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【ニュースコラム】遠山桜を越える満開の花を咲かせるか

―伝達式で注目される四字熟語は額縁入りの言葉だった

秋場所で初優勝を飾った正代関が大関昇進を決めた。

伝達式の口上は「遠山の金さん」お白洲のシーンにおいて、ふすまの上にある額縁に飾られた有名な言葉、“至誠一貫”を口にした。

正代関の所属は時津風部屋。時津風部屋と言えば、死亡に到る悲惨な暴力事件があった。横綱をはじめ力士が引退に追い込まれる、現在の潮流のきっかけになった事件である。

今日(9月30日)の新聞に面白い記事が掲載されていた。

作家・尾崎士郎さんの息子である、俵士さんが読売新聞のインタビューに答えている。お名前は存じているが、作品はまだ読んだことがない。

尾崎士郎さんは、伝説の名力士で講談でも人気の雷電為右衛門を描いた「雷電」という作品を残している。また、草創期の横綱審議委員を務めた好角家であったらしい。

その好角家・尾崎士郎さんが愛した現役力士が、大関・清水川だった。清水川のエピソードがあまりに強烈である。

奔放な生活が災いし、小結に上がりながら破門された。清水川の父親は息子の復帰の嘆願書を出し、その責を負って自害する。復帰を許された清水川は心を入れ替えて大関に昇進した

自分の命と引き換えにという言葉は常套句ではあるものの、その心意気を示すためのものである。本当にやった人がいたのである。

つくづく、色々な力士がいるんだと感じ入ってしまった。

この大関・清水川が引退の後、創設したのが時津風一門のひとつ追手風部屋である。

時津風一門には、何かいわくの付いてしまうことが、一門の家風なのであろうか。

正代関にはそんな、いわくにとらわれず、遠山桜に負けない、絢爛豪華な桜を満開に咲かせてほしい。

もちろん、その桜とは、日本人出身横綱のことである。

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