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悪夢の始まり

術後4日目。痛みに耐えながら細切れ睡眠で朝を迎える。
相変わらずボケているおじいちゃんや食事介助要のおじいちゃん相手に看護士さんは忙しそう。
生理用品を取り替えるのに屈むのが辛くてもう1日だけオムツ生活にした。相変わらずかなりの出血量。
士長との約束通り、ハイケアから午前中にほんとにほんとの一般病棟へ。ベッドに荷物などを乗せて、私は車椅子で移動。

この移動してきた4人部屋が中々曲者揃いだった。全員女性ではあるものの、私以外おばあちゃんばかり。
皆心臓病だけれど状況はそれぞれ違って、弁膜症の人もいれば心不全の人も狭心症の人も。しかも手術前だったりカテーテル検査後だったりまちまち。
40代で狭心症+冠動脈バイパス手術を受ける人がそもそも少ないのだろうけれど、私は完全にフロアで浮いていた。
病室内にはひたすら携帯で電話し続けるおばあちゃんに、マナーモードにせず通知音爆音設定のおばあちゃん、いびきかいてずっと昼寝してるおばあちゃん…
昼寝はいい。睡眠できるのは羨ましいし我慢できる。でも携帯の使用は常識外れすぎてうんざりだった。
談話室まで行って思う存分話せばいいのに、そんな人に限って毎日家族がお見舞いに来て長時間だべって帰る。
看護士さんも先生方も誰も注意しない。私一人マナーモードで静かに過ごしてるのが馬鹿らしくなって、後日病院に投書してやった。
老害ってこういう事から始まるんじゃない?

私は退院を急いでいたので、歩行器を使ってとにかく動いていた。
トイレ、食後の御膳下げ、歯磨き、給湯室へお茶汲み。後はひたすら病棟内をぐるぐる何周も歩く。
傷口は痛いけど、うるさい病室にいるよりマシだと思って歩いた。病棟一周しても400歩にしかならない。
携帯の万歩計と連動している懸賞アプリを入れていたので、歩く時は心電図の機械と携帯をパジャマの左右のポケットに入れて。
後は携帯のゲームをするか、ウォークマンで音楽を聴くか、折り紙をするかくらいで、私みたいに皆歩かないし、だから寝たきりになってしまうんだなと思った。