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映画『怪談佐賀屋敷』(1953)

こんばんわ 唐崎夜雨です
日本の夏といえば怪談ですよね

そこで今宵紹介する映画は
1953年の『怪談佐賀屋敷』
 モノクロの 化け猫映画だニャ〜
  あんまり身の毛はよだたないかな

あらすじ 〜 ぜひ一龍斎貞水ふうに

佐賀鍋島家では正室にお世継ぎが生まれずにいた
そこで殿様は新たに側室を迎えようと
宴席をもうけ城下の娘たちを城内へ招いた
宴席で殿様が見初めた娘は
 竜造寺家の当主又一郎の妹であった

竜造寺家はいまは鍋島家の家臣であるが
 かつては名のある戦国大名で
 鍋島家が竜造寺家の家臣だった
そんな先祖からの経緯もあり
(主人が家来の妾に娘をやるようなもの)
又一郎は殿の願いを
 断った
これに殿は機嫌を損ね
 以降又一郎と距離をとる

しばらくのちの雨の日 

城へ出かけた又一郎は
 夜がふけても帰ってこない
  又一郎の飼い猫も
   この日以来姿を見せなくなっていた
実はその夜
殿様と又一郎は囲碁をしていた
その最中
 いさかいが生じ殿様は又一郎を
斬りつけてしまう
しかもまだ又一郎に息があるところを
 こんどは家老の磯早豊前が斬りつけ
  絶命した又一郎を井戸へ
投げ捨てたのだった

息子の身を案ずる又一郎の母のもとへ
 幽霊となった又一郎は
  飼い猫と共に
   現れ
  事の次第を母に告げる
母は鍋島家への恨みを胸に自害して果てる

一方 鍋島家では
家老豊前の妹お豊が殿の側室となり
 ご懐妊
鍋島家の将来もこれで安泰
 と思われていたが…

鍋島騒動

実際に竜造寺の家臣だった鍋島が
実権を握り竜造寺は零落してゆく

そこから無念であった当主が亡くなり
その怨念が猫に宿り鍋島家を襲うという
話が作られてゆく

もっともその竜造寺だって
下剋上で主家を潰しているのだから
 歴史は繰り返されるのかもしれません

映画では鍋島の家老である磯前豊前が
鍋島の実権を握ろうと画策したことから
悲劇が起こる

化け猫女優

家老豊前の妹お豊を演じたのが 入江たか子
華族出身の戦前からの大女優ですが
 戦後は病気もあって
  あまり役に恵まれない
そこへ舞い込んできたのが本作
 化け猫映画
当人は生活のためと割り切って出演するも
大ヒットとなり全部で五本ほど怪猫映画に出演している

『怪談佐賀屋敷』でもそうですが
もともと品のある綺麗な女優が
化け猫となるギャップがウケたのかも

しかし1958年頃には映画界から遠ざかる
しかし映画界は大女優を忘れない
黒澤明監督に乞われて1962年公開の
『椿三十郎』に出演
 この作品ではすんごい存在感を放ち
  豪傑三船・椿三十郎もかなわなかった
ほかに市川崑、大林宣彦の作品にも
 姿を見せている
とくに大林監督は
入江化け猫のファンだったようで
 ドラマ『麗猫伝説』という作品も
 創り出演している

もうひとりの化け猫

『怪談佐賀屋敷』では
入江たか子演じるお豊以外にも
又一郎の飼い猫に憑かれるのが
磯早家老の母である
 これを演じたのが浪花千栄子

彼女の猫演技も楽しい

行燈の油をなめる姿を見られ
 噛みついてきます
今どきなら何を舐めますかねぇ

化け猫も猫のうち
俊敏でアクロバティックな行動
また猫の霊力で人は踊らされもする

怖いかといわれると
 いくらかの滑稽味もある

この他のキャストでは

化け猫を退治する小森役に坂東好太郎
 当代の坂東彌十郎の父上 似てる
化け猫に悩まされる殿様に沢村国太郎
 長門裕之 津川雅彦の父上 似てる

『怪談佐賀屋敷』(1953:大映)
監督:荒井良平 脚本:木下藤吉 撮影:牧田行正
出演:坂東好太郎、沢村国太郎、杉山昌三九、南條新太郎、入江たか子、伏見和子、若杉曜子、大美輝子、浪花千栄子、毛利菊枝

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