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いつもよりちょっと丁寧につくるちらしずし〜鯛の切り落としの梅でんぶと野菜の具のちらしずし

もうすぐひな祭り。
外出先で雛人形を目にすると、ちょっと嬉しい気持ちになる。
とは言えひな祭りの頃に食べたくなるのはちらし寿司。それも、細かく切って煮た野菜の具をいろいろ混ぜ込んだばら寿司風のちらしが好きだ。

この日のちらし寿司取り分け。具を作っている写真も撮っておけばよかった…

若い頃はちらしと言えば海鮮だったし、その後もちらし寿司にお刺身要素がないのはなんとなく寂しい気がしていたが、近年そうでもなくなった。自分で作るなら海鮮を使う場合も火を入れる。その方が、つくってから少々時間を置くと美味しくなるから。「時間を置くと美味しくなるもの」が好きなのかも知れない。

ちょっと前から試したいちらし寿司のつくり方があった。
瀬戸内あたりの郷土料理を調べていて見つけたもので、当地でふんだんにとれる白身の魚を酢に漬け込む、或いは熱した酢を魚にかけることで、魚の保存性も高めつつその旨味を酢にも移す方法。そのことで酢の味はまろやかになり、味付けしてすし酢に使う。それはいかにも美味しそう!

というわけで、鮮魚売り場で安売りされていた鯛の切り落としを使って試すことにした。瀬戸内風そのままではなく、参考にして自分の好きな味付けで。

考えていたのは、混ぜ込む具を2種類つくること。
1)魚を酢の味に軽く煮た具(美味しくできたらすし酢にも使う)
2)いつもの野菜の具(人参、干し椎茸、かんぴょうなどを甘辛く煮たちらしの具。今回は魚の具もあるので薄味に)

2)に関してはいつも通り。
今回は人参、干し椎茸、かんぴょうをあらかじめ薄く煮て(干し椎茸の戻し汁、ほんだし、みりん、醤油が基本。薄めためんつゆでも。切り方はお好みで)、少しだけ煮汁が残ったところで火を止め、軽く茹でて斜め切りにした絹さやを加えて余熱で味を含ませる。粗熱がとれたら容器に移して冷蔵庫または冷凍庫(翌々日以降に使うなら冷凍が無難)へ。
普段ごぼうや油揚げも使うことが多いが、今回は魚の食感に合わせて柔らかな食感に統一したいのでごぼう不使用。油揚げは、魚があるから要らないかなという感じ。

さて、1)の魚の具だが、部位によってはやや魚臭さがあったので、熱した酢をかけるのではなく煮ることにした。
ふつうの米酢だとやや酢がきつい気がするので梅酢(昨夏梅干しを漬けまくったのでたくさんある)使用。臭みを抜くため、最初に出た汁は絞る。

《白身魚の梅でんぶ・今回の手順》
1)深めのフライパンに魚(鯛の切り落とし1パック、約150g使用)と、魚が浸る程度の梅酢(塩分によっては少し薄める。今回は塩分低めのまろやか&フルーティタイプなのでそのまま使用)を注いで弱めの中火で熱し、煮立つ直前で火を止め、全体をざるに取り汁気を絞って捨てる。
2)絞った魚をフライパンに戻して酒少々を振りかけ、梅酢少々と同量の水を加えてほぐしながら炒る。
3)ざっくりとでんぶ状になってきたら、種を除いて粗く刻んだ梅干し(あまり塩分の多くないもの。少し甘めの梅干しでもOK)大1個を加えて混ぜ、味がきついようならみりん少々を加えて好みの細かさまで炒る。

この梅でんぶがいたく美味しくできた。
勝因はおそらく使った梅酢がまろやかでフルーティーなタイプだったこと。なにぶん昨夏20種類近くの梅干しを漬けたので(下記のとおりです…)いろんな梅酢が現存するが、中でも普段めったに使わない濁りタイプをあえて使った。

「高田梅」という福島のローカル梅の梅干し。すごく大粒(4~5cm大)&超完熟だったため途中でいくつか皮が破れ、梅酢が濁りました

という二種類の具を固めに炊いたごはんに混ぜ込んだところ、酢の味が少し足りない気がしたので梅酢で漬けた自家製紅生姜(いつか記事化します。基本は天日干しして水分を抜いた新生姜を赤梅酢にどぼん!と漬けて2週間以上待つだけ)を刻んで具として加え、さらに紅生姜を漬けている赤梅酢もすし酢代わりに追加。

すごく便利な自家製紅生姜。なんといっても無添加、塩も薄いので日々ばんばん使っています

これで味がまとまった。あとは皿に盛り、錦糸卵をのせるだけ。
あ、右上のガリも自家製(こちらもいつか記事に…)です。ガリも好きなので、新生姜が買える時期に多めにつくって常備しています。生姜が好きなんですよね。

こんな感じで常備している自家製ガリ。使う酢や新生姜によってできあがりの色がずいぶん違います。今回使ったロットは秋の生姜で色がピンクにならなかった

いやー美味しかった。
自分が食べたくて好きな味につくっているので美味しくて当然なのだが、夫も「このちらし寿司すごく美味しいね」と感心していた。説明すると「すごい手間がかかってるんだね」。そう、手間をかけたものはちゃんと美味しくなる。和食は特にそう思う。

ちなみにこの日の食卓全体はこんな感じ。

・鯛のでんぶ入りちらし寿司
・ごく薄味の大根おでん(車麩、こんにゃく)に柚子味噌
・いんげんの梅味噌ごま和え
・めかじきの梅麹漬け焼き
・富山のかまぼこ各種

梅成分多めですね(笑)
やっぱりまだ胃腸炎が尾を引いて、胃腸にやさしいものを作りがちかも。
ごま和えに使った梅味噌は横浜「むめや」さんのお気に入りの品。使われている味噌が実に美味しく、ほんのり甘く上品で飽きの来ない味わい。そのまま食べても美味しいし、茹で野菜や茹で豚のたれ、各種和え物やおむすび等いろいろ使える。

柚子味噌は柚子がある時気が向くとつくる。白味噌と酒、みりんを鍋で炒り、柚子の絞り汁と皮のすりおろしを多めに加えた酸っぱいもの(なので日持ちはしません)。好みの味につくるので美味しい。

おひな祭りにちょっと手をかけたちらし寿司、いかがでしょう?

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