見出し画像

社会人1ヶ月目

入職後も特にこれといった研修がなかった。
私はてっきり、ビジネスマナーを教えてもらえるんだと思っていたが、実際は電話の取り方すら"やりながら覚えろ"と言われていた。

まともに研修させてくれないのに、失敗すれば患者さんからも上司からも怒られる。
何のためにここにいて、何のために働いているのか分からなくなった。

そのうちに始まった時間外労働。
当番制で、1週間に1.2回の早番と、同じ回数の遅番があった。
それでも、定時の時間は変わらない。前も後ろもはみ出た分は全部時間外だった。
だから、朝の8時から始まる早番と20時近くまで残る遅番が一緒になることもよくあった。 

12時間。ここでこんなに働く意味とは何か、そもそも働くとは何か、この訳の分からない働き方を変えようとはしてくれないのかと職場の体制に不満を持った。

時間外も、意味のある残業ならまだ頑張れる。
しかし、やることもないのにただ居るだけの残業はただただ地獄だった。
 
そんなことを思っていたある日、電話対応について注意を受けた。
電話の相手は、日本の方ではなかった。
たどたどしい日本語でそれでも一生懸命話してくださっていたので私も誠心誠意お答えしなければと思った。
最初はきちんと敬語で話していたものの、あまり理解していないようだったので、一文一文を短く切って曖昧な言い方をやめて伝えた。
相手の方も、"分かった、ありがとう"と言ってくださって良かったなと思い電話を切った。
そうすると横から上司が、私の話し方について注意をしてきた。
しかし私には私の考えのもと行って、注意されることに疑問を持っていたので、理由を説明するとこう言われた。
"上司に言われたように答えればいい。相手が分かっていようがいまいが関係ない"と。

心がぷつりと切れてしまった。
"もう無理だ"
トイレで大泣きした。

今よりもっと自分が色んなことができるようになれば、変えられるかもしれない。
だから、苦しくても乗り越えなければいけない。
みんな辛いのは一緒だから、頑張らなきゃ。

自分で自分を鼓舞して、半年は頑張ろうと思い1ヶ月目が終わった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?