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緊急事態発生

どうも、「よっちゃん」こと、FARMY事務局の中川です。
今回の記事は、先日のイベントで起こったハプニングから感じた、日本の古き良き風習について。

稲刈りイベント開催!緊急事態発生!!

長野地域の稲刈りは一般的に10月上旬頃。
近所の田んぼが、続々と稲刈り終わっていきます。 

そんな中、我々FARMYも稲刈りイベントを開催!
実にたくさんの方が、東京や長野、ほかにも色々な地域から参加してくださいました。

大人も子どもも、みんなで稲を手刈りし、ひと束にまとめたら麻ひもで結び、そして”はぜ掛け”をする。

はぜ掛けとは簡単に説明すると、刈り取った稲を天日干しする作業。

お米を干すことでアミノ酸と糖の含有量が高くなり、また稲を逆さまに吊るすことで、わらに残った栄養分や甘みが米粒へおりて、お米のうま味が増すと言われています。



予定していた時間通りにはぜ掛けまで進み、もうすぐみんなで温泉と夕飯だ~
…なんて思っていた矢先、最後の最後でとんでもないハプニングが発生。 

なんと、はぜ掛け棒が墜落!

資材(支柱)が足りなかったためはぜ掛け棒を二段にしたのだけど、それを支えていたS字フックが重さに耐えきれず壊れてしまいました。

20kg近い重さに耐えられるはずだったのに…


一瞬みんな茫然自失。

しかし、ショックを受けてる場合じゃありません。

急いで稲を拾い上げなければ、土についたままではダメになってしまう!


麻ひもを束ねてロープを作り、S字フックの代わりを作成。
全員でもう一度はぜ掛けし直し、なんとかリカバリー。

みんなの力を合わせなんとか乗り切れました。
が、これがもしひとりだったらと思うとゾッとします。

仲間たちの存在が本当にありがたかった体験でした。


古くから伝わる風習『結』

もともと農村社会には、昔から『結(ゆい)』と呼ばれる文化…というか精神があります。

田植えや稲刈りのように、短期間で集中的に労働力が必要な場合、複数の農家が協力しそれぞれの家の農作業を順番におこなっていく。

もちろんそこに書面契約などなく、ほぼ口約束。

金銭や物品で相殺するのはナシというのが暗黙のルールで、1日の出動には1日の労力で返す。

逆に、労力の強弱・大小はさして問題ではなかったようで、かつての農村社会における人間関係がいかに厚く、信頼のうえに成り立っていたことがうかがえます。


一見すると利便性や合理性に欠けるようだけど、力を合わせ共に汗を流すことが『結』の基本原則。

むしろ、金品の授受など介在しなかったからこそ、長年にわたり継承されているのかもしれません。


世界に誇れる文化

少し話は変わりますが、
ユネスコの世界遺産に登録されている白川郷にある茅葺き屋根の『合掌造り集落』

世界遺産に登録される際、単に建物と集落だけの価値でなく、『結』による共同作業が大きく評価されたそうです。 

瓦葺き屋根は30〜40年に一度葺き替えなければならず、この作業を村人みんなで助け合いながらお互いの屋根を交換するとか。

特に白川郷の屋根は巨大で急勾配で、危険が伴う大仕事。
互いの信頼なくしては到底できません。
むしろ大変な作業を共有することで、信頼関係が育まれていったのでしょうね。

『結』は日本が世界に誇れる文化です。


失われつつある精神性

だけど現代、労働の雇用が一般化、または農機具など技術の発展にともない、農作業の体系も変わってきて、『結』はしだいに消滅しつつあるといいます。

どんな災害が起きたときも、日本人は争うことも奪い合うこともせず助け合っている…
そんな姿が世界中から称賛されたりしましたが、その扶助の精神も薄れてきているなんて言われています。

時代の流れと言ってしまえばそれまでで、しかたないことなのかもしれません。

しかし…


江戸時代、多くの町人が住む長屋では、味噌や醤油の貸し借りに始まり人情味溢れる助け合いの社会が形成されており、そこに育つ子どもたちは”地域の子ども”として、厳しくも優しく育てられていました。

またここ長野は、縄文時代に一番栄えていた地と言われ、皆が助け合いながら暮らし、争いもなく平和な時代が続いたと言われています。


縄文時代や江戸時代の生き方…というか『あり方』が、一番理にかなっていたのかもしれません。

その証拠に江戸幕府は100年、縄文時代にいたっては1万年以上も平和な時代が続いたと言われているし。


農機具にしたって、自分のとこだけで取りそろえようとしたら大変なんですよ。
値段は高いし、置くとこも必要だし。

マンパワーも含め、みんなで持ち寄って、貸し借りしあって支えあう。

なにより、ひとりだったら過酷な農作業も、仲間と一緒なら楽しいですもん。

農業を通し、貴重な資源『土』とともに、古き良き風習も次の世代に繋いでいけたら良いななんて感じます。

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