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独り立ちに送るSOUL'd OUT

SOUL'd OUTの「ATTITUDE」というアルバムを買った。

私はSOUL'd OUTというアーティストが好きなのだが、このアルバムは持っていなかった。先日Amazonで見たら新品が残り1品だったので勢いで購入した。

収録曲自体は数年前にレンタルCDを取り込んでいたので初めて聞く曲はないし、それどころかどの曲も誇張なしで何十回と聞いているのだが、やはり物理媒体で手元に残しておきたかった。
(注:念の為記載しておくがレンタルCDを個人鑑賞用に取り込むのは合法)

そのCDが今日届いたので、改めて聞いた。

COZMIC TRAVEL、TONGUE TE TONGUE、VOODOO KINGDOM、GASOLINE、MEGALOPOLIS PATROL… このアルバムはSOUL'd OUTの全アルバムの中でも特にパッションとエネルギーが凝縮されていて、とにかく爆発力が高い。

私が現在、両親と住んでいる一軒家の居間には古いSONYのスピーカーがあるのだが、それを通して聞くとさらに迫力が増してテンションが上がる。

やはり爆音で聞くSOUL'd OUTは最高だ。


ところで、私は一人っ子である。これまで24年以上も実家で暮らしていて、両親の愛情を独占し甘やかされて生きてきた。

そんな私も、今年の4月から社会人になって一人暮らしを始める。両親にとっては初めて子どもが自立していく時であると同時に、家から子どもが一人もいなくなるということでもある。


爆音で流れるSOUL'd OUTの前には、両親もいた。

そもそもSOUL'd OUTは父がハマっていたものを譲り受けた経緯があり、母は音楽であれば何でも聞くので、いつの間にか家族3人全員がSOUL'd OUTを聞いている空間ができあがっていた。

不思議な時間だった。SOUL'd OUTなんて家族団らんの中に流れるようなアーティストじゃ絶対ないし。

アルバム全体の終盤に差し掛かった時、母が「こういう当たり前みたいな時間が幸せやね」と言った。ふと見るとわずかに泣いていた。

そして13曲目、GROWN KIDZ。

SOUL'd OUTは早口ラップだし英語混じりだし、歌詞がスッと入ってくることは稀だ。多分上の動画を再生しても何を言っているか全くわからないと思う。歌詞を知っている私でさえそうだ。

でもこの瞬間だけは違った。

衒(てら)いなんて捨てて さぁ 歌えよ心の声で
未来だって描けるさ
不安と希望で高鳴る胸を ただ抑えきれずに
風が昨日よりも少しだけ強く吹いている今日
この日をいつまでも
I know I'm not perfect But I'm tryin' my best
And always stayin' true to myself
(自分が完璧じゃないことは知っているけれど、ベストは尽くしている
そして、いつも自分に正直であり続ける)
別れの時 互いにほら 涙を見せるんじゃなくて
そっと寂しさ 解って 突き放して 背を向けた
行くんだ 行くんだ そうさ誇らしげに
ただ行くんだ 行くんだ 誰もが大人にになっていく
そして 俺もまだ知らない何処かで 汚れずに生きていけたなら
いつの日にか またこの場所で 君に伝えたい あふれる想いを

今の私にちょうど合っている歌詞だ。まさに大人になって これまでいた場所から巣立っていく私のことだ。そしてそれを見送る私の両親のことだ。

この歌がここまでリンクする状況に置かれた私自身を誇りに思えるいい歌詞。これまで24年間、なんだかんだ苦労もありつつも唯一無二の両親のもとで育てられたことを素晴らしく思えるいい曲。


アルバム最後の曲は、Starlight Destiny。

見つかったものはいらないものばっかりじゃないはずだろ
ああ 儚き夢よ 俺はきっと暗闇の中で何かが輝く瞬間を探していたんだ
こんなにも激しく破壊的な夜には がんじがらめの魔法を解き放って
何も失わずに手に入れたものなどくれてやる
強く強く信じれる物 それが何かを探す This is so long trip
きっとかけがえのないものほど すぐ傍にあるものさ
いつの日からか心を閉ざしていた
出会えた人の優しささえ邪魔になってやり切れずに
何が正しい 何が正しくなくて 誰を信じる 信じない
嘘も本当も 上っ面の言葉の意味なんてどうだっていいだろ
ああ この歌よ 心に心に届けよ
ああ 時には孤独に震える夜もあるけど
ああ それでもまだ 止まらないこの街でまた明日を信じれるのなら
今はそれだけでいいだろ
ほら 俺たちの星が力強く煌めいてる

この曲は本当にいい曲だと思う。SOUL'd OUT屈指の名曲だ。(さっきのGROWN KIDZもそうだけど)

Starlight Destinyの歌詞の内容は現状の私だけじゃなく多くの人生とシンパシーを起こすと思う。

「過去から背負ってきた不安や孤独感。なにかモヤモヤと燻りながらも自分なりの信念を持って生きてきたけど、振り返ってみると友達もいて希望もあって隣には両親がいて、かけがえのないものは確かに傍にある。

不透明さから来る将来の不安も大きいけど、人は傍にある大切なものと自分なりの信念を糧に衝動的に未来へと進んでいける。」

私はこの曲に対しそういった印象を抱いている。

親も友もなく夢も希望もない人だっていると思うが、それでも死を選ばない理由が「恐怖」以外にもあるんじゃないかと思う。憧れの人がいるとか、絵を描くのが好きとか、歌を歌うのが好きとか。そういう感性こそかけがえのないものであり、そこに自分を自分たらしめる信念があればそれだけで未来を信用できる。未来が信用できれば、今はそれだけでいいんだと思う。

少なくとも、この曲の持つエネルギーは、近く家を出て独り立ちしようとする私に強く刺さった。

(余談だが、この曲はSOUL'd OUTが「解散」という大きな選択をした際にSOUL'd OUTとしてパフォーマンスした最後の曲である。)


私は大人になっていく。法的に成人か否かという話ではなく、両親という存在から独立して精神的に成長していかなくてはいけない。いろんな想い出を背に、未知の未来へと衝動的に進んでいかなくてはいけない。その轍には、いつだって両親とSOUL'd OUTの影があるだろうし、それを誇らしく思う。

そんなことを考えた、些細な時間の記録。




歌詞の引用元
GROWN KIDZ:https://www.uta-net.com/song/51414/
Starlight Destiny:https://www.uta-net.com/song/45786/

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