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病気を治す薬は存在しない

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病院や薬局で薬剤師として10年間働く中で、常に感じていた疑問とその答えについてお話しします。それは「病気を治す薬は存在しない」ということです。少しシビアな内容になるかも知れませんが、興味のある方は読んでみてください。

この記事がおすすめの人

  • 薬を使うかどうか悩んでいる人

  • 薬に頼らず健康になりたい人

注意してほしいこと
この記事の内容は健康・疾患・医療に関する一般的情報と個人の見解を提供するものであり、実際に診療する医療者が行うアドバイス・治療に代わるものではありません。必ずしも全ての方にあてはまる訳ではないのでご留意ください。



10年間の薬剤師をして気づいたこと

私は病院や薬局で働いてきて、常に疑問に感じてきたことがあります。
『治療薬を飲んでいるのに、なぜ病気が治らないのか?』
薬を飲むからには、病気が治り、薬を飲む必要がない状態になってほしいですよね。でも実際はそうではなくて、毎日頑張って薬を飲んでいるのに病気が治らない人がほとんどなんです。
そして、「病気を治す薬は存在しない」のではないかと思うようになりました。

病気を治す薬は存在しないのか?

まず、病気に対して安易に薬を使っても、根本解決にはなりません。

シンクの水があふれ続けているのに、床にあふれた水をペーパータオルで拭き続けているようなものです。まず水が出ている蛇口を閉めないと、いくら床を拭いても水がなくなることはありません。根本原因に対処しないと、一生床を拭き続ける人生になるんです。

風邪薬を例に考えてみましょう。風邪薬は、咳や鼻水、熱など風邪のつらい症状を和らげることはできます。でも、風邪そのものを治すことができません。風邪の原因は「ウイルスの感染」です。自分の免疫力でウイルスに勝つしか、体を治す方法は存在しないのです。たとえ薬で症状が改善したとしても、それは根本解決とは言えません。

糖尿病などの生活習慣病も同じです。糖尿病は血糖値が高いまま下がらない病気。血糖値が高いままにしておくと、失明したり腎臓が壊れたり、さらに大きな病気につながります。そのため血糖値を下げる薬を毎日飲み続けるようになります。しかしこれらの薬も、糖尿病自体を治すことはできません。薬を飲むことで血糖値という数値を管理することはできても、病気そのものを治すことはできないのです。

病気とは日々の積み重ねの「結果」である

風邪のつらい「症状」や、糖尿病の異常な「血糖値」は、目にみえるようになったあなたの体の異常。その異常は氷山の一角であり、水面下には多くの原因が隠れています。
その原因の多くは、毎日の食事や運動、睡眠の習慣です。

例えば先にお話しした風邪。風邪の本当の問題は、ウイルスに負けてしまうぐらい体の免疫力が弱っていること。そしてその原因は、暴飲暴食、睡眠不足、ストレス過多などアンバランスな生活習慣にあるんです。

また糖尿病も同じで、多くの方は食事や運動習慣など生活習慣に問題があり発症しています。病気とは、たまたま降りかかった災難ではなく、遺伝によって決まるものでもなく、日々何気なく繰り返している生活習慣の積み重ねの「結果」なんです。

病気を治す唯一のくすり

そのように考えると「病気にかかったら薬を飲む」という行動が間違えていることに気づきます。そして病気を治し、さらに予防していくためには根本にある【生活習慣】を正していく必要があります。そう、病気を治す唯一のくすりは「あなた自身」なのです。

体に優しい生活を送り、体の機能を高め、自らの力で病気を治していく。これが本来あるべき姿なのです。

医学の父とされるヒポクラテスの名言に「人は身体の中に100人の名医を持っている」というものがあります。
身体に宿る名医とは、私たちに備わる「自己治癒力」のこと。薬は、この100人の名医の働きをサポートするに過ぎないのです。

薬に頼る前にやってほしいこと

では、実際に病気になったらどうすればいいのか。薬に頼る前にして欲しいことをお伝えします。

知識をつける

中国春秋時代の将軍、孫子を知っていますか? 優れた兵法家であった孫子は、戦争に勝つための考え方を多く残しています。その考え方は現代でも活用できるものが多く、「病気」という敵と戦う上でもとても参考なります。
その孫子の言葉の一つにこのようなものがあります。

「彼を知り己を知れば百選して殆うからず」

戦う相手をよく知れば、百戦したとしても負けることはないということです。つまり、病気に打ち勝つためには、まず病気のことを知る必要があります。

たとえば、高血圧を例に考えてみましょう。
高血圧が進行すると、脳の血管が破れたり、心臓の血管が詰まったり、腎臓が悪くなったり大きな病気につながります。高血圧は大きな病気になるまで目立った自覚症状が現れないことが多いため、「サイレントキラー」と呼ばれたりします。

血圧が高くなる原因は、食事(塩分、食物繊維、ミネラル)、運動不足、寝不足、ストレスなどが考えられます。実際高血圧と診断されると薬での治療が始まりますが、それに合わせて生活習慣の見直しが必ず必要となるのです。

このように、相手のことを知っていると戦い方がわかります。自分で対策を練ることもできるようになります。
まさに、「彼を知り己を知れば百選して殆うからず」と言えるでしょう。

一番の理想は「病気にかからないこと」

孫子の教えで、もう一つ紹介したいものがあります。

「百戦百勝は善の善なる者に非ざるなり。戦わずして人の兵を屈するは善の善なる者なり」

「戦って勝つよりも、戦わずして相手を制することを考えなさい」という教えです。 「戦わずして勝つ」の元になった言葉だとされています。

病気という敵と戦うより、そもそも戦わないことが一番です。つまり病気になる前に防ぐ、「予防」こそ最高の治療だということです。日頃から健康に意識をむけ、知識をつけて、自分の生活をより良いものにしていくことが大切です。

薬も時には必要

でも、時には薬を使う必要があることもあります。 体調が悪く、満足に日常生活が送れない時や、命の危険がある時です。 そんな時は薬の力に頼るようにしましょう。

目の前で火事が起こっているのに、火事を起こさない予防策をとっていても意味がないですよね。まずは消化器で火を鎮火することが先決。そして燃えた家を修復する。その後に初めて、再び火事を起こさないように予防策を取るでしょう。

病気もこれと同じです。 自分を助けるために薬を使わないといけない時もあります。その時忘れてはいけないのは、薬はその場しのぎであり、一生使い続けるものではないということです。薬を飲み続けている限り、その病気が治ることはありません。薬がなくても健康でいられるように、日々の生活習慣に意識を配りましょう。

いつでも相談してください

しかし、病気や体のことは基礎知識がないと理解が難しく、ネットや本で調べるだけではわからないこともあるかと思います。そんな人たちのために、私のnoteでは誰よりも理解できるようわかりやすく発信しています。ぜひ参考にしてみてください。

それでもわからないことや、具体的にどうしたらいいのか教えてほしいという人はいつでもご相談ください。 こちらから、LINEでメッセージいただければ直接返信させていただきますね。
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まとめ

薬剤師の経験から、病気を治す薬は存在しないという考えについて解説しました。薬は風邪の症状や、検査の異常値を正すもので、病気そのものを治すものではありません。病気の根本的な原因は生活習慣にあり、これを改善しなければ本当の意味での治療は難しいです。病気の多くは日々の不健康な習慣の積みかさねによって作り出されます。日々の習慣を見直し、健康的な未来を手に入れましょう。

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