痛みについて勉強しなおす(13)---患者さんの比喩的表現に気をつけろ!---

以前のブログで治療室で交わされる比喩的表現がいかに患者さんにとってDIMsになるかということをほんの少しだけ触れました。実はその時はその事の重大さに気づいておらずさらっと流して紹介してしまったのですが、今回77ナゲットを編集していた時に改めてその重要さに気づいたのでブログでまとめることにしました。今回もDavid ButlerとLorimer Moseleyの共著「Explain pain supercharged」(EPS)などを参照しながら私なりの解釈を入れて紹介していきます。というのも、比喩的表現は英語でよく使われていますが果たして日本語でもそうなのかどうか、日本を離れてから20年近くになる私が詳しく紹介しきれるかはどうかは不明ですが、その辺りはブログ読者の意見を頂戴したいとも思っています。

(注意)日本のアマゾンで注文すると値段がかなり高いです。でも英語がかなり難解なので買う人はほとんどいないと思いますが。

私はEPSを読むまではいかに日々の臨床で我々治療家も患者さん達も比喩的表現を使っているかを認識していなかったのですが、その比喩的表現は得てしてDIMになることが多く、治療家はそれをSIMに正してやることが重要とDavidとLorimerはおっしゃっています。彼らは日々の臨床で使われる比喩を以下の7つに分類しています。

1,Structural metaphors 
2,Orientational Metaphors 
3,Invasive metaphors 
4,Disembodiment metaphors 
5,   Ontological metaphors 
6,Diagnostic metaphors 
7,   Prognostic metaphors 

まあ分類分けにどれほど重要性があるかどうかは不明ですが、少なくとも英語表現では理解する上で重要のようです。これらを日本語表現で当てはめたらどうなるか、そしてそれらDIMになりうる比喩をどのように我々治療家が正していったらいいのか(SIMにする)というのが今回の内容です。もちろんこれを逆手にとって患者さんにDIMを植え付けさせ、愛想をつかされるまで通わせるというのも一つの手ではありますが、このブログを読んでしまったあなたがそうすると詐欺です(笑。

本題に入る前に日本語で果たして比喩表現が頻繁に使われるのかどうか?それはこの動画を見れば一発でわかるでしょう。


それとこのブログ編集中に同時進行でやっていた2年前に受けたあるコースの中から関連する事柄があったので最後に付け加えます。過去の私も含めてほとんどの日本人治療家が行っているであろう事柄です(もちろん悪い意味で)。2年前にそれを知った時は私も大いに反省したものです。


1 structural metaphors(構造的比喩)

Structural metaphorsとは体の構造を何かの”物”に喩えること。例えば、人体解剖モデルを元に「骨盤が”歪んでいる”・・・」とか、「椎間板”ヘルニア”(これも椎間板が飛び出ているとかズレているという意味で)」「膝が(錆びついたドアのように)”ギシギシ”いう・・・」「筋肉が”カチコチ”に固まってしまったみたいだ・・・」「筋肉が”凝っている(コリコリだ)”」など。これは日々、皆が使う表現ではないでしょうか?

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