おい、ちょっといいか【2】

仕事の時間も中程で、突然上司に声をかけられた

私『はい』

いつもと少し違った声色に少し緊張する

現場から少し離れた小さな会議室に案内され

こう切り出された

上司『今回の呼び出しに思い当たる事は無いか』

私 『ありません』

上司『後輩を恫喝するような事はやめろ』

この人は何を言ってるのだろう
混乱したままの頭で回想を巡らしていると、先日の後輩とのやりとりを思い出した
仕事の事で注意をした際、後輩の態度の悪さに激昂してしまったのだ

私 『先日後輩に声を荒げてしまいました』
  『以後気をつけます』

上司『それだけでは無い』
  『お前に対する不満が沢山来ている』
  『お前に問題があるはずだ』
  『態度を改める様に』

私 『…』

私 『誰がその様な事を言っているのですか』

上司『〇〇と〇〇がお前を注意しろと言った』
  『この2人が言うなら間違いないだろう』

この時私の中に沸々とした感情が、湧き上がっていた事を覚えている
当事者でも無い人が、人から聞いた程度の話を上司に『あいつに注意した方が良い』と伝えたのだと

上司に頭を下げると
私はすぐ行動に移した

現場に赴き先輩を見つけて問いただす

私 『後輩の件、何か知りませんか』

先輩『さぁ』
半笑いで返す先輩にボルテージが上がる

私 『上司に先程注意を受けました』

先輩『へぇ』

私 『あれは私も言い過ぎました』
  『ですが理由もありまして…』

私の態度に何かを察したのか先輩はこう切り出す

先輩『何を怒ってるか理解させて無かったお前が悪い』

私 『…』
一理ある

だが、話を聞くでも無く私を否定し、後輩に肩入れする態度に呆れて物も言えなかった

職場には色々な人がいる
コミュ力MAXの傑物
他人に興味の無い人
陰湿な人達

おそらくこの割合によって職場の雰囲気が決まる
私の職場は陰湿な人の割合が高めだ
そして先程述べた先輩も陰湿な人の1人だ

例を1つ挙げる

私はある時
現場の小さな部屋へ向かっていた
コロナ対策で開け放たれた部屋から数人の
話し声が外に漏れている

陰湿①『あいつ(私)こないださぁ』
陰湿②『わかるわかる』
陰湿③『たいして分かって無いくせに、わかった様なこと言いやがって』

またか
聞こえて無いふりをして部屋に入る

私『おはようございます』
陰湿①②③『おはよう』

陰湿先輩①②③は笑顔だ
きっとこの人達は俳優か何かに向いている

一通りの目的を済ませて部屋を後にした時
ふと忘れ物を思い出して引き返すと

陰湿①②③『アイツよー』

この様な状態が2年程続いた

社会に出て学んだ事が有る
先輩という存在だ
先に生まれた方が偉い
後輩はこう有るべき

こう言った旧態依然な体質が、とりわけ工場のような閉鎖的な空間では渦巻いている

並の努力もせぬまま、先輩であるプライドばかりが成長していくのだ
私の様な是々非々に重きを置く異物は
先輩のプライドに傷をつけかねない

要するに目障りなのだ

上司に相談するも
上司は先輩との仲の良さから私の主張に
取り合ってはもらえず
上司に相談する事も無くなった



私の事が気に食わないのは分かった
だが職場全員が私を嫌っているかの様に吹聴して回っている事については
目的がなんなのか未だ理解出来ない

こんな私にも職場に理解者がおり、陰湿先輩達とのあいだのやりとりを私にリークしてくれていた

そして後輩達の大半が陰湿先輩達を大変嫌っていた

後輩『あの人(先輩)また職場全員があなた(私)の事嫌ってるって言ってましたよw』
後輩『自分たちが嫌われてる自覚ないですよねw』

こんなやり取りが日常なのだ
因果応報とは良く言った物で
陰口の酷い陰湿な先輩達はもれなく嫌われている

ただ先輩であるが故に、その話しは本人達には届かない
結局墓穴を掘っているのだ

私はなるべくストレスから遠ざかろうと
先輩との接触を避けた

おはようございます!
お疲れ様でした!
のみで1日を終える

そうやって過ごせば
関わらないのだから私について何も言わなくなるのでは無いかと考えたのだ

しかし、現実は反応の無い私に陰口は増して行き
私の周りからは『あの先輩達めんどくさい』の声が多く溢れた

職場の仲で私を酷く中傷しているのは主に4人
全体の1割程度でしか無いこの人達が
飽きもせずに陰口を繰り返し
周りを巻き込もうとする

そんな現状を大変めんどくさく感じていた私は
職場を変えてくれと上司に申し出た

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?