Fieldism Live Report Vol.5: Bloodeyed Sunset Pre. ''Blinded Eclipse Release Show'' (4-30-2022)
↑ 前回のライブレポはこちらから
いつもお世話になっております、Ryotaです。
Fieldism Golden Week Special系連続更新第3弾では、東京を拠点に活動するメロディックデスメタルバンドBloodeyed Sunsetのレコ発にお邪魔しましたので、ライブレポを挙げさせていただきます。普段なかなか行かないメタル系イベントですが、SNSで知り合ったメタラーの皆様とエンカウント出来たりBPM200オーバーの単音リフでオタクスマイルを浮かべたりと本当に楽しいイベントでいい刺激を受けました。コロナ禍前から東京遠征の度にアンチノックには足を運んでますが、今回はAFTERGLOWのラストライブの時と同じかそれ以上にも盛り上がってた気がします(NO.1はCounterparts & Silent Planet来日)。
ただ、同日に投稿されたAblaze Pre. ''Scapegoat'' Release Showとハシゴした影響で(こちらのライブレポは次回投稿予定です)、このライブはONE LAST STANDまでしか生で観れていません。それでも紹介しないのはこのイベントの主催者様に失礼なので、大阪に帰ってから配信のアーカイブも拝見させていただきました。そのため、トリ前のThe Art of Mankindと主役のBloodeyed Sunsetも併せて紹介させていただきます(下記URLから5/14まで視聴可能なので、気になる方は是非)。
※各出演者の名前は敬称略になること、予めご了承ください。
1. Wrath of Noah
今回のトップバッターを務めたのは東京を拠点に活動しているスラッシュメタルバンドWrath of Noahです。Testament, Kreator, The Hauntedあたりのスラッシュメタル / デスラッシュから影響を受けているソリッドなサウンドでトッパーからBPM速めで駆け抜けていきましたね...。
早稲田大学のバンドサークル出身の彼ら、活動拠点自体は東京なんですが2018年に結成した矢先にVo. HAYA SEAが仕事の都合で北海道に移住している関係で(MCで「実質外タレ」なんて揶揄もされてましたし、本人も北海道の地図が書かれたTシャツ来てましたね)、主な活動時期がお盆や年末年始やゴールデンウィークなどの長期休暇に限られているそうです。曲間のMCでもVo. HAYA SEAは「久しぶりに東京に帰ってきたんだけど、他のバンドを観て『かっけえ!』ってテンション上がるのとか、同時に『負けないライブをしよう』とか改めて大学のサークル時代を思い出した」とも話していましたね。
今サブスクリプションサービスでも聴くことができる1stアルバム「Wrath of Noah」もレコーディングからリリースまで2年かかったらしいです。この作品のミキシングとマスタリングですが、来月アルバム ''DUALITY'' を引っ提げて日本各地+ヨーロッパを回ることで話題のSable HillsのGt. Rictが携わっています。彼も早稲田大学出身なのでその関係もあるかもしれません。
↑詳しくはBa. HARUがセルフライナーノーツを書いているのでそちらからどうぞ。
普段スラッシュメタル・デスラッシュをあまり聞かないので浅学で申し訳ないのですが、実際のライブは楽曲の大半がBPM200オーバーのスピード違反確定系「速え!強え!かっけえ!」と言いたくなるに違いない、メロイックサイン必須系のライブで一バンド目からぶちあがりました。このバンド、Gt. MAATHIIだけでなくBa. HARUも作曲に携わってるんですね..。
終わった後アルバムを一通り聞いたんですが個人的には作中最速のデスラッシュチューン ''Suicide'' が一番好きです。鉄壁のダウンピッキングと、爆速で突っ走るドラム、うねりまくるベースラインが聴きどころです。普段「優勝」という言葉は使わないようにしてるんですが、これは1バンド目から「優勝」という感覚を久しぶりに味わいました。
2. Unarmed
2バンド目は東京を拠点に活動している若手メタルコアバンドUnarmed。今注目度が高まっているいわゆる ''99~00年組'' のバンドの一つで、今回のメンツの中ではおそらく最年少です。このバンドと言えば「''メタルコア'' というより ''メタル+ハードコア''」が基本的な図式ですが、今年に入って改名して以来以前よりもメタルバンドとしての純度を高めているのは、先日リリースされたシングル ''The Avenger'' を聴くとお分かりいただけるかと思います。先日のレコ発もWinter Wakes以外はSable HillsやHONE YOUR SENSEや後述のThe Art of Mankindなど、メタルな先輩を集めた豪華なメンツで楽しそうでした。
半年前にMercy Personality !s Darkのアンチノック定期公演でGOAT時代の彼らを観たことがありますが、改名+Ba. Syunyaが正式メンバーとして再加入してからは初めてです。ちなみに最初に観た時は今名古屋のポップパンクバンドkings and Queensでベースを弾いているDaikiがサポートを務めておりました。
Gt. Itsukiが手掛けるスラッシュメタル・メロディックデスメタルを取り入れたリフワークとクサすぎるリードパートや、白目をむいたり膝をついたり全身で世界観を表現するVo. Takumaのパフォーマンスは新体制になったことでより洗練された印象です。また、再加入したBa. Syunyaの楽曲に合わせてピック・指弾きを巧みに使い分けるスタイルも新鮮でしたね。ANTHRAXのカバーをちょこっとやったりするところも、より「メタル」バンドとしてのアイデンティティが垣間見えた気がします。
現名義の音楽性が如実に表れているのは、セトリの一番最初の ''Dark Colony (新曲)'' と 一番最後の''Everlasting'' だと感じており、ここでは ''Everlasting'' について言及するんですが(前者についてはまずはライブとかで直接確かめてほしさあるので)、Itsuki曰く ''僕の中のマイケル・アモットが滾った'' とArch Enemy色の強い楽曲に仕上がっているわけですが、3拍子と4拍子を巧みに切り替えつつもサビで歌謡曲メロディなギターが彩る一つの大きなドラマが形成されてました。
気になる人はシングル ''The Avenger'' を是非CDで購入してください。
オケ自体はスウェーデン色が強いですが、全日本語詞のボーカルは軍歌又は戦時歌謡曲がルーツになっているVo. Takumaの個性が発揮された和洋折衷のメタル・アンセムになっており、歌詞の内容もVo. Takumaなりの考えが如実に表れた考えさせられる内容になっています。ここではその内容の是非については触れませんが、気になる人は是非ご一読していただけると幸いです。
と、まとめていた矢先にこのレポートのリリース直前のタイミングでオフィシャルからアナウンスがあり、5月の公演をもってVo. Takumaが脱退することが決まりました...。正直GOAT時代からがっちりハマっていた印象だったので残念でなりません...。
3. Desolate Sphere (初ライブ)
東京を中心に活動しているメロディックデスメタルバンドDesolate Sphereが初ライブを敢行。2020年にGt. T.Murakamiが中心人物となって結成されたこのバンド、元々ソロプロジェクトから始まったらしく2021年に ''The Blackest Desolation'' をリリース後(Vo. はトリのBloodeyed SunsetのSin)、にKent SasakiがVo.として正式に加入。昨年12月には2nd EP ''Hallucinosis'' をリリースし、直後にDr. たいきっく、Ba. Roki、Gt. Sakaの3人が加入しフルメンバー構成としてライブ活動を始めた...という経緯があります。
そんな精鋭揃いのメンバーが集ったDesolate Sphereの初ライブ、おそらく耳の早いメタラーの皆さんは以前からチェックされていたのか早くからフロアには黒の軍団に覆われていてその注目ぶりをまざまざと見せつけられました。もちろんライブ自体も本当に初ライブ?と思わせるものがあり、Gt. Murakamiのプレイスルーとも遜色ない技術展の高い無慈悲な単音リフ&メロディックなリードパート、Dr. たいきっくの爆走ドラミング、Gt. Saka & Ba. Rokiの土台を支えるプレイ、そして高音のスクリームと低音グロウルを使い分けるVo. Kentのパフォーマンスにはそういった説得力がありました。
楽曲自体も1st EP ''The Blackest Desolation'' や最新EP ''Hallucinosis'' からまんべんなくプレイされており、Dimension Zero & At the Gatesを彷彿とさせるスウェディッシュな疾走感やThe Black Dahlia Murderあたりのアグレッション+ドラマ性に富んだ楽曲陣でずっとキラキラした目で「速え!強え!かっけえ!」って感じてました。特に2nd EPの ''The Fallen Father'' や '' The Last Hunter'' はTBDM色強いうえに早すぎてスピート違反&一発免停案件必至で滾りましたね。
KentのMC、「僕たちの活躍を応援してくれる方、声を掛けるだけでも、物販を買ってくれる方も、それが僕らの活躍の糧になるから」と初ライブに来てくれた方に感謝の念をこめながら、初ライブを爆速で駆け抜けていきました。今後、夏ごろにシングルのリリースも計画されているので期待して待ちましょう。
度々当noteでも取り上げてはいますが、Vo.のKentはFade in SolitudeやThe Agony of Tortureで活躍してきたGt. RikuとIn Denialというプロジェクトで活動しており、こちらはThall感溢れるDjent・プログレッシブメタルサウンドを奏でます。ちなみに当日はRikuも来ていて、筆者は初めて彼と会話を交わしました。
ちなみにDr.を務めているたいきっくも、新潟を拠点に活動しているデスコアバンドDIVINITYに所属しており、彼らも2月にEP ''IMITATOR OV DEITIES IN FALSE GENESIS'' をリリースしています。こちらも是非チェックを。
4. ONE LAST STAND
4番目は茨城県・つくば市を拠点に首都圏で精力的なライブ活動を行っているポストメタルコアONE LAST STANDです。Vo. 雄志を中心に多種多様なバックグラウンドを持ったメンバーが集まっており、メタルコア/メロディックデスメタルを軸にデスコア、ポストハードコアにポエトリーリーディング、ヒップホップなど様々な要素を取り入れたオンリーワンのサウンド、トリプルギター体制や各メンバーのアグレッシブなステージング/パフォーマンスも見どころです。
このバンドとがっしー君(企画 ''Buried Alive'' の共催者)が親交があったことで筆者もこのバンドを知ったのですが、名前を知ってからライブ映像をTwitterで観まくったのち、音源を全部通販で取り寄せた経験があります。立川バベルで行われた90分セットの無観客ライブ ''陽はまた昇る'' も観ていて兼ねてからライブ観たいなと2年くらい思ってました。
普段からオールジャンルのライブに出演することもありアウェーな状況でも埋もれない地力がある彼らですが、もう転換リハの時点でVo. 雄志さんが「これまだリハーサルだから!」と断りを入れるほどフロアは熱気に包まれていました。もちろん実際のライブもそんな熱量にあふれたエネルギッシュなパフォーマンスとジャンルに縛られない自由な展開に富んだ楽曲陣には笑顔でこぶしを挙げざるを得ませんでした。特に先日リリースされた新譜 ''暗夜行路'' からの楽曲はMalevolenceを彷彿とさせるねちっこいメタリックリフが随所に出てきて最高でしたね。
以前から映像を見て思っていましたが、ギタリスト3人の機材と出で立ちも現体制になってはっきり分かれていて興味深く、上手のVシェイプのギターを手にリードを執るでらはChildren Of Bodomあたりのメロディックデスメタル、マルチスケールのギターを操る中央のリズムギタリストT村はモダン目なメタルコア・ポストハードコア、ZEMAITISのド派手なギターを持ち下手でツインリードの片翼を担うSayakaはGLAYを始めとするヴィジュアル系と、三者三様でONE LAST STANDの縛られないスタンスが際立ちました。
「俺らは好きにステージで遊んでるだけ、勝手に刺さって帰ってください」とフロアと対話するVo. 雄志のMCも、エネルギッシュの一言に尽きます。Bloodeyed Sunsetに「Ba. elcoがまだサポートしてくれてるうちにヘヴィメタルの未来になれば、彼女止められねえから!」と語る通り、全力の演奏をフロアに見せつけてくれました。
ちなみに筆者はONE LAST STANDの後、止むを得ず渋谷サイクロンのAblazeレコ発に向かいました。後ほどGt. のT村もサイクロンにやってきたのですがそれはまた別のお話(次回)。
ここからは大阪に帰ってから配信のアーカイブでライブ映像を観ております。
5. the Art of Mankind
トリ前は東京を拠点に活動しているメロディックデスメタルバンドthe Art of Mankindです。2016年に始動したこのバンドですが、今回のアクトの中でも最も音楽経験の歴が長い方に入るかと思います。The Black Dahlia Murderを彷彿とさせるダークな高速リフワーク / ブラストビートに、叙情的なギターソロ&メロディアスさを加えたサウンドはメロディックデスメタルへのあくなき探求心と経験をまざまざと見せつけてくれます。
筆者は東方アレンジからメタル・ハードコアに入ったのもあるので中心人物が元々どのような活動をしてきたかは周知のとおりで、Gt. Woomingが携わっていた東方メロデスサークルKissing The Mirrorが解散直前にGt. KenkawaとVo. Sawacyを正式メンバーに加えたところが始まりであり、解散後に本格的にバンドとして活動を始めたという経緯があります。筆者はKissing The Mirrorのラストライブに立ち会っており(対バンは筆者がNo.1東方メタルコアと崇拝しているCLOCKWORKS TRACER)、今でも伝説の日として記憶に残っています。
当時22歳です、今よりも痩せてて悲しい。
当然Wooming以外のメンバーも同人サークル or バンドでの活動経験も豊富で、Gt. KenkawaはButterfly Kidsという ''弱虫メタル'' サークルやキバオブアキバを始めとしたメタルバンドのサポート、Vo. Sawacyは個人サークルIgnis-Fatuus、Ba. OgaはデスコアバンドOde to the Endでも活動、Dr. Omaも東方メタルコアDiscovering the Placeやいろいろな同人サークル・バンドに正規・サポート含め参加しており、各メンバーのポテンシャルの高さが伺えます。
今回生でライブを観ることは叶いませんでしたが、配信のアーカイブ映像を見る限り。今回出演したバンドの中ではそのキャリアの長さもあって間違いなく抜群の安定感を誇っていたと思います。The Black Dahlia Murderをメロディアスにしつつも、その暴虐性が微塵も失われていないサウンドはKissing The Mirror時代からさらに深化し続けており、様式美がこれでもかと詰められている「メロディックデスメタル」としての芸術が垣間見えました。
そんな経験豊かな彼らですが、MCを観る限り本当に謙虚で「先日も若手のUnarmedのレコ発に呼んでもらったのもそうだけど、後輩と一緒にやれる機会を頂けてとてもうれしい」と喜ぶ半面、「俺ら30歳を超えて、大先輩と若手の狭間で焦りを感じてます」との焦りの気持ちも吐露していました。ただ最後は「何があっても早くてかっこいいメロディックデスメタルを届け続けます」と締めくくり、テクニカルでドラマ性にあふれたthe Art of Mankind節を魅せてくれました。次は生でライブ観たいですね...。
6. Bloodeyed Sunset
大トリは今回の主役Bloodeyed Sunset。2019年にDisease of Our AgeやAlphoenixと共にLight This City(アメリカのメロディックデスメタル・メタルコアバンド)の来日公演をサポートしたことがあり、昨年の秋にはフルアルバム ''Blinded Eclipse'' をリリース。今回の公演はリリースから半年遅れのレコ発という形になります。
このバンドも他公演との兼ね合いで生で観ることは叶わず、大阪に帰った後で配信を見てチェックしたんですが、先に出てきたメロディックデスメタルバンド陣(Wrath of Noah, Desolate Sphere, the Art of Mankind)とはまたベクトルの違うサウンド、確かに北欧のメロディックデスメタル/デスラッシュを軸にはしながらも、寒々しさ・ダークさよりは熱さが際立った印象です。まさしくディスクユニオンの商品の紹介文を引用した通り、パワーメタルや中期のIn Flames影響下のキャッチ―なメロディを武器にしたヒロイックなサウンドでした。どことなく「三国無双」シリーズのBGMが思い浮かんだのは筆者だけかもしれません。TeruとHiroのGt.二人のツインリードもガッツリ決めってましたしね。
暴虐性と速さを売りにしたほかの出演者とはまた系統の違う正統派ハードロック / ヘヴィメタルのエッセンスも加えた作風で最後までフロアが熱いまま終わったんじゃないかなと予想してます。実際にこの目で観ることが出来なったのが惜しいところではありますが、確かに「ヒロイック・デス・メタル」というだけのことはありました。Vo. Sinは戦隊モノや仮面ライダーの大ファンからなのかどうかはわかりませんが...。
あとアーカイブの配信観て思ったのは、Ba. elco. の6弦ベースを使ったパフォーマンスが鮮やかでしたね。ところどころタッピングやスラップを用いながらグルーヴィーに引き倒していくところもこのバンドの個性ではないかと思いますし、メンバーもそう感じていたかと思います。今回の公演で正式メンバーからは離脱しますが、後任が見つかるまでの間はサポートとして活動を続けるそうです。
末筆
というわけで、前日の異種格闘技戦から一転、2日目の前半はメタル純度の高めなイベントにお邪魔してきました。それにしてもメタラーの方が一堂に集っていてアウェーかなとか思っていたんですが、意外に出演者以外でも面識のある方が多かった気がします。メロデス同人サークル濡鴉のGt. 狂、長野発メタルコアTHE LAST ILLYASのGt. Ryo, (Gt. NARIもUnarmedのサポートで出てましたが) 東京発メタルコア/ニュースクールView From The SoyuzのVo. Masaなど...。特にTHE LAST ILLYASとView From The Soyuzは対バン(※)が予定されてる中でお互いの邂逅が実現しました。
(※)View From The Soyuzの企画、チケットの動き早いみたいなので気になる方は早めにご予約を。
筆者はONE LAST STANDの出番が終ったあとアンチノックを後にし、フレッシュな若手メタルコア・ポストハードコアが集う渋谷サイクロン(Ablazeレコ発)へ向かうのでした...。次回へ続く...。
長くなりましたが、ここまでお読みいただきありがとうございました。気に入ったら是非こちらのnoteや下記Twitterアカウントをフォローしてもらえると幸いです。あと感想やシェアして広めてもらえると励みになります。
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