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文化資本の押し売りに食傷気味なわが子ふたたび

娘トラを伴い、県内唯一の音楽科を持つ高校(仮にM高校とします)のオーケストラ部定期演奏会へ行ってきた。

きっかけは、トラと同じピアノ教室に通う生徒さんから招待券をいただいたから。
加えて、偏差値がちょうどいい具合のM高校でオケをやりたいとトラが言ってくれたら・・・なんて勝手な母の下心も実はあった。

とは言っても音楽科へ進学させたいわけではない。
趣味レベルのピアノで受かるような高校ではないし、そもそもトラは練習が大嫌いな上、クラシックにはほぼ無関心。
勧めるとしたら普通科のほうだ。

M高オケ部OBだという知人の話では、昨今の少子化により音楽科は定員割れが続くようになり(合格水準に満たない不合格もありか?)、音楽科の生徒だけではオケ部の存続が厳しい状況に。
そこで他の科からも部員を受け入れ始めてもう10年以上になるという。
私はこの話を聞き、(私の)憧れのオケ部にトラが入ってくれやしないかという思惑が芽生えたのだった。

定期演奏会は、昼夜2回公演にもかかわらず当日チケット完売の満員御礼。
観客の中には保護者や学校関係者ではない純粋なクラシックファンも大勢来ており、開場待ちの列で雑談を交わした老夫婦などは、毎年楽しみにしているのだと語っていた。

彼らが話していた通り、総勢60名超えの演奏は圧巻の一言。
もちろんプロオケ並みというわけではなく、メンバーの中に混じるOBや講師陣に支えられての演奏だったようだが、素人の私はこの片田舎に弦楽器を操れる高校生がこんなにいるのかと驚くばかり。
幕間にあった声楽専攻の生徒とダンス部によるミニステージも素晴らしく、アンコールはスタンディングオベーション。
トラもいたく感動してい(るように見え)た。

さて演奏会の帰り道、私は満を持して言ってみた。

私「オケ部素晴らしかったね、ちょっとやってみたくなったでしょ?
M高校行くなら応援するよ〜。
ほら、プログラムに『部員の半数は初心者からのスタートです』って書いてあったし。」

トラ「いやいい。
わたし高校で今の部活続けたいし、音楽はピアノだけでいい。
それにM高校は結構遠いし、制服も好みじゃない。」

私「でもさぁ、オケは仲間とできるから一生の趣味友達が作れるよ?
それに弦楽器をやってる人って、医学部とかインテリの人が多いじゃない?
高校でバイオリンやって大学のオケ部でいい人を見つけて、玉の輿に乗れるかもよ~?
・・・っていうのは冗談だけど。
バイオリンでもチェロでもマイ楽器買ってあげるからさ、ちょっとは考えてみてよ。」

トラ「ぜったいやだ!!
だいたいクラシックに興味ない。
今日も途中で寝そうになった。
そんなに勧めたいならお母さんがやればいいじゃん!」

だそうで😓

ここ数ヶ月、ドラマ「さよならマエストロ」や「ベトナムのひびき」をせっせと見せてきた裏工作も虚しく、母のよこしまな野心は一瞬にして砕け散ったのであった。


続編を匂わせ気味で終わったドラマ「さよならマエストロ〜父と私のアパッシオナート〜」
芦田愛菜ちゃんバイオリンが似合う!
メインテーマ曲はかてぃん(角野隼人)さんの演奏。


実力派俳優、濱田岳さん主演のドラマ「ベトナムのひびき」
濱田さんの渾身の指揮には魂がこもっていて、「さよなら~」の西島秀俊さんよりよほどマエストロらしかった✨(西島さんファンの方ごめんなさい)
ドラマ内ではピアニストの反田恭平さんが俳優デビュー。

私が弦楽器推しになった映画「北京ヴァイオリン」

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