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日本全国魅惑のローカル梅たち

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ひとくちに「梅(梅干し)」と言ってもその個性や味わいは育った地域や品種により驚くほど多様。 梅仕事を始めて出会った全国のかわいいローカル梅(2024年1月現在自分で漬けた、食べた…
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#ご当地梅

減塩+はちみつ(単糖類)で漬けた梅干しは水分が梅酢側へ流出しやすい(2024節田梅その2完成編、2024豊後梅その2完成編)

2024年の梅仕事もようやく完了した。 今年は塩漬け期間を昨年よりもやや長めにとったことと、7月に天候不順が続いて天日干しができず、生梅入手は早かったができあがりは遅くなった。何とか全て無事干し終わってほっとしている。 まだ以下の品種を完成まで書いていないので適宜更新し、それから今年の出来や特に気に入った漬け方・品種等についてまとめて行きたいと思っている。 なお、作業自体は終わっているが、漬け込み期間が3ヶ月必要な中国の甘い干し梅「話梅」、仕上げの砂糖漬けが1ヶ月以上必要な

秋田でもやはり杏は「梅」だった!能代市で重要証言と確証を得る~2024あきたのウメ実態調査③まとめ編

何故か始まってしまった秋田における梅調査3記事め、今回はこれでひと段落。前2回は以下ですので、未読の方は先にお読み頂けると嬉しいです。 人の記憶とは、時にあてにならないものだ。 能代市のある喫茶店のカウンターで、私はしみじみ感じていた。 それはこれを口にしたから。 何故喫茶店で恰も居酒屋のお通しの如く小皿で漬物が出されているか。 それは夫の伯母(義母の姉)の店だからで、同店にメニューは存在しない。行くといつも美味しいコーヒーを飲ませてくれ、居心地も良いのだが、近所の常連

2024あきたのウメ実態調査②秋田市編、市民の台所「秋田市民市場」と秋田の優良ローカルスーパー「せきや」で“あんず‘’の梅漬けと出会う

思いもよらず始まってしまった秋田におけるウメ実態調査、2日目は秋田市での観察結果について。 この日は秋田駅近くの秋田市民市場と、同市の義実家近くのスーパーへ買い物に行った際に梅商品も確認。 市場では主に漬物や佃煮を扱う店舗で「杏梅」の漬物を発見した。見る限り前日五城目で購入した八助梅とよく似た真っ赤な大粒の紫蘇漬けで、その他見掛けた梅商品は紀州南高梅の梅干し程度。地元の梅というとやはりここでも「杏梅」のようだった。 ただ、「杏梅」は特定の品種をさす言い方ではない。杏寄りの梅

「道の駅五城目」で「なにわ梅」の梅漬け発見、やはり八郎潟〜五城目(旧南秋地区)における“梅“とは杏なのか〜2024あきたのウメ実態調査①

先週木曜から土曜まで法事のため秋田に帰省。体温並みの気温が続き、夜も全く涼しくならない関東に比べればはるかに涼しいとは言え、秋田も暑かった。子供の頃とは暑さの質が違う。 到着日は一日自由だったのでレンタカーを借り、普段なかなか行けない〜行ったことのないエリアを巡った。 最初に向かったのは八郎潟〜五城目、井川町にかけての南秋田郡地区。昔は実家と同郡だったので小学校の頃は野球やミニバスの応援でよく連れて来られたが、私的に行くのは初めて。できれば五城目の朝市に行ってみたかったけれ

念願の杉田梅の梅干し(塩の異なる白干2種類)完成!干したての新梅を梅そばと梅おにぎりで味わう(小田原産杉田梅その2・完成編)

稀に見る不作と言われた今年の梅シーズンにおいても、是非とも手に入れたかった念願の希少品種・杉田梅。 レモン並にクエン酸を含むと言われるこの非常に酸っぱい梅が私は大好きで、曾我梅林の「昇珠園」さんに生梅をなんとか予約。届いたたいへん質の良い生梅を、最もスタンダードな塩分18%で塩漬けにして早1ヶ月超。ようやく天日干しできる日がやって来た。 塩漬けした順番から言うと、本来この杉田梅はもっと先に天日干しされるはずだった。だが、この後仕込んだ品種に産膜酵母や皮破れ等のトラブルがあっ

ふるさと納税で取り寄せた福井梅(紅映梅)梅干し3種干し終わり、美味しいゆかりも完成(福井県産紅映梅その2・味の評価は熟成後に)

先週末から今週はじめにかけて、ふるさと納税で取り寄せた福井梅の梅干し3種類を天日干しした。 この梅はたっぷり4.5キロ届いたので、最初に固めの実を1キロ選り分けカリカリ梅に漬け、残りは追熟順に3つに分けて、梅干しを3種類仕込んだ。カリカリ梅は漬けて3週間ほどで食べられるので、既に美味しく食卓に上っている。 最初に干したのはしそ漬け。 干し始めた先週金曜は特に日差しの強い絶好の天日干し日和だった。梅は勿論、赤紫蘇も手でほぐれそうなほどパリパリに乾いて良い感じ。美味しいゆかり

真っ赤に染まった氷見稲積梅と、巻き切れなかった「しそ巻あんず」を干す(氷見稲積梅その2、2024八助梅その2)

昨日から氷見稲積梅の天日干し1回目を始めた。 この梅は予め10%前後の低塩で漬け、天日干しを繰り返して風味を濃くして行く漬け方が産地の氷見で推奨されている。それに従い、天日干し①(2〜3日)⇒梅酢戻し1週間程度⇒天日干し②、と繰り返してみるつもり。 猛暑の関東でもこの漬け方で大丈夫か若干不安だったが、塩漬け中にトラブルは皆無。 また、低塩だと梅酢の上がりが鈍くなりがちな点も心配していたが、程よい時期に程よい量の梅酢が上がり、私が他品種のケアに追われて大わらわの間も至って静か

梅ボーイズ「超完熟梅」の梅干しを天日干し、超大粒でも皮破れ皆無の順調な仕上がり(和歌山県みなべ町産南高梅その2、完成編)

今週もせっせと梅を干している。 今干しているのは福井梅(3日に分けて塩漬けしたのを順番に干している)と杉田梅。そして昨日の早朝に、梅ボーイズさんの超完熟梅が干し上がった。いずれもしそは使わず白干しである。 大粒で実にふっくらとして、ところどころ紅がさした様子もなんとも可愛い。 こんなに大粒なのに、塩漬け中の皮破れや産膜酵母、カビ等のトラブルは一切なかった。素晴らしいことだと思う。 今年もいくつかの品種、産地の梅を手に取り漬けてみて改めて感じたことは、やはり梅農家さんから

今季の新梅(五郎梅、佐布里梅)を梅がゆで食べ比べ~五郎梅の酸っぱさはやはり杉田梅に匹敵(五郎梅その4、佐布里梅その3完成編)

前日に少々食べ過ぎ飲み過ぎてしまい、胃疲れ気味な日曜の昼。久しぶりにお粥を炊こうと思い、ならば格好のお供があった。今朝干し上がったばかりの五郎梅の白干しと、先週干して1週間ほど寝かせた佐布里梅。佐布里梅は皮破れが多くて干すのに難儀をしたが、数日経つととてもしっとりとして美味しそうに落ち着きつつあった。色も褐色が増している。 五郎梅のしそ漬けは先週佐布里梅と同時に干し上げ、ひと足先に味見をしたが、なかなか美味しいしそ梅干し。白干しはどうだろう? なお、しそ漬け・白干しとも、五

今度こそ2024梅シーズン最後の梅購入、「おいしい山形プラザ」で谷沢梅を買って追熟(2024谷沢梅その1)

先般の「石川一号」で最後と思っていた今年の生梅。思わぬチャンスが訪れ、もう1品種だけ買うことになった。 銀座のアンテナショップ「おいしい山形プラザ」で店頭販売していた「山形の梅」こと谷沢梅。安かった…。1キロ720円、例年ならば特筆することもない標準価格だが、不作の今年は激安。しかもあの酸っぱくて美味しい谷沢梅、買わない訳には行かないのである。 もともとはこのポストを見たのがきっかけだった。加えて翌日は自宅マンション工事による数時間の停電が予定され、この猛暑にエアコンも扇

十郎梅の梅干し2種類の天日干し完了~今年の十郎梅しごとは無事完了(2024十郎梅その4、完成編)

先週日曜の朝から天日干しを始めて月曜の夕方に完了とした十郎梅の梅干し①、続いて曇り空の中なんとか干し終えた十郎梅の梅干し②。 これをもって、2024梅シーズンの十郎梅しごとはなんとか無事完了した。 今年の十郎梅は計4kg購入し(1kg+3kgの2回)、先に買った1kgは上の梅干し①に、後から買った方は梅味噌、梅ジャム、梅漬けに梅干し②とさまざまな梅仕事を楽しむことができ、たいへん満足している。 先に完成した梅味噌(過去記事「生梅が3kgあったら…」内)は現在日常的に活躍

「甘い漬け方」が合う梅品種もあるのかも知れない~2年目の節田梅で甘味を使った漬け方に挑戦・節田梅の銘菓「茜姫」お取り寄せ(2024節田梅その1)

昨年の梅シーズン終盤に取り寄せ、迷わずスタンダードな梅干しにした山形のジャンボ梅・節田梅。 今年も何とか購入することができ、テニスボールみたいな丸くてかわいい梅たちを目の前にして、迷った。 昨年は購入分をすべて梅干しにしたが、節田梅は梅菓子にも利用されている。東根市の「茜姫」という銘菓がそれだ。近年では節田梅の収穫量が減っているため南高梅でもつくられ始めているが、元々は完熟節田梅の砂糖漬として開発されたお菓子だそう。 これは是非食べてみたい、と思ったのと同時に、それなら

今季こそ知りたい豊後梅の真の魅力と実力を!数百年続く農家より購入、小粒でもとてもかわいらしい豊後梅(2024豊後梅その1)

豊後梅は私にとって「憧れの存在でありながら、未だその魅力を引き出せていない」課題の品種。 豊後梅を「これ」と好んで漬けている方は多く、その魅力を知りたくて昨年取り寄せ漬けてみたが、どうも思ったほど特徴が出ず課題感が残った。決して悪くはないのだが、きっともっと美味しくできるはず。 どうすればより美味しく漬けられるだろう?塩を変えるか、塩分を調整するか、或いは漬け方を変えるべきか。 豊後梅は全国各地で栽培されている。おそらく産地や作り手によって味は異なるだろう。故に今年はどの地

改めて八助梅の特徴を確かめる(おうみ梅との相違、おうみ梅の由来と謎)〜初めての紫蘇巻きあんずに挑戦(八助梅・おうみ梅その4・2024八助梅その1)

晴れた朝、八助梅を外に干している。 先週届いて一部を塩漬けしていたものだ。 干す前はこんな感じ。 1kg購入したうち、600g強に相当する11粒を10%の塩で5日間塩漬けした。 やはり通常の梅と比べて梅酢の出が今ひとつだったので、念のため途中から冷蔵庫に移していた。 まる1日干して表面は概ね乾いた。もう1日干そうか迷ったが、気温の高さを考えて次の工程に移る。塩漬けで出た梅酢(あんず酢)と砂糖150gで半月程度漬け込む。 塩漬けしていた袋に戻し入れ、砂糖(粗糖)を加えた