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「食産業を支える夢」 ⁃ 放牧で農業を良くすることは食を良くすることに繋がる

会社の立ち上げ当時から現在までずっと、ファームエイジでは企業理念として「5つの夢」というものを掲げています。
これは、私たちがまっすぐに進み続けるための指針であり、また、絶対に叶えなければならないという強い使命のようなものでもあります。

そのうちの一つが、今回ご説明する「食産業を支える夢」です。

私たちが普段食べている肉や米や野菜や牛乳は、どこからか突然湧いてくるものではありません。
農業のあり方は、食のあり方。日本に放牧を普及させることができたら、私たちの食卓には一体なにが起こるでしょう。そんなお話に、少しだけお付き合いください。

放牧システムと「食」

小社が推進している放牧システムは、放牧地を細かく電気柵で区切り、草の伸び具合に合わせて動物たちを移動させていく、「管理型集約放牧」と呼ばれる方式のものです。
基本的に動物が食べるのは草のみ、それも自分の足で動き回って選んでもらうことが前提です。
日本では現在、畜舎の中で輸入穀物を人の手で与えていく飼育方法が一般的ですから、これはかなり大胆な転換であることがお分かりいただけるかと思います。

この放牧システムを取り入れると、機械での堆肥やエサの運搬が不要になるほか、動物に適度な運動をさせることができる、土や草の状態がよくなるなど、環境負荷の少ない持続可能な農業へと自然に移行していくことができます。
また、牧草で育った動物の乳や肉は不飽和脂肪酸を多く含んでおり、その中でもオメガ3の割合が高いため、穀物で育ったものに比べて成人病のリスクを低減させると言われています。
つまり、人間の身体により良いものをつくることにもなるのです。

こうした情報をきちんと周知し、消費者の多くがそのメリットを感じられるようになれば、放牧製品にはきちんと価値がつくようになります。
現在は国産の放牧製品は高すぎて手が届かないといった状況もありますが、国内の需要が高まれば放牧を取り入れる生産農家が増え、いずれ適正な価格へと落ち着いていくでしょう。
そうすれば日本の食産業の基盤が整って、ちょっとやそっとの貿易環境の変化に振り回されずに済むようになるなどし、消費者が手軽に放牧製品を選んで購入することができるようになります。
この好循環が、日本の酪農畜産業の未来を支えていくことになります。

野生動物コントロールシステムと「食」

小社はまた、電気柵、センサーカメラなどを用いた野生動物コントロールシステムの提案も行っています。
これらの活用で目指すのは、シカやイノシシ、サルなどの野生動物による農作物被害を未然に防ぎ、食の恵みを最大限得られるようにすることです。

現在、日本における農作物の鳥獣被害額は約150億円にも上っています。
深刻なのは、そのダメージが額面上だけのものではなく、「どうせ荒らされるから」と農家さんのモチベーションの低下をも招いてしまうというところにあります。
この状態が続くと、農村地帯からは人がいなくなり、村そのものが消えてしまうという事態にもつながりかねません。
これを電気柵などの設置によって解決しようというのが小社の取り組みです。

放牧と野生動物対策は別のものと思われがちですが、実は農作物被害のうち、エゾシカによる被害の半分は牧草だと言われています。
これは農家さんがせっかく育てたおいしい草を、家畜が食べる前に野生動物に食べられてしまっているということです。
しかし、牧草被害は他の野菜や穀物などの被害に比べて実害の程度がわかりにくく、明らかに損をしているのに農家さんにはその自覚が無い、ということがよく起こっていました。
そこで小社では、放牧のための設計を行う際には、得られるであろう草の量とそれが失われた際の被害額を数字で示した上で、野生動物対策もセットで組み込んでご提案しています。
この地道な工夫が、将来の食の量、質、多様性に大きく影響するのです。

外食産業への挑戦

もう一つ、小社が行っているのが、少し意外かもしれませんが、ハンバーグレストラン「びっくりドンキー」のファーム太平店ファーム野幌店のフランチャイズ経営です。
これは私がびっくりドンキーの親会社である「株式会社アレフ」の創業者、故・庄司昭夫氏と出会い、持続可能な農業への想いで意気投合したのがきっかけです。

外食業ではお客様の顔を直接見ることができるため、どういったものが好まれるのか、どうしたら消費者に放牧の良さをもっと伝えることができるのか、といった課題の発見解決方法の提示をいち早く行うことができます。
ともすると農業の目指すものと消費者が求めているものとは乖離してしまいがちなので、こういったフィードバックを得やすい環境で常に市場感覚を保っていられるのは、企業として非常に恵まれていることだと思っています。

まとめ

以上が、私たちの「食産業を支える」ための取り組みです。行っていることは一見バラバラのようですが、その芯はすべて同じ想いにつながっています。


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