Fieldism Live Report #13 ''WORLD END MAN pre. WORLD END MAN & illuminati OSAKA AND TOKYO (10-1-2022)''
前回の記事(ライブレポ)はこちら↓
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いつもお世話になっております、Ryotaです。
前回のライブレポの最後でも予告した通りですが、今回はWORLD END MANが沖縄の国宝級メタルコアIlluminatiを大阪と東京に連れてきてくれましたので、大阪編のライブレポートをまとめます。
ROACHやulma sound junctionあたりはまあ別として、なかなか沖縄のバンドが内地にやってくるということが少ないのでこれは見逃せんなって話ですし、個人的にWORLD END MANを観るのも約3年半ぶりで最後に観たのがデビューアルバム ''USE MY KNIFE'' のレコ発と、かなり久しぶりなので発表当時からチェックしていました。
当時のレコ発。END IN BLOOD, Betrayer Death Penalty, HOTOKEがゲストでこの日も同じ会場でした。
前置きはこれくらいにして行った方は当時の余韻に浸り、行けなかった方も是非当日の様子を想像してもらえたらと思います。なるべく解像度を高くして書いていきますので。
※各出演者・関係者の名前は敬称略になること、予めご了承ください。
UNHOLY11
この日のトッパーは関西若手ハードコアシーンWest Side UnityからUNHOLY11が出陣。Straight Savage StyleやDyingraceやCenter Wrong Unitあたりの系譜をたどる極悪メタリックハードコアサウンドの持ち主。昨年春のWSU企画で始動してから1年半たちましたが、大阪を拠点に九州~中国~東海~関東とハードコアを介して日本地図を狭くしながら活動しているその積極性には、直接かかわりのない自分でもリスペクトせざるを得ません。
色々諸事情が重なり前回観た時(Brightside Summer vol.1)のライブレポが上げられなかったので今更ですが、ついに正規ギタリストとして晴仁(ex. Bear Knuckle / 不祀 sup.)が加入したUNHOLY11はその勢いがとどまることを知らないようです。相変わらず重心を低く構えた邪悪なメタリックサウンド、過剰なまでに骨太な音圧で迫りくるビートダウン、ライブを重ねる度に威圧感と貫禄が増していくVo. GKTのパフォーマンスが際立ちます。
キャリアの浅さを微塵も感じさせない精力的な活動でどんどん話題を集めているWest Side Unity、今週末10/8はついに東京で企画を開催。同じWSU所属のFallen GraceやReVERSE BOYZはもちろん、前回の企画で大阪にやってきたView From The SoyuzやVice City SlaveやZETTONも参戦。列挙しまくるときりがありませんが、この日は初台WALL爆発するんじゃないかという勢いです。
また、この日上手でGt.を弾いていた特殊構成員Hama (SLUG) の個人企画が11/19に開催、UNHOLY11も参戦します。昼の12時から明け方までパーティーという変態すぎるコンセプトですが、活休前最後の大阪公演になるuniverse last a wardの出番が朝4~5時くらいって聞いて軽く絶望しています。これ誰か酔いつぶれてライブできないとかあるんじゃないか心配になります(ulawはこの間実際にそうなりましたからね)。
HOUND
2番手は名古屋を中心に活動しているダウンチューニングハードコア/モッシュコアバンドHOUND。G.N.S.D.やShark Ethicなどで活躍してきた名だたるメンバーが集まって結成されたバンドです。諸事情で自分が行けなかった8月のNicor in Punishment主催Wonderful Mosh Fesを前に、Vo. Kota a.k.a. ぴこが脱退し、それまでDr.を務めていたPabroがVo.に転向しました。空位になったDr.はPUBLIC MENACEやAs Killing Your Breakdownなど東海の多くのハードコアバンドを裏で支えているHirotoがサポートとして担当。
HOUNDのサウンドと言えば、Kublai Khan TX, Varials(Pain Again期まで), あたりの「極限まで下げられた重低音が放つ危険で緊張感の張りつめた雰囲気」を体現した生々しいサウンドなんですが、相変わらず圧迫感マシマシのグルーヴを感じるし、思わず手足が動いてしまいます。新たにフロントマンになったPabloのパフォーマンスも初めてヴォーカルをやったとは思えないくらい鬼気迫るものがありました。重心の低いゴリゴリのリフから不協和音のエフェクトまで奏でていくGt. HILO、ヘヴィーなグルーヴを生み出していくHiroto & Ba. Jerryのリズム隊のパフォーマンスもイケてます。
ちなみに当日のMCは英語で海外のライブハウスに出てくる動画のそれを彷彿とさせていましたが、ステージを降りると日本語を話すのをこの日フロアにいた人間はどれくらい知っていたのでしょうか?ちなみに筆者は彼に味仙(名古屋のローカルフード)のおすすめ料理としてアサリラーメンを薦められました。先月PURGEのDr.ふじこの企画の際に名古屋行ってきたんですが美味しかったです。
美味しかった
次の大阪公演決まっているそうで、先述のオールナイトイベントの翌日11/20に火影でのライブが決まっています。主催側は出演アクトを発表していませんが、どんなイベントなのかは各自調べてください。
TEMPLE
サポートアクトの最後を務めるのは、大阪を拠点に活動するメタル・ハードコア・ファストコアバンドTEMPLE。過去のライブレポ(ONE AND ONLY FEST, DECADES TO DECADES Vol.3)でも何度か取り上げてきましたが、ハードコアやパンクを基軸にデスメタル・グラインド・ドゥーム・スラッジなどありとあらゆる要素を落とし込んだハイブリッドかつエクストリームな暗黒サウンドが持ち味。
何度も取り上げているように、今回もストイックなアティチュード・精力的なライブスケジュールで磨き上げられた鉄壁の演奏力と、溢れんばかりの熱量と気迫あふれる爆発なステージングは、「若手」として見られているとはいえ一種の貫録を感じます。まだまだ音源未収録曲が多い印象ですが、結構前からEP or アルバムなど何かしらまとまった作品を出していきたいみたいなことを言っていた記憶があるので楽しみです。
Vo. MERCYが「普段怒ってばっかりやけど...」と前置きしたように、過去のライブでも怒りを原動力にパフォーマンスしている印象はありましたが(特にONE AND ONLY FESTIVALはそうでした)、今回は「楽しくいこうや!」とご機嫌だった様子。ただ、ライブパフォーマンス自体鬼気迫るものがあるのは変わりませんが...。
再掲しておきます
現状解禁されているTEMPLEの次回のライブは2件、自分の企画とバッティングしていますが10/29には南堀江Environment 0gでハイブリッド・ハードコアバンドassembrageの企画に出演、EPリリースツアーを終えたばかりのEND IN BLOODも出演します。11/12は四日市VORTEXでDecasion達と共演です。
WORLD END MAN
トリ前は今回の主催で日本を代表するデスメタルバンドWORLD END MAN。海外では圧倒的な知名度を誇り、海外でも大型のデスメタルフェスへの出演やヨーロッパツアー等も成功させていることでも有名ですが、その人気はMVもDIYで手掛けるフロントマンのKiyoのエンターテイナーとしてスタンス故でしょう。2018年にリリースされたアルバム ''USE MY KNIFE'' は重低音リフとブラストビートの絨毯爆撃とKiyoの暗黒からのうなりのごとく不気味なグロウルが襲い掛かる残虐なサウンドながらも、どこかキャッチーで聴きやすい部分も感じられるいい塩梅の「違和感」が一種のカタルシスを感じさせます。
前回のライブレポの最後でもちらっと触れましたが、この日の直前のVARONのライブでWEMのGt. Naoto & Sup Gt. N.G.I. (八咫烏)にお会いして、3年前の ''USE MY KNIFE'' レコ発の話もしてたんですが、あの時も暴虐的な轟音と地獄の底に叩き落すような落としでフロアが大変なことになりました。Kiyoの最後のMCも「腕一本くらい置いて帰れよ!」とえげつない煽り方してましたからね。
実際のライブですが、''Use My Knife'' 始まりで落としが始まった瞬間、フロアは血祭りな感じに。スタッフなのかわかりませんが、ステージパスを貼っていて目出し帽を被っていたガタイのいい方が真ん中で延々と魚雷かましていたのは流石に恐怖を感じました。
その後もツービートとブラストビートを切り替えながら疾走していき中盤には虐〇系タテノリパートが際立つ ''Silence the Neighbor''、迫りくる壁のような重々しいスラミングとベルのチンチンが気持ちいい ''Cold Injection'' など、新曲も含めてキラートラックを連発。「ケガして帰れよ、じゃなかったら俺らがフロア降りてケガさすから(笑)」冗談交じりながら物騒に煽っていくKiyoの苛烈なグロウルや、恐ろしく早いピッキングでヘヴィリフを刻むN.G.I & Naotoのギター、そしてArise in StabilityやCyclamenなどテクいバンドで活躍してきた新メンバーBa.ヒロシ& Dr.ヒトシのリズム隊の正確無比な演奏も見事です。
MCでは「(Illuminatiを)沖縄に留めさせるのはもったいないから、連れてきました。」と述べてから「よく俺ら大阪や東京でライブやってて、ライブハウスがすぐ近くにあるという環境をありふれたのだと思いがちですが...」といった部分、確かに共感してしまいましたね。沖縄のライブハウスに行ったことはないのですが、確かにシーンの規模はずっと小さいでしょうしまた内地(本州)のそれとは違う文化があるでしょうしね。
12月中旬には2ndアルバムのリリースが控えているWEMですが、来年の1月7日には新年早々アンチノックでレコ発、3月にはデスメタル大国インドネシアのフェスティバルHAMMERSONICに出演。Slipknotが出演する時点でとんでもないですが、Suicide SilenceやDevourment、直近で新譜出したWithin Destructionも出演する豪華ゲストっぷり。ヤバい。
Illuminati
大トリは沖縄からの刺客かつ国宝級ハードコア/メタルコアバンドIlluminatiが大阪に襲来。前進バンド含めて活動歴15年以上のベテランで、キャリアの中で沖縄のメタルシーンにおいても重要なポジションを築いてきました。過去にはAugust Burns Red, Job For A Cowboy, Unearthなど名だたるメタルシーンのビッグネームの来日公演もサポートした実績があり、その実力は折り紙付き。アルバム ''Crime'' とEP ''invisible/Murder'' と流通盤としてリリースした作品は少ないものの、沖縄の後続のメタルバンドに与えた影響は大きいでしょう。
羨まし過ぎる
筆者もIlluminatiが大阪にやってくると聞いてこの絶好の機会を逃すわけにはいきませんでした。デスコアやメロデスの要素もふんだんに取り入れたメタルコアで重戦車級のヘヴィなサウンドで一気に興味を惹かれましたね。イカツいシャウトをあげるパワフルかつエネルギッシュなVo. K-9、単音イエテボリリフを始めメロディアスかつテクニカルなリフワークが際立つGt. TK4 & Shotaのギター、そしてヘヴィな演奏の土台を支えるBa. RYOUJIN666 & Dr. Ganafuckのリズム隊と、ベテランの貫録を見せつけていきました。
個人的にセトリ中トップクラスの爆走メロディックナンバー''light of my life''でTK4がギターを弾き倒しながらフロアを駆けまわったり(ステージ上でもアグレッシブなムーブでしたが)、対極に位置する暴力的な展開のジェットコースター/タッピングやスウィープなどデモニックなリフワークが際立つ ''破壊と絶望'' では出番を終えたWORLD END MANのKiyoがクラウドサーフしたりとほほえましい(?)部分も。
大阪での公演は2017年にDeadman Walking(大阪のニューメタル/デスコアバンド、地上波にも出演経験がある)の企画以来5年ぶりで、久しぶりの大阪だったそうですが、Vo. K-9が「コロナとか色々あって力抜きながらやってたとこあるんですよ、でもみんなを観てそういうの全部吹っ飛んだんで、全力でやらないといけないんだなって」と熱量あふれる大阪のオーディエンスのリアクションに驚く場面も。メタルが好きな方もハードコアが好きな方も入り乱れて楽しむ光景はまさに理想と言ってもいい感じでした。
最後はEPの楽曲 ''invisible'' と ''murder'' でこの暴虐に満ちた1日も終了...と思いきや、オーディエンスからアンコールの声が。もちろんバンド側もそのリアクションに対してサプライズを備えていたらしく、Vo. KAKUが「結成当初からやってる曲があるんですけど...」と前置いて初期からの代表曲 ''Truth'' を披露。すべてを破壊せんとなぎ倒していく勢いでアンコール含めて全9曲のセットリストを駆け抜けていきました。
末筆
というわけで、ハードコア・デスメタル・メタルコアと残虐かつ暴力的な音楽が集結した一日も終わりを告げ、無事に四肢が欠けることなく心斎橋Pangeaから生還しました。前回のライブに出ていた顔ぶれ(Subliminals, SheeSawHarm, Sleepless With Isabelle)や、Color of Threadのイツキ、West Side Unity/Fallen Graceぐっち、RCS/Spread Colonyのあおきち、Bear Knuckleの面々など、ライブハウスでよく会う顔ぶれもいて楽しかったですね。
普段デスメタルバンドのライブには殆ど行ってませんが(HORSEHEAD NEBULAやDecasionあたりの「デスメタリックハードコア」は除く)、WORLD END MANの企画はハードコアも入り混じったデスマッチで先述の通りメタル好きもハードコア好きも双方楽しめる素晴らしいイベントでした。これもデスメタルリスナーに限らず多くのファンに指示されているWEMだからこそ出来ることなんじゃないかと再認識させられましたね。また遊びに行きたいです。
そして、自分も負けないくらい暴力的なイベントを今月末にやるから、この記事読んだ人は何卒冒頭のツイートチェックしてください、あわよくば遊びに来てください。(迫真)
...と締めることができればどれだけ良かったか。言及しないといけないことが一つ。
翌日の東京公演で、痴漢行為が発生してしまいました。MCで「腕1本くらい置いて帰れよ」みたいな感じの物騒な煽り方をするWORLD END MANのイベントでよくやったよなって思ってます。(噂レベルでしか聞いてないから明言しませんが)犯人が犯人なので個人的にはだいぶ失望と憤りを感じております。主催者側はすでにだれか特定できてるらしいですが...。
自分もライブハウスに通い始めて10年以上経ってますが、いろんなトラブルに遭遇してきました。もちろんライブハウス外で起きた界隈の問題も何年も目にしてきたわけですが、メタル・ハードコア界隈だけの問題に限らず(そもそも社会通念上として)、このような性暴力・差別的行為は一切許容されるべきではないと思います。いやこんなの本当に今更なんですが、被害に遭われた方にとってライブハウスが楽しい居場所でなくなってしまうというのが一番悲しいですからね。
今月末も自分の企画Buried Alive IIが開催されますが、当日そのような行為を見つけ次第(ライブ中なら演奏止めさせてでも)然るべき処置をとらせていただきます。何かそのようなトラブルに遭われた or 目撃された方は出演者様でも自分でも誰でもいいので遠慮なく言ってもらえますと幸いです。参加していただく方全員が楽しめる一日になりますよう、ご協力のほど何卒よろしくお願い申し上げます。
痴漢野郎はこうします。
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