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擬態するチョコレート
10月31日、柿を買った。かぼちゃではなくて。
10月31日なので、このパッケージデザインには何の疑問も抱かなかった。
青果市場もここまでハロウィーンに介入するのか、そうかそうか・・・いやでも奈良県西吉野にそういう城があるように見えちゃうよね・・・ていうか柿の袋にジャックオランターンてシュールだね・・・と。
魔女帽子からのぞく、特徴的な形状の前髪。
光沢のある、つややかな肌。
君たち、柿なのね?
その特徴的な前髪は、柿のヘタ。
そのつややかな肌は、柿の皮。
ジャックオランターンではなくて、柿そのものだった。
柿が、魔女以前にかぼちゃの仮装をしている。
果物が、野菜の仮装を。
カキノキ科カキノキ属が、ウリ科カボチャ属の仮装を。
東アジア原産品が、南北アメリカ大陸原産品の仮装を。
過去に目にしたハロウィーンの仮装でグッときたのは、サンタクロースと、シャワー&シャワーカーテンだった。
これとは少し異なり、胸から膝まではカーテンで隠れていたが、頭と肩は完全に出ていた。おそらく、中にフラフープのようなものが入っており、つねに両手でそれを掴んで歩いていたのだと思う。
柿によるカボチャの仮装は、これを上回った。
10月31日だと、なんだか目に映るすべてのものが仮装に見えてくる。
午前中に行った選挙は、注目度が高いからか、感染症対策のためか、午後の雨予報のせいか、驚くほど長蛇の列だった。
投票所が、朝採れ野菜の直売所の仮装をしているかのように。
部屋のかたすみに置いていたこれも、仮装に見えた(重症)。
オレンジの仮装をしたチョコレート。
フランス産の輸入チョコレートで、その形状の遊び心に惹かれて春先に買ったものの、食べるタイミングを逸したまま夏を越してしまった。
開けるなら今日だな、と思った。
手のひらサイズのこぶりなオレンジ。皮のポツポツ感の再現がリアル。
果汁は使っていない、香料だ、と逃げも隠れもしない。
球体にかじりつくわけではなく、中が空洞なホローチョコレートでもなく、叩きつけると放射状にパッカーンと割れるらしい。
卵を割るときより強く、棒金をばらす時より弱く、机にたたきつける。
失敗フラグを立てていたのに、きれいに割れた。
極薄の串切りオレンジ。
断面までオレンジのリアルな果肉感。仮装というより、擬態だ。
これ一体、どうやって作っているんだろう。
包みを開いた瞬間にオレンジがふわっと香った。少しブルームの形跡があってモソモソしていたものの、そこまで問題なかった。
ブルームとは、高温にさらされたチョコレートの油脂分が溶け、冷えて白く固まった状態で、風味が劣ることはあるが品質には問題なし、というチョコレートの常套句である。
白く粉を吹いた状態はカビのように見えてしまうが、チョコレートはそもそも水分が少なくカビが生えることはほぼない。だからこのチョコレートも賞味期限が15か月と長い。
ミルクチョコレートベースもいいのだが、もう少し甘さ控えめでオレンジの酸味が効いている方が好きだ。と思ったら、ダークチョコレートベースもあるらしい。
その前に、カボチャに仮装していたパリピ柿を食べなくては。
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