でガッツリと出題されました。ガッツリとリサーチすることを求められたので想像以上のボリュームでしたが、それだけ学べたことも多かったです。スポーツ仲裁裁判所の判例を読み漁ることは今後の人生でもう無いだろうと思うほど読み漁りました。

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自分がクラスの平均年齢である26歳の頃だったら同じ姿勢で臨めたかは分かりませんが(おそらく無理)、35歳だったからこそ「これが人生最後の学生として過ごすひと時だよな」と火事場の馬鹿力みたいのが発揮できたかもしれません。

睡眠時間よりも勉強やクラスメイト達と遊びに行ったり、夜な夜な語り合う時間を優先したからこそ多くを学び、友情も深まりました。だからこそ年齢を理由に新たな挑戦をするか躊躇している方には迷いなく「挑戦できる環境ならば挑戦すべし」と応援したいです。

そんな環境を整え、私を送り出し、予想外の事態に陥っても快く迎え入れてくれた最愛の妻には感謝してもしきれません。

これから

FIFAマスターでは卒業後にFIFAで1年間の有償インターンシップに参加できる枠が一定数あります。私はこのインターンが入学前から第1希望だったので応募し書類選考は突破できたのですが、残念ながら面接にて選外となりました。

とはいえ人生は続きますし、スポーツを通じて世界中の人々の暮らしを豊かにしたい思いは変わりません。何よりも同じ志を持った31人の同級生たちや卒業生の方々という仲間が世界中にできました。その仲間たちと協力し、思いを実現し続けるべく引き続きガンバります!

SPORT GLOBAL発足

そして私のFIFAマスター挑戦に多大な影響を与えてくださり、かつ応援し続けてくれた辻翔子さんが本日「海外スポーツ界に挑戦する上で必要な情報がすべて揃っている」プラットフォームを開設しました(以下リンクより)。

SPORT GLOBALではFIFAマスター以外の大学院や語学の勉強方法などなど先人たちの経験談を通じて紹介されています。当noteは今回が最終回となりますが、これから海外スポーツ界への挑戦を検討している方はSPORT GLOBALをよろしくお願いします!

最後に

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FIFAマスターに挑戦する日本人の方が増えることが日本サッカー界の強化につながると信じ、当noteを通じてFIFAマスターでの勉強や生活について発信していました。新たな出会いも生まれるキッカケにもなり感謝の気持ちでいっぱいです。

2050年までに日本でFIFAワールドカップを再度開催し、日本代表が優勝することを実現すべく今後もガンバります。

ご愛読くださり本当にありがとうございました。当noteはこれにて終了しますが、同じ志を抱く皆様と世界のどこかでお会いできる日が楽しみです。今後ともよろしくお願いします!

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1985年神戸生、地元は横浜。関東とアジア諸国で育ち、98年W杯から現地観戦を継続中。大阪のCS局で10年半勤め、日本で再度W杯を開催するには本丸へと思い2019年9月FIFAマスターに入学、2020年7月修了予定。連絡先はtaizouchida @ホッとメール.comです。