見出し画像

料理人から一転、まち唯一の小麦農家へ!自分が育てた農作物を自分の手で加工し届ける ー 福島県伊達郡国見町のまち自慢

国見町拠点(福島県国見町)で関係人口創出事業・ふるさと納税の新規開拓を行っている岡野です。
今回私が取材したのは、国見町で200年続く「持地&遠藤農園」の6代目、持地良太さん。
持地さんは農業を行うかたわら、自家製の素材を活かしたお菓子を作られており、私もそのお菓子を何度もリピートしています。




国見町で唯一の小麦農家

6月上旬。田園風景が綺麗に整備され、新緑が輝く季節。
待ち合わせの場所に行くと田植えが終わった後の国見町では珍しく、黄金色に輝く景色が広がっていた。

「10月下旬に種を蒔き、ようやく収穫時期になりました。農園で作っているのは、中力小麦の絹あずまという品種で、うどんやパスタなどの麺類に向いています。パンで使うのは強力小麦なので、あまり使われていないですが、作ってみたらもちもちとした食感であっさりとした仕上がりになりました。」

5月上旬の小麦畑。約半月で色付きがある
表皮を剥くと白い粉状の胚乳と呼ばれるものが出てくる。これが小麦粉となる


料理人から、農業の道へ

いつも気さくで、明るい性格の持地さん。2021年に就農するまでは、農家になろうなんて思っていなかったそう。

小麦や柿を中心に、お米や季節の野菜など手広く手がけている


持地さんは、国見町からも近い福島市の出身。短期大学で栄養士の資格を取った後、料理人になりたいという想いから、料理の専門学校へ進学。卒業後は帝国ホテルなどの有名ホテルで腕を磨いた。その後、奥さんのご家族が営む民宿を手伝うため、石垣島へ移住。料理を振る舞ったり、宿泊者の管理をしたりしながら4年ほど石垣島で過ごした。

そして、2021年に実家のある福島に戻ると、親から「おじいちゃんが90歳になるから、農園を継がないか」と声をかけられた。そのときの心情は、「後継がいなければ自分がなるしかないと決心しました。元々自分でレストランをやりたいと考えていたので、農業について調べていた際に、農家レストランの記事を見つけて、自分で育てた野菜や果物をお店で提供できたら面白いだろうなと思った」という。

新たまねぎ。その場で収穫をしてくださった


心掛けていることは「基本に 忠実に」

国見の町並みと田植えをする持地さん


持地さんに小麦づくりや農業でのこだわりについて伺うと、「4代目の親方(おじいちゃん)が続けてきたやり方を大事に。あまり余計なことをしないことです。基本に忠実に。なぜなら、その土地にあった作り方があるため、なるべく自分の我は入れないようにしています」と答えた。

そして、土づくりを大事にしているという。「根気がいる作業ですが、何度も土を耕したり掘り起こすことで、病気になりにくいサラサラの土になるんです。この作業を怠ると水が溜まりやすく根の張り具合が悪くなり、最終的な出来に響きますね」

この基本を土台に、料理人の経験を活かし、出張料理やお菓子の製造なども行っている。6次化商品の開発やSNSでの発信など、国見町では新たな風を吹かせる存在だ。

国見町の名産品であるあんぽ柿をふんだんに使った「あんぽパン」
農家の焼き菓子「あんぽ柿フィナンシェ」。大人気なお菓子のひとつ


エピローグ

持地さんの取材の中で、「農業の醍醐味は、種から育てたものが収穫できたとき」というお話もまた印象的だった。「夏は暑いし冬は寒い。ふと、なぜやっているんだろうと思う瞬間もある。しかしそれは一時的な感情で、手間をかけた分だけ美味しいものができるんです。例えば、玉ねぎは9月に植えてから冬を越し、9ヶ月後の6月に収穫できる。思い通りに出来ないときももちろんあるが、やっとできたという感動が毎回あります。」農業に限らず、どんな仕事でも通じることがあると感じた。

この記事が参加している募集

ふるさとを語ろう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?