RSGT 2020 まとめ&登壇してきた話(セッション編)

こんにちは、アジャイル開発チームのまっちゃんです。

さて、今回はReginal Scrum Gathering Tokyo 2020 (RSGT) に参加と登壇してきたので、そちらについて書いてみます。
こちらは、セッションについてのブログです。セッション外や登壇してきた話はこちらに書いています。

RSGTとは?

簡単に言うとスクラムについて話を聞いたり、交流したり、みんなでアツく・楽しく語らう場だと感じました。(公式はこちら
ギャザリングなので、みんなでギャザる(集まって交流する?)のが重要で、いろんなところでギャザろうぜ!と叫ばれていました。
私も実際にいろんな人とギャザることができて、多くの新しいスクラム仲間と出会うことができました。

画像1

セッションまとめ

全体のセッションはこちら
私が聞いてきたセッションはこちらです。

Day 1
The Ten Bulls of the Scrum Patterns (Keynote)
アジャイルコーチ活用術 [スライド]
みなさんのプロダクトバックログアイテムはOutcomeを生み出していますか? [スライド]
見積りしないスクラム [スライド]
モブプログラミング x 行動分析学 x 教育 / Mob Programing x Behavior Analysis x Education [スライド]
リーン・チェンジマネジメント - チーム・組織に変化を起こす!オリジナルのチェンジ・フレームワークを構築する方法 [スライド]
Day 2 
Lost in Translation: The Manager’s Role in Agile (Keynote)
日本にJoy,Incを創る!ぼくらのジョイインクジャーニー3年間の軌跡
 [スライド]
最高のScrumキメた後にスケールさせようとして混乱した(してる)話
 [スライド]
アジャイルな組織を創っていくには?地銀で取り組むアジャイルな組織創り [スライド]
Day 3
NEXT→ACTION (Closing)

では、各セッションについてザーッと触れていきます。

----- まずはKeynote ---------------

The Ten Bulls of the Scrum Patterns (Keynote Day1)

十牛図(じゅうぎゅうず)という、禅で語られる「悟り」にいたるまでの10段階とScrumを学ぶ段階を重ね合わせてお話されました。自身が今どの状態にあるのか、これから先どうなっていきたいのか、そういったことを考えさせられるようなセッションでした。最後の方はちょっと難しかった。

印象に残ったワードはこんな感じです。

・スプリントの50%は失敗する
・反省なしにカイゼンはない。失敗なくして反省はない
 毎回スプリントのゴールを達成している?
 そんなのスクラムじゃない!!!
 だってベロシティは平均。半分は早く、半分は遅くなるはず。
 スクラムは科学的な実験室。いろいろ実験して失敗すべき。
・スクラムとは規律。ただし自分たちで変更できる
 自立ではなく自律なんですよね。だから難しい。
Swarming
・みんな・チーム・集団で反省する

・私とあなたという概念は存在しない。あるのは私たち 
 どれも同じことを言いたいんだと思います。私たちと言いつつ、私になってしまいがちですよね。それを上手く伝えるのがスクラムマスターの役割でしょうか。 
・スクラムはプロダクトではなく、プロセスを構築するフレームワーク
 トヨタの「きちんとしたプロセスがあればきちんとしたプロダクトが作れる」という話は興味深かったです。

Lost in Translation: The Manager’s Role in Agile (Keynote Dya2)

アジャイルは人が大事!「マネージャーを切り捨てる!」といったフレーズはよく聞くが、マネージャーも人だから大切にしたい。では、どうやって一人も脱落させずにアジャイルな組織にしていくのか?といったお話でした。銀行は典型的な階層型組織というのもあり非常に興味深い内容でした。

・完全に自律的な自己組織化したチーム
 全てのことをそのチームで決められるようなチームは存在しない。つまり、そんなものは幻想。それなら、いきなりそんなものを目指すのはおかしいよね?一足飛びにせずに順を追ってやっていこう。
アジャイルな組織を作るためにアジャイルを使おう!!!
・人を進化させる(マインドセットの変化)
 まずは、全員が大人としての責任を持って振る舞える状態にしよう。ヒエラルキーは維持したままで良い。人を進化させてから組織を進化させよう。
マインドセットはTheory X から Theory Y への変化を目指す。
・リーダーから始める
 ボトムアップから初めても一部の変化で終わってしまう。権限を持っているようなリーダーが変われば、そのリーダーまでの文化を変えることができる。どんな階層でもリーダーは存在するので、そのリーダーから変化を始めよう。
・リーダーのマインドセットを変える
 リーダーが変えるべきなのは技術やスキルではない。基本的な世界の見方を変え、新しいあり方を考えること。リーダーに必要なマインドセットはアジャイルマニフェストの中にある。
 ・学びの文化を作る
 ・物事は不確実である。不明瞭な中でリーダーシップをとる
 ・他者へ影響を与えながらリードする
・リーダーの行動を変える
 人に影響を与える最も良い方法は、自分自身がそのふるまいを体現すること。まずは、リーダーが自身の行動を変えよう。
・リーダーから権限を委譲していく
 変化・成長の過程で、最適だと思われる人に徐々に意思決定の権限を委譲していく。リーダーはDiscussion Cardsなどを用いて、意思決定者に対してアドバイスをするのが良いだろう。
・マネージャーの支援をする
 新しいあり方の中でマネージャーに必要なマインドセットを伝える。マネージャーの新たな役割を探す支援をしよう。PO、テックリード…どのような役割でもかまわない。組織で貢献できれば良い。一人の脱落者も出さないようにしよう!!
・アジャイルな組織を作る
 VUCA時代にはアジャイルが必要。アジャイルは種。肥沃な土壌が必要。良い組織は肥沃な土壌になる。
 自分が変わる、リーダーが変わる、組織が変わる。ここまでできてアジャイルな組織への道が拓ける。

NEXT→ACTION (Closing Keynote)

アジャイルやスクラムに取り組むきっかけや、取り組んできたこと、普及させるためのポイント、コミュニティのこと…など多くのことをお話していただきました。締め括りに相応しく、これからもがんばっていこう!と思えるようなセッションでした。あまり公開されることを望んでおられない?ように感じたのでキーワードだけ。

・人生かけて俺らは何かひとつやり遂げる必要がある
 おこがましいですが、私も同じような思いを持って活動しているつもりなので、非常に共感しました。
・迷ったらつらい方を選ぶ
 これも共感しかないのですが、実際に行動されてきたことがうかがえて凄く刺激をもらえました。


----- ここからは各セッションです ---------------

アジャイルコーチ活用術

社内にアジャイルを普及していく中で、アジャイルコーチ的な動きをしていかないと!ということで参考にできないかと聴かせてもらいました。

・アジャイルコーチに対する期待値を設定、期待値に対する優先度をつけるのがマスト!!
 コーチにも得意領域があるので、そこも見極めましょう。
・アジャイルコーチが新しい知識を学習する時間や、既存の知識をアップデートする時間も考慮する
 忙しすぎるコーチは疑った方が良いという指摘もありました。コーチは何でも知っている前提で話しがちですが、日々学習しながらやっている、というのは依頼する側からすると抜けがちな観点ですよね。
・3ヶ月くらいで変化がでるはず!1.5〜2年で一旦の卒業を迎えるはず!

 どうやらFFGは良いコーチに恵まれたようです!!

みなさんのプロダクトバックログアイテムはOutcomeを生み出していますか?

Outcomeについての考え方や最大化するための参考にできないかと聴かせてもらいました。

・Outcomeには「Business Outcome」と「User Outcome」の2種類ある
 Outcomeを意識しても、どちらのOutcomeか意識することはわりと少ないかもしれません。この部分をはっきりわけて意識することで、違った発想が出てくるかもしれませんね。
ICEスコア = 影響力(Impact) × 信頼度(Confidence) × 容易生(Ease)で判断
 ICEスコアはグロースハックの文脈で出てくるそうです。影響力は当然考えると思いますが、わりと感覚で感がえてしまうことが多いですよね。数値化することで、ROIに納得感を持たすことができ、PBIの順位付けに使えるというのは非常に参考になりました。事例ではOutcome = ダイヤで紹介されていました。
 ROI = ダイヤ / ストーリーポイント ≒ 影響力 / ストーリーポイント
といった感じでしょうか。
・POからユーザーの良い声のフィードバック
 使われている、役に立っているという声が聞けると嬉しいですよね!チームのモチベーションアップ、いろんな方法で考えていきたいですね。

見積りしないスクラム

私のチームでもリファインメントにはけっこうな時間を割いているので、改善していくヒントにならないかと聴かせてもらいました。

・スプリントPBIの期間は全て1週間。それ以下の誤差は無視。
 1週間以下の誤差は無視というのは思い切った考え?ですよね。ただ、1日の誤差の原因を聞いていても具体的な改善に繋がらないことが多いので、これくらいで良いのかもしれませんね。PBIのサイズを1週間以下にするというのが見積もりに近いのかもしれません。
・価値の見積もりはする
 これは恐らく前述のOutcomeの考えと同様ですね。
・モブプロのリードタイム・スループットの安定性
 
 実際にデータで見れたのはおもしろかったです。別のところでも話がありましたし、モブプロかなり普及してますね。

モブプログラミング x 行動分析学 x 教育

モブブロと行動分析学で大学のプログラミング授業をどうやって積極的に参加してもらうか、といった内容の話でした。行動分析学とかすごく難しい話が始まるのかと思いきや、シンプルでわかりやすい内容でした。

・行動分析学
 心理学の1つだそうです。何かができないときに、その原因を意思の弱さや能力のせいにはしないのが特徴!これはスクラムと通じるところがありますね。
・ABC分析、行動随伴性
 どこのどういった問題を解決するために、どのような手をうつか。学問だろうが現場だろうが、考えないとならない点は同じですね。

リーン・チェンジマネジメント - チーム・組織に変化を起こす!オリジナルのチェンジ・フレームワークを構築する方法

マネジメント3.0で使われる、チェンジ・キャンバスを使ったグループワークショップでした。実際に変化を起こしたいと思っている具体的な内容をグループで話し、その変化を起こすためのヒントとして、チェンジ・キャンバスを作成する、といったイメージですかね。私のグループでは
「プロジェクト開発外で、知識の習得や自己研鑽に励む文化を作る」
といったテーマで行いました。
変化をサポートする要因、変化に抵抗する要因の洗い出しフェーズでは、会社ごとに違った悩みが見えたり、自社の当たり前が他社では全然違っていたりなど、企業を超えたワークならではの話を聞くことができて盛り上がりました。
本来4日かけていろいろ学ぶところを100分で実施するというワークだったので、実践するにはもうちょっと学習が必要そうです。

日本にJoy,Incを創る!ぼくらのジョイインクジャーニー3年間の軌跡

企業当初から現在に至るまでギュッとまとめたお話しでした。特に、どん底だったチームの状態からどのように抜け出していったか、Joy, Inc. との出会いからを中心に語られました。
本でいろんな知識や情報を得ることはできるけども、やっぱり大事なのは、その場に直接参加し話をすること、場の雰囲気を感じることなのだろうなということを再確認できました。
試作もおもしろく、何より継続できていることが成果に繋がっているのでしょうね。

Weekly 朝会雑談
 早速来週から採用させてもらおうと思います!

最高のScrumキメた後にスケールさせようとして混乱した(してる)話

1チームでのスクラムが最高に上手くいったから、複数チームでスクラムしようとしたら上手くいかなかったことのお話。プレゼンの参考になるから聴きに行こう!と誘われて参加したセッションでしたが、最高におもしろいセッションでした。とにかく、あらた(登壇者)劇場!!キャラが違いすぎて参考になりません…w 本人はこのセッションは失敗事例から学ぶことがメイン!と言ってサラッと流そうとしていましたが、成功事例の中からもかなり参考にできる部分があったように思います。

・デザイン先行FIX
 スクラムするときにデザインどうする?議論はよくありますよね。一つの参考になりました。
・守破離の守のフェーズではコミットメントの達成にこだわろう!
 スクラムは実験だ!と言って失敗を繰り返していると、確かに外からみた印象は良くないですよね。まずは、自分たちはやれる!というところをしっかり見せておいて、信頼を得てからチャレンジするというのは良い考えに感じました。
・こんなレベルの失敗事例をRSGTで話して良いのか?
 まさに同じことを発表直前までずっと思っていました。通っちゃったのだから仕方ない。自分は泥臭く行動し続けて恥を晒し続けるだけ。いや、ほんとその通り。勇気づけられました。

アジャイルな組織を創っていくには?地銀で取り組むアジャイルな組織創り

私が登壇させていただいた内容になります。詳しくは「全体&登壇編」で書いています。