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50代ですが只今不動産独立開業準備中 (8.陰と陽、メリットとデメリットの向こうに)

「じゃあ、ここと、ここと、ここ
3区画🏘️纏めて頂くことにしようか☀️」🎅

そう言ったのは、高そうな厚手のセーターを
着たロマンスグレーの初老の紳士だった。🤑

場所は某郊外。
建売り全9区画の販売現場。

高級路線で差別化している分譲主で、
営業マンが営業車を停めて1日車で待機。🚘️
という形ではなく、きちんとした販売センター
が現地に設置されており、私は毎日直行直帰で
この現場の販売を命ぜられていた。🙂

(※会社としてのプロジェクトに立候補して担当に
なったもので、上司の上野(仮名)さんの反対を
押しきって参加した形だった。)

そして、販売開始初日。
初日であるから、分譲主の担当者と役員、
私の上司やそのまた上司、販売センターの責任者等
多くの人が販売センターに朝から顔を出しており、
ざわざわと賑わっていたなか、
販売センターからふと外を見ると、分譲地の端から
土地全体を眺めている人がいる。

当然私はダッシュで駆け寄った
(※30代半ば。ダッシュができる歳でした🏃)

そして、明るく元気に声をかけた。🤗

「おはようございます❗️チラシをご覧になられましたか❔」🤗

「いや、見てないが、これは売り物なのかね❔」🎅

「はい、こちらが区割り図になりまして、
今いらっしゃるこの角地が○○○○万円。その隣が
○○○○万円~
この並びが陽当たりが良く、断然お薦めですよ🤗」

ここで初老の紳士、もう一度敷地全体を見回して、
そして返って来たのが冒頭の一言である🤑

「大変恐縮ですが、いまはまだ更地ですが、
間取り変更は勿論、仕様やクロスの色等、
一切変更できません。それでも宜しいですか❔」

「いや、建築はお宅の計画通り進めて貰って結構💖
私が角地、隣が息子世帯、もう一棟は、まあ貸しておくか☀️」🎅

この時点で私の頭の中は

(※3棟合わせて合計○億円。えーっと両手【注:売主様と買主様の両方から仲介手数料を頂ける契約】だから×6%+12万で、、。
おお、❗️不振だった前3ヶ月分のノルマが一気にプラスに転じてしまう❗️🤑🤑🎰🎰🏅🏅)

と完全にお花畑状態と化していた。🍒🍌🍎

「では、まずは購入申込書のご記入を。
どうぞ販売センターの方に。
おっと足元お気をつけて下さいね。🤑」

初老の紳士🎅をエスコートし販売センターに入ると、
販売センターの責任者、分譲主の担当者、役員等が
一斉にこちらを振り返った。👀👀👀👀

私は初老の紳士を席に座らせると、
購入申込書の記載を促した。

「契約は3週間後の週末にして貰いたいのだが。
その頃まとまった金が入ってくるのでね。」🎅

不動産仲介では一般的に購入申込から契約
(手付金の支払いと契約書の締結)
迄3週間というのはちょっと長すぎる。😑

「もう少し早くなりませんでしょうか?😙
物件を抑えておく期間としてちょっと。
せめてもう1週間前倒しとか難しいですか?」😙

「相手の有ることなので、週明けに先方に確認を
して連絡をするよ。まあ、多分大丈夫かな。」🎅

「ありがとうございます❗️😙
では、暫定で購入申込書には2週間後の
週末で契約の日付を入れて下さい。😙」

こうして実は3ヶ月間低空飛行の不振営業マンだった私は、

(実は同じ分譲主の別の販売現場に、その前の2ヶ月
詰めていた。しかし、まさかの契約ゼロ😱
精神的に相当追い詰められてきつい、きつすぎる状態であった。💀)

一瞬にしてヒーローに転じた。

「おお、❗️kubokazu、やはりやるときはやる男だったな❗️」

と称賛を浴び見事に高額ミラクルな契約を行う事に。

はならなかった。。。。。。😱

週明けに連絡をくれると言った初老の紳士から
約束の日に電話は来なかった。😰

更にその日以降全く電話に出なくなってしまい、
ようやく電話が繋がったのが、契約日の前々日。😰

「kubokazuさん。連絡がつかないで悪かったね。
明日最終的に先方と話をつけるから
安心して待っておって下さい。」🎅

とそれだけ言って電話は切られた。

販売センターの責任者の判断で、
とりあえず契約準備はして当日お待ちしよう。👺
ということになったのだが、

契約日当日。。。。

初老の紳士は販売センターには来なかった。😱😱😱

その日は分譲主の担当、役員、私の上司、販売センター責任者
他かなりの数の関係者が販売センターにつめていたが、
契約開始予定時刻を過ぎると、一人帰り、また一人帰り
と少しづつ人は減り、最後に私と上司だけが残った。

(このまま消えて無くなってしまいたい。😩😩😩😩)

何も言えずにうつむいて固まっていた私に
上司の上野(仮名)さんは、一言。

「kubokazu、お前もう店に帰ってこい
お前にはやっぱり普通の仲介の方が合ってるよ🧔」

ぶっきらぼうだが、上野(仮名)さんの暖かい一言に
30代半ば。良い年して私は泣きそうになっていた。

(上野(仮名)さん。言うこと聞かなくてごめんなさい。
でも、
ありがとうございます😭)

実は、この手の愉快犯は不動産業界では時たま出没する。

これ以降も、
同じようなケースに何度か出くわしたが、ここで手痛い経験
をしたことから一切取り合う事が無くなった。🙂

特長としては、

高額、現金、自宅が遠いところ、即決、名刺をくれない

等の共通項がある。(ケースが多い)

何故このようなイタズラを仕掛けて来るのかは、
今でも良くわからない。👽️

そして、私はこの翌月から成績がV字回復し、
複数年連続で表彰対象営業マンとなって行くのであるが、
この大きくへこんだこの時期の経験がとても貴重だったと
今では思っている。🤗

そして、あの時の上野(仮名)さんの優しさは一生忘れない。🙂



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