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カランコエの花


平成も終わりに近づいて、多様性(ダイバーシティ)、インクルージョン、LGBT+Qといった言葉がメディアに出回るようになり、エンターテインメントの題材として取り上げられる機会も少しずつ増えてきたように思う。2018年にはLGBTQエッセンスの映画がこんなにあった。15歳の私には想像できなかったこと。

BPM ビートパーミニッツ
バトル・オブ・ザ・セクシーズ
ボヘミアン・ラプソディ
君の名前で僕を呼んで
シェイプ・オブ・ウォーター
彼の見つめる先に
カランコエの花
ゴッズ・オウン・カントリー


2017年京都国際映画祭のグランプリ「カランコエの花」という作品があります。39分のショートムービー。時代劇研究家・春日太一さんが審査員で、満場一致でグランプリをとったらしい。同年、レインボー・リール東京(東京国際レズビアン&ゲイ映画祭)のコンペティションでもグランプリ受賞しているので、タイトルだけは知っていました。作品公開から1年、日本中の映画館を行脚しており、期間限定上映していた渋谷アップリンクで去年の秋に鑑賞しました。

あらすじ:とある高校の2年生のクラスで、ある日唐突に「LGBTについて」の授業が行われたことをきっかけに、クラス内にLGBT当事者がいるのではないかという噂が広まっていく様子を描いた。日常に波紋が広がり、思春期ならではの心の葛藤を抱えた生徒たちは、それぞれに行動を起こすが……。監督は尊厳死を題材に描いた「尊く厳かな死」の俊英・中川駿。映画.comより引用



LGBTが抱える問題を、当事者ではなく周囲の人々の目線から描く

見終わってすぐ、監督と主人公の母親役石本径代さんのトークがありました。出演者の演技も上手いし、39分でこのクオリティはすごいと正直身震いしたほど。みたあとに、じんわり刺さる。クラスメイトの誰かの目線で撮影されているのかと錯覚させられる演出。あいつ、〇〇らしいよ。マジで?きっしょ!こら、そんなこと言わないの。なに正義感ぶってんだよ。だっせー。そんな会話が思い浮かぶ。私があの場にいたらどうしただろう?先生を、クラスメイトを、あの子を守れただろうか?。優しさが仇になって誰かを傷つける。そんな歌詞、ミスチルにあったな…。最後のシーン(保健室から出ていく彼女)で高校生の私は脳内で号泣していた。当時、どちらの立場にもなりえたコウモリで、自己がグラグラしてたから。私が中高生の頃、こういう映画やメッセージは見つけられなかったから、よけい刺さりました。


ただ、あなたを守りたかった。

このキャッチコピーが鑑賞後にずしんときます。いじめや差別、迫害(なんて書くと大げさって言われるかもしれないけれど)はなくなることはなくて、自分が加害者になりえたとき、目撃者になりえたとき、どんな行動をとるのか。正しく、優しく在ることができるのか。その問いをまざまざと突き付けられた気がした。センセーショナルな作品でも、シュプレヒコールを叫ぶ作品でもありません。でも、みて損はないです。自分と違う人がいるんだということ。互いの幸せのものさしが違うということを知っていく。それだけでも、世界は少し柔らかくなるんじゃないのかな。




おまけ:カランコエの花、クラウドファンディング、参加しました!今年のマイ誕生日プレゼントはこれにした。正しい散財だと思っている😊😊😊



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