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母へ  〜ガトーミエル編〜

子どもの頃からお菓子を作ることが好きだった。

バレンタインデーに好きな男の子へチョコを渡すべく

生チョコを作ったところ、選んだレシピが良かったのか

自分が作った、ということも加味されたのか

衝撃的に美味しかったことを覚えている。

はじめて で成功体験を得られたことによる 好き と、

材料たちが完成に向かって姿を変えていく様子を

眺めることに喜びを感じる 好き が相まって

飽き性の私が唯一続けられる行為なのでは、と最近気付きはじめる。


最近は自分の時間が増えたこともあり、ある挑戦を。

「レシピを改良して自分の好きな味にもっていく」

今は亡き母はかつて、

ごはんの時はだいたいが肝心。お菓子はレシピ通りが肝心。

と言っていた。

素直な娘はそれを疑うこともせず20年近く色々作ってきたが、

先日ガトーミエルというはちみつ入りパウンドケーキを

レシピ通りに作ってみたところ、まぁ甘ったるい。

冬に食べるとか、にっがーいホットコーヒーがあれば

まだしも、こんなジメジメシーズンに食べてられるか。

私はオールシーズンどんな状況で食べても美味しいものを作りたい。

絶対的信頼をよせていた母の言葉もチラつくが、今この家に母はいない。

少しの背徳感をスパイスに材料の配合を変えてみた。

・・・もうひとこえ!な味になった。こうなったらもう意地。

それからあと2回くりかえし作った。

同じお菓子を短期間に何度も作るって楽しい。

手際も良くなれば、洗い物をいかに減らすかみたいな挑戦も加わる。

そうして 私だけの オリジナルガトーミエルが完成した。

お母さん裏切ってごめん、でもめちゃくちゃ美味しいわ。

いつか自分の子どもや、孫ができたら、

このストーリーと一緒にレシピを受け継ごうと思う。

そんなババァ、素敵じゃん。

素敵ババァを目指し、迫りくる今晩の献立を考えることとする。


アツコ

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