特定の人種のキャラクターをその人種の役者が演じるということ

 先日「白人声優が有色人種キャラクターの吹き替え降板」という報道がネットを駆け巡った。

 アメリカの人気長寿アニメ番組「ファミリー・ガイ」の黒人キャラクター、クリーヴランド・ブラウンを演じているマイク・ヘンリーが降板を表明したのだ。
他にも「アナと雪の女王」でアナを演じたクリステン・ベルがAppleTVのコメディアニメ「セントラル・パーク」から降板、Disney+のドラマ「シーハルク」でハルクの従姉妹ジェニファー・ウォルターズ/シーハルクを演じるという噂のあるアリソン・ブリーもNetflixの人気アニメ「ボージャック・ホースマン」でベトナム人キャラクターを演じ続けていたことを謝罪した。

一連の報道に対し、Twitter界隈は盛り上がりに盛り上がった。

 この動きについて非常に否定的な意見が多く拡散され今に至っている。では何故「役を降板する」という事態にまで発展したのか。ホワイトウォッシュ(白人化)と合わせて、それをゆるーく紐解いていきたい。


おかしいと思う人はそもそも前提から間違っている

 しまった。見出しの時点で完結してしまった。トホホ。

怒っている人は白人が仕事を降ろされたことに怒っているのである。「誰が誰を演じてもいいじゃないか!」と。なるほど、一見するとそれは正しい。しかし、そもそも「白人が仕事を追われた」という前提がもう間違っているのである。


白人以外が役を得ることの難しさ

 仕事を追われているのは白人ではない。そもそも白人以外の席が少なすぎるのが問題なのであり、ことの前提なのである。
 例えば前述の「ボージャック・ホースマン」を見てみよう。主役のボージャック・ホースマン役ウィル・アーネットはカナダ出身の白人俳優。猫のキャロライン役エイミー・セダリスもアメリカ生まれの白人。人間のダイアン役アリソン・ブリーも白人。ラブラトールレトリーバーのピーナッツバター役ポール・F・トンプキンスも白人。とにかく白人で固まっている。

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実写・アニメ問わず、また、ハリウッドの大手スタジオ配給作品に限らず白人以外が役を得るのは難しいという現実がそこにはあるのだ。

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