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スプートニクの恋人

村上春樹の「スプートニクの恋人」を読んだ。

去年、「ねじまき鳥クロニクル」を意地で読み切ったので、
それに比べるとスプートニクの恋人は読みやすかった。

読み進めるにつれて、ねじまき鳥クロニクルでも見られたような表現が散見されて、村上春樹さんってこういう作家なのか、と分かってきた。

さすがの言葉選びで、情景がはっきりと思い浮かぶ。
その一方で、夢の中のシーンは抽象的でまだ自分の中に消化できていない。

メモがてら、私が好きだった表現。

店の外に出ると、染料を流し込んだような鮮やかな夕闇があたりを包んでいた。空気を吸い込んだら、そのまま胸まで染まってしまいそうな青だった。

村上春樹「スプートニクの恋人」講談社文庫 p145

ついさっきまでぼくのすぐそばにあった人々の営みが、匿名の光の連なりの中に吸収されていった。そのままはさみで切り取って、記憶の壁にピンで留めておきたくなるような印象的な眺めだった。

p146

ギリシャの島で息をのむような景色を見たんだろな~って伝わってくる。
私もそんな景色を見てみたい。

綺麗で幻想的で、儚いシーンがある一方で、中には不倫の話もあって
人間味も感じられる。
そういうところが面白かった。

とても個人的な話だけど、バイトの上司に
”若いころ 2人の人妻と同時に不倫してた”
と言っている人がいて、真偽は知ったこっちゃないけど、
たしかにその人はモテそうな人で。
この本の主人公の彼もあんな感じなのかな
と思ったり。

主人公の教え子(彼はその母親と不倫している)が万引きをしてしまい、
教師である彼が店に呼び出された時
彼はちゃんと対応して、子供と向き合っていた。

不倫するなんて人間としてはろくでもないけど
教師としてはろくでもある人だった。

そういう人っているよね。
そして私はそういう人に惹かれがち。
まあそんなことはどうでもよくて。

この本の真の髄には到底たどり着いていない気がするので
少ししたらまた読み直そうかな。

読解力を高めたい、そんな秋の日でした。


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