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あなた達が”ツイフェミ”と呼ばれる理由

「なぜ、フェミニズムという言葉は不快なものになってしまったのでしょうか?」(女優:エマ・ワトソン)

<引用元>エマ・ワトソンが国連スピーチで語ったこと。


こんにちは。
今回の記事は、もともとの予定では「ツイフェミ」の語源というかルーツを調べて載せたいと思っていたのですが、かなり根を詰めて調べたものの、まだ「これだ!」というものに辿り着けなかったため、その点については先送りとします…。

ツイッター上で、ある日突然(2013年7月8日)にバズっているのは分かったのですが、何がきっかけになったのかが分からないのです。
もし有力な情報をお持ちの方がいたら、ご提供願います。

というわけで、ルーツの話ではないですが、SNSにおいてフェミニズムの話題を出す上で避けて通れないであろう、「ツイフェミ」という呼称について取り上げてみます。

併せて、簡単にではありますが、フェミニズムの歴史的経緯についても触れてゆきます。


あなたはどのフェミニズム?

ツイフェミ。

皆さんはこの呼び名に、どんなイメージをお持ちでしょうか?
というよりも、この言葉を、どんな時に、どんな意味でお使いでしょうか?

また逆に、ここをお読みの方で、
「自分もツイフェミ呼ばわりされたことがある!」
「自分はフェミニストと呼ばれたいのに!」
という方がいらしたらお聞きしたいのですが、

あなたは、なぜツイフェミと呼ばれるのだと思いますか?
というよりも、ご自身をフェミニストだと自信を持って言える、その根拠は何ですか?


「ツイフェミ」に関して一つ考えられるのは、そして、これはおそらく確からしいと思うのですが、もともと「フェミニスト」という言葉が既に存在するのにも関わらず、わざわざ「ツイフェミ」という言葉を使う時、それを使う人の心の中には、それがたとえアンチと呼ばれる人であっても、わずかではありますが、フェミニストあるいはフェミニズムに対する敬意が感じられるように思います。

つまり、
「ツイフェミとフェミニストを一緒にするのはよくない」
という気持ちが、微かにですが、どこか頭の片隅にあるのだと思うのです。

逆に言うと、ツイフェミという呼称は、特にフェミニストに詳しくない人からさえも、
「フェミニストとは何かちょっと違うもの」
だと扱われている、ということになります。


では、「ツイフェミ」とはどんな認識を持たれているものなのか?

成り立ちすら怪しいツイフェミという呼称ですが、「ツイ」という特徴的な名前から「ツイッター・フェミニスト」あるいは「ツイッター・フェミニズム」であるのは間違いなさそうですね。
いわゆるSNS発祥のフェミニズム、ということで「第4波フェミニズム」の流れであろう、という見方が一般的です。

「第4波フェミニズムって何?」という方もいらっしゃると思いますので、物凄くざっくりとではありますが、フェミニズムの歴史をおさらいしておきます。
ご存知の方は、この辺りは流し読みしていただければと思います。

***

フェミニズムは発端から現在までの流れで、第1波~第4波に分類されています。
全てご説明するだけでコラム記事が3つくらい書けますので、ここではあくまで簡潔にまとめておきます。

■第1波フェミニズム(18世紀~)
ヨーロッパを中心に興ったものですが、そもそもこの時代、差別云々というよりも、女性には社会における正当な市民としての権利すら与えられていなかったことが多く、参政権などを主に、社会の一員としての権利を求めて争っていた時代です。


■第2波フェミニズム(1960年代~)
第1波によって女性の市民権や参政権がほぼ確立されたあとも、「仕事を自由に選択できない」「女性としての役割を強制される」といった、男性にはあるが女性にはない、とされる権利の不平等や格差は数多く残っていました。

米国のウーマン・リブ運動などを大きなきっかけとして、男性中心に構築されている社会の仕組みに対し再構築を求め、そこからの脱却によって女性を解放する、といった主旨の活動が広がり、著名人にも波及したこれら一連の活動は世界中の女性から支持を受け、のちに「第2波フェミニズム」と呼ばれるようになりました。

ただ、女性の抑圧からの解放に向けた運動において、「どのような抑圧」があり、「どのような解放を求めるか」といった思想やその解決手段に関しては、それぞれの女性が置かれた状況や考え方の違いもあるため、第2波フェミニズムはその運動の過程の中でさまざまな流派を生み出すことになり、中には男性の目から見ると正反対と思われるようなものもあったので、これが今日に至るまで、フェミニズムへの評価を混濁させる要因にもなっています。
いくつか代表的な流派をご紹介しておきます。

【リベラル・フェミニズム】
名前の通り、リベラル民主主義の理念から派生したもので、明確に定義された哲学を持たないのが特徴の一つだと言われています。

方向性としては、世の中における物質的な不平等を是正すること、法に基づいた正当な手段を用いることで性差別をなくすことは可能である、として、男性社会をむやみに敵に回さずともそれは実現できる、というものです。

実際、歴史的に見ても男性の賛同者が多いことでも知られており、また、人種差別や同性婚といった問題も、同じ手法で解決に向かえるはずだという考えを持つ人が多いです。

蛇足ながら、筆者がフェミニズムに興味を持ったきっかけでもあります。
【マルクス主義フェミニズム】
聞き慣れないかも知れませんが、最近よくフェミニズムとして取り沙汰されるものの多くは、このマルクス主義フェミニズムに端を発しているものが多いように見受けられます。

「マルクス主義」は、学生時代の勉強でご存知という方も多いでしょう。
マルクス主義とフェミニズムが融合してどうなるのかと言いますと、この思想から「家事労働」という、ある意味で画期的な概念が誕生したのです。

基本的な考えは、

「家事を行なっている女性は、間接的にその『家事労働』による労力を資本家に搾取されている」
「それによって生み出された利潤は、家庭の主婦に還元されるべきで、そうすれば、女性たちも活動のための余力を得ることが出来て、男性から解放される」

というものです。
いかがでしょう?「家事は労働」という考えは、皆さんも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?

ただしこのマルクス主義は、そもそも女性が一様に家庭に収まっていた頃なら成立したものの、女性の役割の多様化、家事・育児・仕事の分担が叫ばれる現代への適用は難しくなってきているとも言われています。
【ラディカル・フェミニズム】
最初にご紹介したリベラルフェミニズムは、「男性社会」という概念があまり議論に出てこないのも特徴でした。

男性が幅を利かせている社会だから女性が成功できない、といった考えではなく、社会とはすでに男女というカテゴリーだけではない、さまざまな立場の人間がいて成り立っている、もしそこに差があるのなら、それをお互いの努力で埋めていこう、という思想でした。

が。

この「ラディカル・フェミニズム」は、そのリベラル・フェミの対極と言っても過言ではないものです。

まず世の中を「家父長制」と称し、女性は男性から性的に従属させられ支配されていると考え、社会における男性の優位性が、すべての面で女性が排除される原因となっているので、社会を根本から再構築することを要求する、というものです。

要は「男は敵」などというところに留まらず、「この社会は男が自分たちの都合の良いように作ったものなので、社会そのものが敵だ。世の中を作り変えろ」という、非常に過激なものです。

ポルノ、性産業、DV、セクハラといった問題に敏感に反応し、また、それらの実際の被害者である女性が傾倒するパターンが多く見られます。
また、ポルノでなくとも女性を性的に消費していると認定したものに対しても、是正や改善ではなく、確実な排除を求めてゆく傾向があります。

おそらく、SNSなどでフェミニストを標榜されている方の多くが、このラディカル・フェミニズムに近いのではないでしょうか。

しかし、「全ての女性は虐げられている」という前提への意識が強すぎて、しばしば結婚観や夫婦・カップルの在り方にまで提言することもあり、多様化する社会にはそぐわない面もあるのでは、という指摘も近年ではあるようです。

この辺りが、第2波の主だった思想の流派ですね。


■第3波フェミニズム(1990年頃~)
第2波は社会に少なからぬ変革を起こし、女性はさまざまな権利を得ることが出来ましたが、「女性は抑圧されている」をお題目として論争をするために、「現状の一般的な女性とはこういうもの」という、ある意味で画一された女性像を掲げて意識を統一させる必要がありました。

第3波は基本的に、第2波を引き継いで、より細やかな問題、例えばセクシャルハラスメントやDV、家事や育児にとらわれないワークライフバランスの要求といったものへ繋がっていくものです。

が、その中で、先に挙げた「画一された女性像からの脱却」という要素が加わり、第2波で「女性差別的で、排除すべきだ」とされたものを見直そう、という流れが出てきました。

一例を挙げると、第2波でたびたび言われていた、

「女性が化粧をしたり、いかにも女性らしい格好を強要されるのは差別だ」

という論に対して、

「私は自分の好きなように化粧をしたいし、女性らしい可愛い洋服も着たい。それも女性に与えられた権利であり私の自由であるはずで、強要されたものだからやめろ、というのもまた強要であり、承服できない

といった考えです。

つまり、ジェンダーロールによる差別論を構成して、フェミニズムの根底を成していたはずの要素が、「私は望んでそれをやっているのだ」という女性の賛同を得られなくなってきたので、第2波の流れを汲みつつも、第2波の原理主義的な考えのフェミニストとは相容れない部分も多々あり、少々混沌としているのが第3波の特徴です。
案外、「一人一派」を叫びやすくなったのも第3波からなのかもですね。

ちなみに、第3波に近く、さらにそこから派生して、

「社会における男女平等はすでに達成された。これからは個々が自分の目標を実現できる社会を目指そう」

という考えを強調する「ポスト・フェミニズム」なるものもあるのですが、これはまた別の機会にお話しましょう。

***

簡潔に、と言いながら結構長くなってしまいました(汗
ではいよいよ、第4波フェミニズムのお話です。

■第4波フェミニズム(2000年代初頭~)
第4波は、まさにツイッターやインスタグラムの世界ですが、「オンラインネットワークを介することで誕生したフェミニズム」とされています。

#MeToo運動などに代表されるような、いまだ社会には多くの女性差別が潜在化しており、それらに対して声を挙げるために、SNSを中心としたネットワークでの意見発信をしたり、同様の事例を抱える人たち同士でのコミュニティを形成する、といった活動です。

と言うと、新時代のフェミニズムか?という印象を受けそうになりますが、実際の話題を見てみると、あらためて「世の中には男尊女卑が根強く残っている」と、ことさらに強調した上で、日常の些細な出来事を取り上げて「これって男女差別じゃないの?」といった疑問を問いかけることで注目を集めてみたりといった、注目度の大きさに反比例したスケールの小さな話が悪目立ちしているように見受けられます。

もうひとつ、そうしたコミュニティの大きな特徴として、「画一化された女性のライフスタイル」をサンプルとして掲げて、自分たちはいまだそうしたものに苦しめられているのだ、と述べた上で、第3波フェミニズムのようにそれに対して異議を唱えた女性を、安易に「名誉男性」などと呼び、迫害する傾向が強く出ています。


お察しいただけたでしょうか。
つまり、第4波フェミニズムは、第3波の正統でも、ポストフェミニズムに類するものでもなく、第2波フェミニズムの、それもかなり原理主義的な思想に先祖返りしてしまっているのが、現状もっとも多く見受けられる流れなのです。

困ったことに、一人ひとりが自由に意見を言える場であるはずのSNSにも関わらず、逆に同じ意見の人間同士で寄り集まってエコーチェンバーを起こしているのですね。

<参考>フェミニストの主張を「不快」に感じるのはなぜ?~SNSの論争からフェミニズムと男女差別の本質を探る


公然の場での議論であれば起きにくい現象でもありますが、ネットワークという開かれたデバイスを与えられながら、ひどくクローズなコミュニティをわざわざ作ってそこから出ようとしない。

一見、社会に対して問題提起をしてはいるが、では実際にどのように解決すべきか?といった具体策の提示や、自らブレイクスルーのためのアクションを立ち上げよう、といった人間があまり出てこず、それらは結局のところ現状の男性社会に丸投げ、という状態。

そして丸投げである以上、なかなか実現されなければ、それもまた「男性社会が我々の意見を聞こうとしない」という言い訳で済ませてしまう。


傷だらけになり、辛辣な誹謗中傷をひたすらに受け、それでも戦い続けた、リスペクトされる先人のフェミニスト達とは対称なものとするために、そうした集団が「ツイフェミ」と呼ばれているのではないでしょうか。

***

それでもまだ、「そんなことはない!私はツイフェミなんかじゃない!」と仰る方がいたら、あらためてお聞きしたいのですが、

あなたは、上記の第1~4波フェミニズムについて、ひとしきりご存知でしたか?

あなた方が普段アンチと呼んでいる人たちでも、論客やインフルエンサーと呼ばれる部類の方であれば、この程度は常識レベルでご存知です。

きちんと勉強し研究をされている人たちから、「フェミニスト」ではなく「ツイフェミ」と呼ばれているのだ、という事実を、よく噛み締めてご理解ください。

***

とは言うものの、もちろん知識量だけの話でもありません。

次に、ツイフェミと呼ばれる人達がよくされている、典型的な「勘違い」について触れてみます。


あなたのツイフェミ度チェック

では、ツイッターなどSNS上でフェミニストを標榜されている方に多く見られる「勘違い」の事例を、いくつか挙げてゆきましょう。

■フェミニスト=ミサンドリスト、という思い込み
はい、非常によくある話ですね。

ミサンドリー(男性嫌悪)は、フェミニズムを信奉する方に多く見受けられるのは確かですが、ミサンドリストの全てがフェミニストというわけではないですし、逆に、フェミニストの全てがミサンドリストというわけでもないです。
実際、結婚して家族を持たれているといった女性のフェミニストも数多くいらっしゃいます。

フェミニズムでも論調が強い部類とされる、先に挙げたラディカル・フェミニズムでさえも、
「家父長制によって作られた社会を、男性から取り戻して再構築する」
という思想ではありますが、間違っても、
「男性を社会から排除する」
ですとか、
「男性を必要としない社会を作る」
といったことを謳っているわけではありません。

ですが、この認識間違いは本当に多く、議論の中で、
「ミサンドリストじゃないフェミニストなんて、居るわけないじゃないか」
と、平然と言われて閉口したことがあります。

あるいはさらに歪んだ認識として、
「男性を嫌悪するのは、フェミニストなら当たり前のことだ。男性を忌み嫌うべきものとし、社会から排除するのがフェミニストの役目だからだ。」
という発言さえ見かけたりもします…。

さすがに失笑を受けることになりますので、それぞれの思想につき、簡単にでも把握しておいていただければと思います。

<関連記事>「ミソジニスト」は蔑称か?


■社会的に解決されている問題と、個人の問題が切り分けられていない

これも実に多いです。
SNS上で「これは男女差別だ!社会的に解決されなければならない問題だ!」と言われるものとして、よくあるのが、

・親に望まない結婚を強要される
・夫が家事や育児を手伝わない
・職場になかなか女性社員が入ってこない

といったものなのですが…。

大変に申し上げにくく、心苦しいのですけれども、それは社会の問題ではなく、あなたにだけ発生している問題です。

いずれも社会的には、第2波フェミニストの活躍によって20世紀のうちに解決の道筋が示されていて、とうの昔にそのような状況にはない女性が多数おられるのと、第3波の頃には「男女平等は一定の解決を見たもの」であるとも捉えられていましたので、「社会的には解決されているが、あなたの周りでは解決していない」だけです。

いくら言っても変わらないなぁ、と思っているものの多くは、そうしたものである可能性が高いです。

「そんなことはない!SNSでも同じ声がたくさんある!」

と仰られるようでしたら、恐縮ですが、「あなた」を「あなたがた」と読み替えていただいても結構です。
それと、その「たくさん」が、現状の社会全体においていかほどの母数であるのかという現実と、誠実に向き合ってください。

また、そうした問題を取り上げて、十分な考察も検証も無いままに、

「◯◯◯が上手くいかないのは、社会のせいだ!世の中のせいだ!」

と物事を社会の責任へ転嫁することは、いわゆる「お気持ち」として忌み嫌われることにも繋がります。
どうか冷静に、客観的に、自分と自分の問題を見つめる勇気を持ってください。


もちろん、それらが実際にあなたの前に問題として存在することまで否定するわけではありません。

ですが、世の中の最後の一人までが解決されない限り、社会的に解決されたとは呼べない、という理屈を持ち出すなら、全ての議論は一歩も前に進めなくなります。

過去のフェミニストたちが、必死になって世の中を変えてくれたのです。道を作ってくれたのです。
ですから、あなたはあなたの周りを変える努力を諦めないでください。

大きな声はSNSにではなく、現実のあなたの、目の前にいる人に向けてください。


■フェミニストを標榜するインフルエンサーを応援するから、今日から私もフェミニスト!(そんなわけないです)


これこそが、第4波フェミニズムの最たる歪みであろうと思います。

フェミニストを名乗り、世のさまざまな問題に対して異議を唱えて、それが多くの共感を呼んでインフルエンサーと呼ばれるほどの発言力を持った人がおられますが、問題はそのフォロワーが、

「◯◯さんの考えを支持するので、私も今日からフェミニストを名乗ります!」

というパターンの方が、無視できない数でいらっしゃいまして、そうした方に、

「あなたのフェミニズムに関する思想はどんなものですか?」

と尋ねても、

「◯◯さんと同じです!」

という答えしか返ってこないのです。


せめてお願いしたいのは、そのインフルエンサーさんが、フェミニズムに関してどのような見解を持っているのか、については、ご自身できちんと検証いただきたい、ということです。

どういうことかと言いますと、フェミニストを名乗る方の発言であっても、その言動の全てがフェミニズムの思想に基づいたものだとは限らないですよね。
日常のちょっとした疑問や不満を、フェミニストとしてではなく、その人個人の見解として話すこともあるでしょう。

そうして、もし発言の中に、先に挙げたようなミサンドリスト的な考えや、社会的にはとうに解決済みの事柄が混じっていたとしても、あなたがそうだと認識できなけれは、そのインフルエンサーさんの発言は全て「フェミニストとしての発言」としてあなたの中に取り込まれてしまいます。

ネットというメディアが無かった時代であれば、フェミニストが喋る時には、自分自身がフェミニストであることに十分に留意して発言することがほとんどだったでしょう。
ですが、特にツイッターなどでは、匿名であってもその人の元々の個性が出やすいですし、生活感のある些末なことも簡単に呟けます。

そういった、その人のキャラクターまでも含めて「フェミニスト的なライフスタイル」だと勘違いされる可能性があるのが、あまりに気軽に情報発信が可能な第4波の危うい部分ではと感じています。


もちろん、フェミニストと名乗るのに、条件も資格もあるわけではありませんので、名乗ること自体は構わないでしょう。
しかし、あなたがその人の信奉者として新たにフェミニストを名乗り、同様の発言を広めたことで、他の人たちから見た時に、

「あれ…? フェミニズムってそういうものだっけ…?」

と、首を傾げられることになるのは、あなたもそのインフルエンサーさんも恥をかきますし、何よりも「フェミニスト」という存在が軽薄なものだと思われてしまいます


ですので、せめてその人のどの辺りにフェミニズムを感じるのか、と、誰かに聞かれた時に説明できるレベルでないのなら、誰かを応援しているからという理由だけでフェミニストを名乗るのは、いささか浅はかなことと思っておいてください。

***

いかがでしょうか。
少々きついことも書いてしまいましたが、世の中の人達が、普段ツイフェミという存在をどのように見ているか、について挙げてみたつもりです。

では締めとして、これらのことをきちんと乗り越えた上で、ツイフェミと呼ばれないためにはどうしたらよいのか?を考えてみましょう。

フェミニズムは宗教ではなく、あなたは教徒ではない

ここまでの話を踏まえた上で、ではどうすれば、第4波にあるような主張をしつつ、ツイフェミと呼ばれずに済むのでしょうか?

確実に、という保証ではありませんが、SNSのやり取りなどから総合して、ツイフェミ呼ばわりされていないフェミニストさんの傾向を並べてみます。


■自分がフェミニストになった理由を説明できる

これは、ここまで説明した歴史であるとか思想であるとか、そんな小難しいことでなくて一向に構わないでしょう。

今までに聞いた中ですと、ちょっと面白かったのは、フェミニズムに興味を持ったきっかけが、
「デパートの1階が、どの店舗に行っても常に化粧品と女性向けブランド用品売り場なのが嫌だった」
というものでした。
マーケティング上の理由だというのはわかるが、それに異議を唱えている人間はいないのか調べ始めてから、フェミニズムの考えに辿り着いた、というものでした。

前ページの話の繰り返しになりますが、例えば著名なインフルエンサーをフォローしていたのがきっかけ、でも構わないのですけれども、その人の言動のどういう点にフェミニズムを感じて、それに対して自分がどのような考えを持っているのか、を説明できるだけでも、馬鹿にされたりする機会はかなり減るでしょう。


■アンチと言われる意見にも耳を傾ける

最初の方でも書いたのですけれども、アンチ・フェミニストと呼ばれる人の中でも、フェミニズムを真面目に勉強している人はかなりいます。

そうした人の中には、揶揄が目的ではなく、真摯に議論や意見交換をしたいと考えている人がいるとまず信じ、相手がよほど無礼でない限りはリプに応じる余裕を持ちましょう。

難しく考えることも、構える必要もさほどありません。
やっぱり嫌だな、と思ったら、容赦なくブロックすればいいだけですw

ただ、もしかしたら上手く意見交換に成功して、賛同など一切できなかったとしても、「そうか、そういう見方もあるのか」といった、一種の「気づき」が生まれれば、あなたの言説にも幅が生まれて、もっと多くの人の意見を集めることにも繋がるかも知れません。


■そもそも「フェミニスト」を名乗らない

フェミニズムは、宗教ではありません。
例えばキリスト教を信仰する人が、「私はカトリック教徒です」「私はプロテスタントです」と名乗ることは、単に信仰の有無を明らかにするというだけでなく、信仰によって生じるさまざまな制約や戒律を守る必要のある人間だ、という、自らの立場を説明することでもありますので、意味があるといって良いでしょう。

ですが、繰り返しますが、フェミニズムは宗教ではありません。
フェミニストであることで縛られることは何もないはずで、もし何らか制限されるならば、それは自分自身で課したものくらいでしょう。

「フェミニスト」とは、肩書のように使って立場を表すものではないのですから、特別な必要が無い限りは、そもそも名乗る必要が無いのではないでしょうか。

***

筆者としては、最後の一つが全てではと思っています。

プロフィールに「フェミニストです」と書くことで、何らかの連帯感や安心感を得たいですとか、その程度のことであれば、わざわざ書くのはやめることをオススメします。

むしろ不要ないざこざや、アンチフェミニストとの争いを呼び込むだけで、面白くないことが起きる可能性の方が高いです。


フェミニズムを信奉するならば、社会を変えたいと本気で思うならば、そんな小さな居場所で収まって満足しないでください。

そういう人こそが、実際にこの社会をより良いものへと変えてゆくはずですから。

(了)


ご清覧いただき、誠にありがとうございました。



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