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月と森のサブマリン ⑥       5トンユンボ修理         

(森でひとり潜水艦)

…。
水道屋のオヤジさんから譲ってもらったバックホー。
動かす前に、
まずはエンジンオイルの交換。
次に燃料タンクに軽油の燃料補給。
そして、
グローをして、
エンジンキーを廻した。
ボボボボー。
あっさりと3気筒ディーゼルエンジンが始動。
なかなかいい。
次に乗り込み、
目の前に伸びている4本のレバーと、
足元のフットレバーなどを動かし、
5トンバックホーを動かしてみる。
だが、右側のゴムキャタピラが切れているため、
全ての動作はできない。
それでも、
アームの上げ下げなどを試し、
さらにキャタピラの着いている方を動かしてみた。
なるほど。
二本のレバーで前進後退、
右旋回、左旋回ができるようだ。
いろいろ試す事30分。
おおよその運転方法を把握すると、
問題のゴムキャタをはめ込み作業に取り掛かった。
しかし、
これが難仕事。
経験の全く無いキャタピラはめ込み。
さらに、
一本のゴムキャタの重さが2~300キロほどあるのだ。
つまり、
人間技では全く動かせない。
となると、
動けない5トンバックホーで作業する事になる。
アームを動かし、
輪状のキャタピラを引き寄せ、
次にアームで大地を押し下げ、
キャタの無い側の車体を持ち上げる。
犬で言えば、
片足上げてオシッコをする格好だ。
さらに車体のキャタピラにテンションをかけている、
グリスのボルトを外し、
テンションピストン内のグリスを抜き、
キャタピラを駆動輪を回転させながらはめ込んでゆく。
…。
これが超ムズイ。
悪戦苦闘とはこの事。
さらに、
ひとり作業だから汗だく。
休憩を入れながら、
丸一日。
…。
何度も失敗しながら、
何とかキャタピラをはめ込み、
グリスを注入してテンションをかけ完成。
動かしてみると、
動いた。
前後左右、
回転と。
…。
うれしさも半端ない。
これで怪力の仲間ができたのだ。
…。
さて一週間後、
生き返った5トンバックホーで、
次の作業に突入。
そう、本来のやるべき仕事だ。
キャタをはめ込む作業で運転技術もあがり、
アカマツ林で切り倒した丸太の運搬作業に取り掛かった。
運び方は直径9ミリのワイヤーでぶら下げて運ぶ。
朝から晩まで、
やがて、
山のように摘み上がった丸太の群れ。
それを見ながら、
この丸太、
…。
どうする?。
…。
つづく。

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