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どんなものを食べているか言ってみたまえ。君がどんな人か言いあててみせよう

January 11, 2019

立教大学観光学部で辻調理師専門学校の小山伸二さんが講師を務める「ガストロノミーと観光」の授業、「ガストロノミーとパン」の今回、ゲスト講師として呼んでいただいた。何百人もの学生の前で話をするのは初めてのことだった。

受講する学生たちは20歳前後で、デジタルネイティブで、彼らの幼少時にはもう、日本はクープデュモンド(製パン技術を競う世界大会)でその技が世界一に選ばれていて、子供のころには本格的なバゲットだって、普通に食べることができたかもしれない。そして彼らは旅とおいしいものが好きに違いない、というイメージを持っていたけれども、でもまだ、わたしはどんなひとたちに対してどんな話をすればよいか、決めかねていたので、先に好きなパンについてのアンケートを行っていた。

「どんなものを食べているか言ってみたまえ。君がどんな人か言いあててみせよう」

これは19世紀フランスの政治家で、美食家でもあったブリア=サヴァランの有名な言葉だ。日本では、「パン」と聞いて思い浮かべるパンはひとそれぞれ。あるひとは食パンを、あるひとはバゲットを、あるひとはメロンパンを、あるひとは毎日たべているコンビニのパンを、あるひとはドイツ旅行のときのパンを、あるひとはお母さんの焼くパンを思い浮かべる。そのため、好きなパンについて聞くことは、そのひとがどんなひとであるか知る、手掛かりになる。それはなぜ?理由も尋ねれば、さらにそのひととのコミュニケーションの第一歩となる。

彼らはどんなパンが好きだったか。学食(カフェ)にもあったけれども、メロンパンと書いたひとが多かったので、最初はメロンパンの話からすることにした。メロンパンの話からはじまって、ガストロノミーに着地することができたのか、どうなのか。1時間半では難しかったような気がしている。でもたくさんのキーを置いてきた。勉強したいひとはそのキーで、どんどん、扉をあけて、進んでもらえたら、と思う。

最後に質問をしにきた学生さんがいた。それも「書く仕事」について。答えたことは、そのまま自分で自分に言っているようなかたちになった。

書き続けること。いまのわたしには、それしかない。

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