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人間の鱗取り

下着、肌着全部脱いで、与えられたガウンを着る。
指示された場所で待機。
その中でじっと待つ。
全身の穴から水分がぷくっと膨れ上がる。
目を瞑って、深呼吸。

ガウンを脱いで浴場へ。
しっかり身体を洗って湯船に浸かる。
芯から温まっていくと、皮膚がどんどん柔らかくなった。
時間だ。

湯船から出て指示された場所で寝転ぶ。
何も隠すものは用意されていない。
他人に身体を見られるのは恥ずかしい。
でもいつものことらしく、おばさんはそんなこと関係ないって顔をしている。
そんな中で恥ずかしがるのも逆に変か。

用意が終わり、始まるみたいだ。
じっと待つ。

始めますね〜

ものすごく強い力で身体が擦られていく。
皮膚が傷つけられてるんじゃないかってくらい。
目を瞑ると、頼りになるのは体の感覚だけ。
恐らく、実際の何倍も強く擦られてるように感じる。


…わしは魚か!


そんなことを一瞬でも思ってしまったら、もうその思考は止まらない。自分のツボに入って笑ってしまいそう。でも笑うのはおばさんに迷惑になる思い、頑張って堪える。


…ムリムリムリ!!

笑いの我慢の限界が近づく。
必死に自分の気持ちと格闘する。
笑ってはダメだ。
でもダメだと思うほど限界突破が近くなる。

もはや既に口はニヤけており、限界点はすぐそこまで迫っていた。ダメだダメだダメだ。あーあーあー。何とか頭の中から必死で取り除こうとしてもまた戻ってくる。



これで終わりです




セーフ。
自分との格闘に勝利することができたのであった。



皆さんも、ツボに入った時はご注意を。

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