#38 葬儀も面白い

喪主挨拶

喪主を務めたのは故人・祖父の長男だった。

「父は礼儀に厳しく、とくに挨拶にうるさい人でした。
 幼い頃から引っ込み思案で泣き虫だった私に
 「〇〇駅行って電車から降りるひと全員に挨拶してこい!」
 と言われたり、保育園で年上のお兄ちゃんにいじめられた時には
 「これ持っていって、やり返してこいや!!」
 と木刀を持たされました。
 厳しかった教育も今になっては良い思い出です」

式場では祖父の性格からみんなが想像でき、笑いが生まれる。

耐えきれなかったご長男さんは嗚咽してしまうほど泣いてしまう。
少し落ち着いて

「泣き虫だった私が戻ってきてしまいました」

伏線回収。うまいと思った。


泣くタイミングは自分でもわからない

故人・祖父の妹の長男のまー君(仮)は式中にも
小声で故人の思い出話や殴られた話など終始笑顔だった。

しかし、火葬が終わり収骨の際に骨を見てまー君は号泣した。

親族一同が、え、まー君が?え、今?となったが
おそらく、まー君自身もなぜ今かわからなかったと思う。


一方、私は嗚咽するまー君を羨ましく思った。


素直に泣けない、なれない。

祖父の葬儀中に静かに流した涙は2粒。
火葬中に流した涙も2粒。
今日は4粒流した。

流した涙を数えるのは私だけか。

親戚の前で泣いてたまるか。


葬儀が全て終わり帰宅した。
なぜ泣くのを我慢していたのか。
と、少し後悔している。

涙の消化不良。


これからの葬儀では


今後、葬儀に出られる方へ。



泣きなさい。



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