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企業内診断士の副業デビュー! 初めての補助金申請支援で感じたハードルと充実感

中小企業診断士のすずかです。

普段は企業内で粛々と働いている私ですが、最近、初めて中小企業診断士として「副業」に挑戦しました!

今回は、診断士1年目の私が初めて担当した収入案件である「補助金の申請支援」について、その経緯と企業内診断士として感じたハードル、そして何より充実感についてお話します。

企業内に勤めながら、中小企業診断士として活動するのは、生活面でも精神面でも大きな負担が伴います。

私自身も副業を始める前に、「本当に大丈夫かな?」「会社にバレないだろうか?」「業務と両立できるだろうか?」「クライアントの期待に応えられるだろうか?」と不安でいっぱいでした。

しかし、実際にやってみて、「このくらいの負担感であれば、案件によっては受注できるな」という自信がつきました。これは、次の活動への大きな一歩だと感じています。

なにより、中小企業診断士として実績を積み上げることの充実感は、何物にも代えがたいものでした。


副業に不安を感じている方も、私の経験を参考に是非「副業」にチャレンジしていただければと思います。


この記事は、以下の方を対象にしています。

・企業内診断士で副業を考えている方
・補助金の申請支援について知りたい方
・中小企業診断士を目指されている方

私の経験が少しでも参考になれば幸いです。


1.案件のきっかけと受注までの道のり

■研究会での「経営診断」がきっかけ
私は、中小企業診断士として企業の「経営診断」を行う研究会に参加しています。

経営診断は数か月にわたり、以下のプロセスを経て行われます。

  1. 経営課題のヒアリング

  2. 経営者による事業内容及び経営課題のプレゼン

  3. 経営課題に関する質疑応答

  4. 経営課題解決に向けた「提案書」の提出

  5. 提案内容のプレゼン


私は研究会の運営側のメンバーとして、診断先企業の社長と直接やり取りしながら、経営診断の運営を担当していました。

もちろん、私も経営診断に参加し、全力を尽くした「提案書」を提出しました。

この経営診断の活動が、私が補助金の申請支援に携わるきっかけとなりました。

■懇親会で社長と交流
こうした研究会の活動の一環で、懇親会(飲み会)が開催され、そこで診断先企業の社長とお話しをする機会がありました。

この懇親会で、補助金の話題が出た際に、私が「別の補助金の研究会にも参加している」と話すと、社長は「実は、事業再構築補助金の活用を考えている事業がある」と大変興味を示してくださいました。


■社長から補助金申請の相談
経営診断が終わってしばらくして、社長から「補助金申請の相談に乗ってほしい」との連絡が携帯に入りました。

まさか、本当に連絡をいただけるとは思っておらず・・・
朝の通勤途中で気も抜けていたため、かなり驚き、ドギマギしながら電話対応しました。


■先輩の診断士へのフォロー依頼
依頼をいただいたのは嬉しいのですが、正直「さて、どうしよう」となりました。補助金については勉強を始めたばかりで、本業がある中では十分な対応も保証できません。

何より実際に支援した経験がなかったため、不安がありました。

事業者のために最善の策を考えた結果、単独では支援は困難と判断し、先輩の独立診断士の方にフォローをお願いすることにしました!

社長には事情を説明し、私以外に独立診断士の方にも関わってもらうことについて了承を得ました。

先輩診断士の方は、補助金の研究会でお世話になっていた方です。大変ありがたいことに、フォローの依頼を快諾してくださいました!

このような経緯で、私は補助金の申請支援に携わることになりました。

■初回の補助金相談から契約まで
初回の打合せは、「無料相談」という形でオンラインで行いました。

無料相談では、先方から事前にもらった情報をもとに、狙っている補助金の概要、必要な準備や留意点、採択率を上げるためのポイントなどを説明しました。

最後に、今後の対応方針として、次回以降のサポートは有料となる旨とその料金についての説明を行いました。

この無料相談の結果、無事に次回に繋げることができました。

次の打合せでは、クロージングに向けて具体的に以下の内容を提案しました。

  • どの補助金を狙うか

  • 補助金の金額と補助率、スケジュール、要件

  • 提供する支援サービスの内容

  • 報酬体系

サービス内容の「提案書」を提出し、これに対して先方から「申込書」にて申し込みをしていただく形として、打合せを終了しました。

提案から1ヶ月ほどして、先方から正式に「申込書」の提出がありました。

こうして、実際に補助金申請の支援をさせていただくことになったのです!

2.企業内診断士が直面するハードル

補助金申請の支援を行う中で、企業内診断士としていくつかの課題に直面しました。

■副業が認められているか
企業内診断士にとって、副業が認められているかどうかは大きな問題です。就業規則に副業に関する明記がない場合は、グレーゾーンとなる可能性があります。

私の場合は「公には副業は認められていないが、個人での業務委託が禁止とも明記されていない」という状況でした。

私は就業規則を熟読し、「業務委託契約であれば違反しない」と判断し副業を行いました。

企業内診断士の方は、自己責任で判断することはもちろん、就業規則や社内ルールをキチンと確認することが必要です。

■平日の昼間など柔軟に打合せができること
打合せ時間はある程度柔軟に対応できる必要があります。相談に乗っている段階では、互いの空いている時間でという話になりますが、契約後は先方の都合に合わせる必要があります。

そのため、どうしても平日の昼間の打合せとなります。私の場合は、半日休暇を3回ほど取って対応しました。

企業内で活動する場合、有給休暇の取得を含め、時間的な制約をクリアできるかが重要となります。

■緊急対応や現地対応が必要な場合もある
補助金の申請では、事務局からの連絡や事業者へのサポートなど、予期せぬ対応が必要となる場合があります。

最近は各種申請が電子申請になりつつありますが、パソコンでの申請に不慣れな事業者も少なくありません。

私の案件では、先方が電子申請に不慣れだったため、半日休暇を取って先方の事務所に出向き、現地で申請のサポートを行いました。

企業内診断士の場合、こうした緊急対応や現地対応も大きなハードルとなります。

■クロージング(契約まで持っていく)
補助金の相談にずっと無料で乗るわけにもいきませんので、必ずどこかでクロージングのタイミングがあります。

皆さんは、クロージングの経験はありますか?

恥ずかしながら、私はクロージングの経験がなく、その意識も希薄でした。

今回は、今回は先輩診断士の力を借りて契約締結に至りましたが、企業内診断士であっても、クロージングについての心構えとスキルを磨くことが必要だと痛感しました。

■申込書や契約書など、書類の準備
事業者との契約は書面で行う必要がありますが、私は契約書に準ずるひな形を持っておらず、報酬体系についても知識がありませんでした。

今回は先輩診断士の協力を得て契約を締結しましたが、契約書のひな形を用意し、報酬体系についても事前に検討しておくことで、スムーズに契約を締結が可能になります。

企業内診断士であっても、契約行為のための準備は整えておくことをおすすめします。

3. 補助金申請支援の業務負荷と時間管理

補助金申請支援は、想像以上に時間と労力がかかる仕事であることを実感しました。

■長期にわたる支援期間
正式な契約後、まず先方の事業計画をヒアリングするため、本社を訪問しました。製造業の企業だったので、工場見学もさせていただきました。

その後は、定期的にオンラインミーティングを行い、事業計画の方向性を検討したり、情報交換を進めたりしました。

契約後の補助金の申請支援は、結果的に約8ヶ月に及びました。

支援期間が長くなった理由は、先方の事業計画と補助金のスケジュールや要件がマッチしなかったから
です。

もちろん、8ヶ月間ずっと忙しかったわけではありません。「公募が出るまで待つ」という空白期間もありました。

しかし、補助金は事業計画のスケジュールに合わせて利用するため、長期にわたる支援になることも覚悟しておく必要があります。

■紆余曲折した補助金選定
当初は「事業再構築補助金」の第11回を狙う予定でしたが、先方の事業計画とスケジュール的に合わず断念しました。

その後、「事業再構築補助金が終了するかも」という噂も流れる中、第12回公募を待ちました。

ところが、第12回の公募要領を見ると、今度は要件の方が合わず、申請を断念することになりました。

最終的には、スケジュールと要件がもっともマッチした神奈川県の「中小企業生産性向上促進事業補助金」を狙うことになりました。
ちなみに、補助上限額は500万円です。

(ここまでで、契約から6ヶ月が経過)

狙う補助金が決まった後は、隔週で打合せを行い、詳細を詰めました。

補助金の加点項目である「パートナーシップ構築宣言」や「事業継続力強化計画」の申請も行った上で、約2ヶ月で補助金の申請完了まで進めることができました。

■補助金支援の業務負荷
今回は、先輩診断士の協力のもとで2人で作業分担をしましたが、実際にやってみた経験から「狙う補助金が決まった状態から、一人で補助金の申請支援をする場合の作業時間」を推定しました。

作業時間は、約60時間です。
※個人の力量や補助金によって増減します。

作業時間は、打合せとその事前準備、情報収集、メール対応、現地訪問、事業計画書の作成と推敲、その他申請書類の作成、などを想定しています。
※採択されると交付申請や実績報告などの事務手続きも追加で発生します。

契約から補助金の申請終了までを2ヶ月とすると、毎週7.5時間を作業時間として確保するイメージです。

さらに、現地訪問や平日昼間の打合せがあるので、この日程の確保も必要です。

企業内診断士として活動する場合、こうした業務負荷を予め理解し、スケジュールを調整しておくことが重要です。

特に、平日昼間の打ち合わせや現地訪問の時間をどう確保するかがポイントとなります。

4.初めて補助金の申請支援を振り返って

補助金申請支援に携わり、多くの気づきと充実感を得ることができました。

■「1回やる」と自信に繋がる!
初回の無料相談から、提案と契約、補助事業に関するヒアリング、事業計画書作成、加点項目の申請、補助金の申請までの一連の経験を通して、貴重なノウハウを得ることができました。

特に、事業計画書の作成方法と必要書類の調整方法を肌感覚で知ることができたことは、大きな自信に繋がりました。

■中小企業への初めての価値提供
中小企業診断士になるために、多くの時間と費用を試験勉強に費やしました。合格し診断士登録してからは本業の合間に研究会活動にも参加してきました。こうして培った知識と経験を実践の場で事業者に対して提供できたことは、非常に嬉しい体験でした。

大袈裟な表現かもしれませんが、私の中では、診断士1年目として本懐を遂げたと言えます。これは、今後の活動への大きなモチベーションとなりました。

■補助金申請支援は、なかなか複雑!
補助金は、国だけでなく地方自治体や各省庁(経済産業省や農林水産省など)からも提供されています。

多種多様な補助金が存在するため、事業者の計画に最適な補助金を調査し、提案することが求められます。

さらに、補助金は予算に基づいて提供されるため、政策変更や予算枯渇、要件厳格化などの状況が発生する可能性があります。

このような政策の動向を常に把握しながら、事業者にとって最も有利な補助金を選定することが必要です。

■人脈の重要性と研究会の活用
今回の案件は、研究会の経営診断と懇親会での人脈が繋ぎとなったものでした。また、フォローをお願いした先輩診断士も、補助金の研究会で知り合った方です。

こうした人脈は、研究会だけが選択肢ではありませんが、1つの有力な候補だと思います。

研究会や懇親会への参加は、直接的な業務機会を得るだけでなく、信頼できる人脈を築く上でも非常に有効です。こうした交流の場での経験やつながりは、診断士の活動において大きな財産となります。

研究会の選び方など、診断士1年目で困ることは以下の記事にまとめてあります。是非参考にしてください。

5.まとめ

私の初めての補助金申請支援は、幸運に恵まれた部分も大きかったことを正直に認めたいと思います。研究会での活動や人脈が、副業獲得に繋がるきっかけとなったことは、まさに棚ぼたのような幸運でした。

しかし、この幸運を掴むためには、診断士としての知識や経験を積み、積極的に人脈を広げるという努力を続けてきたことが不可欠だったと確信しています。

偶然とはいえ、補助金の申請支援の経験ができたことに違いはありません!

今回、私の経験談を共有させていただいたことで、少しでも多くの企業内診断士の方々の副業デビューの背中を押すことができれば幸いです。

補助金が無事に採択されることを祈りつつ・・・
引き続き、がんばりまーす。


ここまで読んでいただき本当にありがとうございます。

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