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空手チョップしたかった相手が、抱き合いたかった人

許せない過去の出来事や人のことをずーーーーーーーっと執念深く思っているより、自分が彼らより強くなって見返してやるんだ!

たくさんの失敗、辛くて痛い出来事。
もう二度と、あんな思いや経験をしたくないから、心も身体も強くなって、怖いものを無くしてやるんだからぁ~!!!

そう思って始めた習い事は、空手でした。

押忍。


強くなりたい。

誰よりも。


打倒、男 & わたしという女。


強い決意の元、空手の道場に通うことを決めたワタクシ。

とはいえ、空手や武術がまったくなにか知らずに道場に訪れたわたしはフィットネス感覚。

決意とは裏腹に、身体も動かせるしストレス解消、ダイエットにもなる♪ と、お気楽でした。

しかし、です。

道場が近くなるにつれ聞こえてくる気合いの入った「トリャー!!」という野太い男性の声。

だんだん不安になってきました。

ひょっこり道場を覗くと、白の空手衣に身を包み、汗をかく大先輩方の様子を見たわたしは、後ずさりしました。


ガチじゃん!!!(当たり前ですが・・・)


気合満タンで練習に励む殿方の姿を見た私は、戦うどころの騒ぎではないことを一瞬にして悟りました。

しかし、離婚やらなんやらを経たばかりのわたしは人生立て直し中の身。

ここで逃げるわけにはいきません!!!

自分を奮い立たせ道場に足を踏み入れたわたしは、その日から空手の稽古を始めたワケであります。

しかし、いきなり大先輩方の稽古に付いていけるワケがなく、基本的な空手の蹴り、突き方を教わることから始まりました。

先生は言います。

「目の前にムカつく相手を想定して思いっきり打ち込んでみろ!」

と。

ムカつく相手を倒すためにここに来たのです。
先生の話にゆっくり頷いたわたしは、頭の中でムカつく相手を想像し、突き、蹴りの練習を始めました。


あんの野郎、ふざけんな!!
お前なんか、こうやって、こうして、こうだっっっ!!!


人生初の突き&蹴り。
なんかキモチエエェェェェェ!!!

基本動作を一通り習ったところで、先生が言いました。

「練習した通り、俺を突け」

と。


はい?


いや、もちろん、人を倒すため、強くなるために道場に入ったわけですが、人を前にして練習を始めた途端、状況が一変しました。

生身の人間を目の前にした途端、めちゃくちゃ怖いんです!!!

躊躇しているわたしでしたが、先生から何度も「大丈夫だから」と言われ、いざ、気合を入れて「トリャー!!!」って、

え?


かっ、身体が動かない・・・!!!


寸止めですし、わたしの突きが万が一当たったとしても、そんなことで先生が倒れないこともわかっています。し、しかし、頭では理解しているのに身体が動かない、拳に力が入らない。


こ、怖い。ブルブルブル・・・・・・



「大丈夫か?」と先生に聞かれたものの、身体の震えが止まらず、その場で硬直したままのわたし。

先生はわたしの顔を覗き込むと、聞きました。




「怖いのか?」





うっ・・・・・・、




ウェーン!!!!!



「怖いです。泣」と言えたら、どれだけ楽だったんだろう。

しかし、怖いことを認めたくない、人に弱さを見せれない私は「はい」と返事することさえできず、ただただ震えていました。

思えば私はこの世に生を受けた時から女として、お行儀良く育てられてきました。


「蹴り」や「突き」どころか、「股割り」なんてもっての外。

足はいつでもキチンと閉じ、人様を傷つけぬよう、細心の注意を払って生きてきたつもりです。(つもりですが・・・)

人と殴り合ったり、蹴り合ったりするどころか口喧嘩も出来ない。
人と揉めるのも、問題を起こすのも大嫌いなわたしです。

蹴りたい! 殴りたい相手はいるのに、誰も傷つけたくない。そして、傷つきたくない。そんな自分が同時に存在して、身動きが取れない状態だったのだと思います。


強くなるには、相手を傷付ける痛みを知る必要がある。


そんなことを初めて知った瞬間でした。

まずは人に対して足を振り上げること、拳を握ること、誰かを傷つけることを自分に許すところから一歩ずつ。

道場生の皆さまは十代から七十歳を超えている方も沢山。
男性だけでなく、女性も練習に励んでおられました。

何十年も稽古を続けている先輩方の一挙手一投足はアートや哲学みたいにカッコ良くて、見惚れてしまうほど。
それぞれが自分の肉体や精神と向き合っている姿は神々しく、初心者のわたしにも優しく指導して下さいました。

そんな方々と一緒に汗を流しているうちに、わたしは思いました。

男性はこんなにも優しく、女性はこんなにも強くしなやかだったんだ。

自分を守るため、相手を倒すために強くなりたかったけれど、相手を信用し、尊敬しているからこそ拳が合わせられる世界もある。

それって空手やスポーツだけじゃなく、仕事や恋愛、セックス、人間関係、生きることすべてに通じている気がしました。

そのことに気付いたある日の稽古後。
いつものように一礼して道場を出た途端、わんわん涙が溢れて止まらなくなりました。

出てくる鼻水もそのままに、世田谷通りをただただ一人歩きました。


わたしが思っているより、世界はもっとずっと優しいのかもしれない。


それから、わたしは自分との戦いを終わらすため、戦場だった職場や友人や家族と離れることにしました。

小説を書きながら心や身体と向き合う日々。今振り返ると、まるで修行僧みたいだったなぁと思いますが、渦中にいる時には感じない静けさの中、

辛い、苦しい、憎いと思っていた人や過去や起こった出来事は変わらないけれど、自分の中の解釈は変えられることに気付きました。

一番倒したかった相手(自分)と手を繋ぎ、もう一度見ている今の景色は、
まるで違う世界です。

そんなことを実感できるようになった幸せな今は、消えてしまいたかった過去によって作られている。


そう考えると、なぁんにも無駄な経験なんてなかったんだなぁって心から思える今日、そして出会ってくれた人たちに感謝せざる得ない。

そんな今が、人生で一番幸せです。


***

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