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「梅わり器」で青梅を割る~今年もやって来た会津の青いダイヤ、高田梅を割って塩漬けと甘漬けに(2024高田梅その1)

昨年手にしたローカル梅の中でもお気に入りのひとつ、会津特産の「高田梅」。青いダイヤと称されるが、どちらかと言うとダイヤというよりゴルフボール。まんまるでごつごつとした野菜みたいな個性的な梅で、その固さから梅漬けにするとカリカリ、シャクシャクと心地よい食感に仕上がる。

そしてその特性故に、高田梅を扱う際には避けては通れぬある作業が発生する。それは

梅を割る。

梅の割り漬け自体はさほど珍しくないので、梅仕事というと毎年梅を割っておられる方も多いかも知れない。
だが高田梅は大きくて果肉が厚く固いので、割る作業はそれなりの力仕事になる。昨年は用具を持っていなかったため、手持ちのものを見回した末に「包丁で切れ目を入れる⇒木製の小型チーズボードでぶっ叩く」という原始的方法をとった。

何とかなるにはなったけれど、疲れた。疲れました。という顛末と昨年漬けたものは過去エントリに書いた。
その後完熟高田梅も入手して梅干しもつくってみたが、やはり基本的には(産地近くに住み、各段階の梅を適宜入手できるなら別)青梅のうちに梅漬けにするのに向くと思う。この果肉の特徴を活かすのは梅干しよりも梅漬けのようだ。

そんな経験から今年もし高田梅が買えたら「梅わり器」を買おうと思っていたところ、先週末、会津の方から無農薬の梅を2kg買うことができた。

それに合わせてとうとう購入、梅わり器。
大きい。そして至って原始的といおうか、単純この上ないわかりやすい構造である。

梅の到着に合わせたかったので、最速で届けてくれるAmazonより購入。

いくつか商品を見比べた上で最小のものを選んだが、それでも大きい。年に一度しか使わないにも拘らずなかなかの存在感。
材質は「天然木」となっているが、杉のような良い香りとすべすべの肌質がなんとなく民芸品的趣を漂わせる。民芸品の類、好きなんですよね。

ーーというわけで届いた梅を早速洗い、海水程度(塩分3%)の塩水に6時間ほど浸けてあく抜きしてから割り作業スタート。

ざるに取り、水気を切った梅。

一個ずつ包丁で十字に切れ目を入れ(割れ目の線に沿ってぐるりと一周、それと十字をなす角度でもう一周、縦4つ割りになるよう、種に沿って深く入れる

深く切れ目を入れないときれいに割れず、種も外れにくい

梅わり器の根本近くに梅を置き、取っ手を引き下げて割る。思い切りよく、但し力を入れ過ぎないように(梅が砕けて粉々になる)。

こんな感じ。梅の個体によって割れ方は異なり、回して何度か割ったりもするので角度は気にしなくてよい。

綺麗に4つ割りになるケースは稀。大抵2~3片は綺麗に取れ、残り1片に種と半端な果肉がくっついて残るので、包丁の刃先等を使ってこそげ取る。その作業もけっこうな手間だが、もったいないので丁寧に。

そして割り作業を続けているとこの木の香りに癒される

塩漬けにもできない細かな破片や、周りに果肉が少々ついている種は、捨てずに消毒済みの瓶や容器に集め、濃口醤油を注いで1ケ月程度冷蔵庫に入れて待つと風味の良い梅醤油になる。冷や奴に特にぴったり。だしで割って刺身醤油にも。そうめんのつゆにちょっと加えるのも爽やかで良い。

ここに醤油を注ぐ。梅エキスが出て薄まるので濃口の美味しい醤油で

そんな感じで作業を繰り返し、2kg強の3/4程度を赤紫蘇入りの塩漬けに、残りは甘漬けにすることに。

甘漬け用はこちら。
はじめ10%の塩で2~3日塩漬けし、梅酢が上がってから氷砂糖を加える。発酵を防ぐ意味と(砂糖入りは常温放置すると発酵するので注意)カリッとした食感を保持するため、漬けるのも保存も冷蔵庫で。
昨年福島の方から教わった、塩を使わず酢で漬けるレシピ(上の過去記事その3にレシピ有)も美味しかったが、今年はもう少し「甘じょっぱい」を狙って「きょうの料理」のレシピを試してみる。

昨年特に美味しかった塩漬けは、今年はより長く楽しみたくてたっぷり仕込んだ。
昨年の塩分8%はやや薄味に感じたので、今年は10%。ファスナー袋Lサイズに入るだけ詰め込んだ。
こちらは塩、赤紫蘇、ホワイトリカーと漬け材料の全てを入れ、時々揉みながら待つだけ。2週間後ぐらいから食べられるが、1ヶ月経ってからの方が美味しい。カリカリ食感保持のため、やはり漬けるのも保存も冷蔵庫。

レシピは今年も「伊藤種苗店」さんの(pdfをリンクしています)を参考に、赤紫蘇は昨年買って未使用だった市販品。

昨年はなかなか梅酢が出なかったが、今年は10%にしたからか、翌日から順調に梅酢が上がっている。

なお、瓶に入り切らなかった種は小さめのファスナー袋に集めて同量の粗製糖をまぶし、シロップを少しだけ仕込んでみた。これも冷蔵庫で(でないと発酵する)。

あっむしろ発酵させてパン種にすればよかったか!

「でないと発酵」としつこく繰り返すのは、昨年梅味噌をつくろうとして常温に置き、派手に発酵させて無駄にしてしまった(発酵で糖も旨味も使い尽くされた)ことを悔やんでいるから。無知って悲しい……

なので今年は梅味噌を、漬けるタイプではなく加熱タイプでつくりました!という話は近日中に別途書こうと思う。
完熟の十郎梅で美味しくできました。

購入履歴を見ると、高田梅の入手時期は昨年より少し早い。今年も梅の時期はあっという間に過ぎ去るのだろうか。

梅仕事、やってみたいな…と思われる方は、本当にすぐ収穫期が終わって買えなくなるので、試しにひと袋買ってみてください。案外楽しいものですよ。

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