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回線速いとCF勝てるのか?をデータ分析で確かめる #2:アンケート設計

前回の記事では、趣味で遊んでいるサッカーゲームにおけるちょっとした命題をデータ分析で紐解いてみるぞ!ということで、どんな調査をするかの概要を提示しました。今回の記事では、データ分析の元になるアンケートの採り方について考察していきます。


アンケートで留意するポイント

今回の分析では、元になるデータが手元に何もない状態からスタートすることもあり、多くのプレーヤーの善意によって集められるアンケート集計に頼らざるを得ません。しかし、アンケートであるが故の難しさもあります。大きく3つの要素について検討しなければなりません。

・アンケートで集める情報の網羅性
・分析することを前提においた回答の設定
・アンケートを答える側のモチベーション

アンケートでは回線以外のことも聞く

実はこの記事を書くにあたって、アンケートのテストを作成してXで繋がっている友人・知人に意見やコメントを貰う試みを実施しました。その中のお一人から「回線に関係ないことをたくさん聞くんですね」というコメントを頂きました。確かに、回線の品質とCFの勝利数を比べるのになぜ他の情報が必要かと疑問に思うのも無理はありません。

これについてはまた別の記事で解説したいのですが、簡単に言うと「他の情報と比べないと回線が関係があるかどうか分からない」ので、アンケートでは幅広く質問項目を設けています。具体的に言えば、関東に住んでる人が本当にCF勝利数が多かったというデータを得たとして、それが回線品質によるものなのか、その人の課金力によるものなのか、はたまた別の理由によるものなのかを比較して結果に対する影響度の強さを判定する必要があるのです。従って、回線に関係ないことも聞いて情報として持っておかないと分析にならないのですね。

とはいえ、何でもかんでも網羅的に聞けば良いというものでもありません。あくまで「CF勝利数に関連しているかも知れない」ことを中心にアンケートで拾う必要があります。

適当にアンケートを採ると分析時に困る

アンケートは多くの場合1発勝負です。「あ、ここ失敗したから聞き直しますごめんなさい」というのが通用しにくい世界です。なので、アンケートは後で分析することを想定した内容や回答の方法にする必要があります。

例えば年齢を答えて貰うケースを考えましょう。アンケートで年齢そのものを数字で答えて貰うケース(A)と、20代、30代のようにざっくりした幅から選択してもらうケース(B)の2種類が考えられます。

ここで年齢とCF勝利数の関係を分析したときのことを考えると、(A)の場合は1歳上がる/下がるごとに勝利数がどう変化するかを表現できることに対し、(B)の場合は20代、30代というグループに属していることがどう勝利数に関係しているかを表現できる感じになります。ニュアンスの違い分かりますか?

分析時に年齢の実データがあれば(A)も(B)も両方分析できますが、アンケートを採った時点で(B)の情報しかなければ(A)の分析はできません。ですので、できれば(A)の実年齢を聞いた方が良いということが言えます。

人はなぜアンケートに答えてくれるのか

そしてもう一点大事なのは、このアンケートに答えて頂ける動機を作ることです。もちろん、結果に単純に興味があるからアンケートくらい答えてやるよ!みたいな優しい方がたくさんいれば問題ないのですが、現実はもっとドライです。

通常、アンケートで情報収集をする場合、アンケートに答える側にはリワードが用意されるケースが大半です。例えばマクロミルのようなサービスに登録されている方は、アンケートに答えると何らかの報酬を受け取れる仕組みになっていると思います。

ただ、今回は完全に私的なものであり、マクロミルのようなサービスで母集団が取れる類いのものではありませんので、自分で報酬を用意する必要があります。

ですので、今回私はX(旧Twitter)での拡散およびアンケートにお答え頂いた方々に、抽選でPlayStationのプリペイドカード(厳密に言えば引き換えられるデジタルコード)を進呈したいと思います。何人にいくら配布するかについては取りまとめてX(旧Twitter)の方で発表しますのでお待ちください。自腹だけど名誉が得られるならというスタンス(笑)

アンケートで集める情報

さて、お次は実際にアンケートで集める情報についてです。前回記事も含めて何度か説明しているように、回線の話だけではなくCF勝利数に関連しそうな情報を幅広く伺う必要があります。ただし、情報量が多すぎればまとまらないですし、何よりアンケートに答える側の手間が増えてしまいます。ですので、だいたい5分程度で答えられる分量を目安に考えました。

具体的には以下の5カテゴリーについて質問する想定です。

1.回答者(プレーヤー)の属性
2.CFの戦績
3.プレイ環境
4.戦術やスカッド
5.勝つための工夫やメンタル

回答者(プレーヤー)の属性

このセクションでは、プレーヤーの年齢や居住地、遊んでるプラットフォーム(PS5とかPCとか)、EAFC歴などの属性情報を聞いていきます。年齢が若いことが勝利数に繋がるのか、はたまたEAFC歴(旧FIFA含む)の長さがものを言うのか見所ですね。

テストアンケートでの所在地の結果

この図はテスト時のもので15人程度の回答状況ですが、意外にも各地にばらついております。

CFの戦績

これは大事な情報です。統計分析の世界でいうところの「目的変数」ないし「被説明変数」といった情報になります。数字で数字を説明すると何回か申し上げていますが、その「説明される側の数字」になります。
このセクションでは単に勝利数(の平均)を聞くのではなく、最高成績や参考値としてのDivision Rivalsの成績も回答して頂きます。

テストアンケートでの最高成績の結果

えっ、みんな上手くね・・・?

プレイ環境

そして大事なプレイ環境に関する項目です。先ほどの目的変数に対し、こちらは説明する側の「説明変数」の候補になります。ここで本件の調査で重要な回線の情報を伺っています。回線の情報は正しく評価してあげる必要があり、個人の体感や印象で主観的な数字を入れられると分析にならないため、EAが持ってる数字を転記するようにお願いしています。

https://help.ea.com/jp/ea-connection-quality-report/

EAFCのプレーヤーであれば上記URLからどなたでも確認可能です。他にもインターネット回線の種類や有線LANかどうか、ゲーミングモニター等を使っているかどうか、よく遊ぶ時間帯やCFにトライする曜日なども聞いています。

テストアンケートでの周辺機器に関する結果

協力して頂いた方々が偏っているのか、半数近くの人がゲーミングモニター使っていました(笑)

戦術やスカッド

勝利数に関係があるかという意味では、愛用しているフォーメーションや戦術も気になるところです。こちらもゲームに実装されているレベルの粒度で回答項目を設けています。それから、スカッドの強さも関係してくるかも知れないので、スカッドの総額も聞いています。ただ、スカッドの総額を調べるのは面倒なので、おそらくアンケートで400件以上集めても信憑性の低いデータになってしまうかも知れませんね。他にも、好きな得点パターン、苦手な失点パターンなんかも聞いています。

テストアンケートでのフォーメーションの結果

既に3割近い支持を集めているのは「4-3-2-1」です。本番でもかなりのパイを占めるのではないでしょうか。そういう意味ではこのアンケートはEAFC民の実態調査みたいな側面もあるかも知れませんね。

勝つための工夫やメンタル

プレイ環境や戦術以外にもCFの勝利数に繋がりそうな情報はまだあります。このセクションでは、スキルアップやゲーム攻略のためにやってることや、自分のメンタル力を自己評価して貰ったりしています。説明変数になり得るかは微妙なところですが、しっかり勝つための工夫をしている人がCF勝利数を重ねているというのはあり得るストーリーだと思いますので、こちらの結果も興味深いですね。

テストアンケートでのスキルアップ関連の結果

この内容に関してはどれを実践しているかという切り口と、挙げた選択肢のうち何個を実践してるかという切り口があるので、こちらも分析の際には留意するポイントだと思います。コーチング、私は受けているのですがまだまだメジャーじゃありませんね。

まとめと次回予告

いかがだったでしょうか。たった15人のデータでも面白い感じしますよね。アンケートはテスターの皆様からのアドバイスを頂いて少しずつ改善中で、近日中に皆様に向けて公開する予定です。今回の分析では最低でも400件の回答が必要ですが、1000件くらいあると更に安心できるかなと思ってますので、是非ともご協力をよろしくお願いいたします。

次回#3では、この分析の限界についてお話したいと思います。統計や分析に詳しい方はもう気付いていると思いますが、この分析は決して完璧なものではありません。どのあたりが完璧じゃないのか、でもどういう妥協をしているのか、そして分析結果に与える影響について解説したいと思います。


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