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【ニュースコラム】マツキタツヤ氏逮捕を端緒に

―安直な自粛ムードに嫌気がさしつつ、自らの安直さにもまた嫌気がさす

つれづれなるままに、日暮らし…

何となく浮かんできた考えをたどってみたいと思う。

その始まりは、マンガ『アクタージュ』の原作者・マツキタツヤ氏が強制わいせつで逮捕されたというニュースからだった。

そこから、マンガ『モリのアサガオ』の作者・郷田マモラ氏のアシスタントに対する強制わいせつへ思いが巡った。『モリのアサガオ』は、死刑囚について書かれたマンガ。すべての人が等しく、強制わいせつはダメだが、よりによって…という印象を持ったことを覚えている。

最近、事件や薬物、芸能人や有名人が何かをしでかす度、「本人」と「作品」の関係が議論されているように思う。

あらゆる場面において、人権意識が少しずつ前進していることは歓迎すべきことであるし、まだまだ足りないと思うこともある。

ただ、「本人」と「作品」の関係についての議論は、様々な方面へ気配りや心配りをするあまり、何か後退すらしていると感じることがある。

ひと昔前はもっと単純だった。芸能人が麻薬で逮捕されたりすると、「逮捕されてもお金は入ってくるからね」と、割と正直なコメンテーターは率直に話していた。

ただ、強制わいせつには被害者が確かにいる。被害者およびそのご家族が安寧な日常を回復されることを心より念願しつつ、また、決して被害者の思いではないことをお断りした上、申し上げたい。

被害者ご本人を除いた人々の可罰感情の源は、ひと昔前のコメンテーターの言う通り、犯罪を起こそうが、逮捕されようが、有名人には収入があることに対する違和感。真面目に生きていることから来る怒りであろうというのが正直なところ。宮迫さんの件も然りである。

くり返しとなるが、被害者の方に対する配慮の気持ちは、健全な市民社会を形成するひとりの市民として当たり前のことである。

そうやって、堂々巡りをしているとき、マンガスクリプトDr.ごとうさんという方の動画を拝見して、心が少し軽くなった。上手く論点をまとめて、お話くださっている。

サムの息子法は、神戸連続児童殺傷事件の少年Aが『絶歌』を出版した際にも、話題となった。『絶歌』にも賛否両論が沸き起こった。読むべき価値のある本かどうかということと、加害者が印税収入を得るというのは別の話であると思う。

被害者家族の立場に立てば、とても軽々には表現できぬほど奥底からの怒りを覚える。

筆者が担当編集者なら、まず被害者および被害者家族から了承を得る。了承を得た上で、被害者家族の声も同時に掲載する。さらに、印税はすべて被害者へ充てる。その上で読むべき価値があるのか否かの議論がスタートできるのではないだろうか。

本当につれづれなるままとなってしまったことを、心から深くお詫びして結びとさせていただきたい。

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