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減塩+はちみつ(単糖類)で漬けた梅干しは水分が梅酢側へ流出しやすい(2024節田梅その2完成編、2024豊後梅その2完成編)

2024年の梅仕事もようやく完了した。
今年は塩漬け期間を昨年よりもやや長めにとったことと、7月に天候不順が続いて天日干しができず、生梅入手は早かったができあがりは遅くなった。何とか全て無事干し終わってほっとしている。

まだ以下の品種を完成まで書いていないので適宜更新し、それから今年の出来や特に気に入った漬け方・品種等についてまとめて行きたいと思っている。
なお、作業自体は終わっているが、漬け込み期間が3ヶ月必要な中国の甘い干し梅「話梅」、仕上げの砂糖漬けが1ヶ月以上必要なしそ巻あんずはいずれも漬け込み中なのでこれも別途。

《記事未完》
・白加賀&品種不明(話梅仕込み中)
・節田梅
・豊後梅
・氷見稲積梅
・谷沢梅
・石川一号
・八助梅(しそ巻あんず仕込み中)

《2024完成分》
・七折小梅
・鶯宿梅
・高田梅
・十郎梅
・五郎梅
・杉田梅
・佐布里梅
・南高梅
・福井梅

《微妙》
・千光梅
⇒なんとも微妙な出来でして、どうしたものか…。話梅をまとめる際にでも。

さて、今回は「甘い漬け方」を敢えて試した節田梅・豊後梅の仕上がりについて。

甘いと言ってもしっかり甘くしたい訳でなく、減塩してその分をはちみつと酢で補うよくある漬け方だが、塩だけで漬けた梅干しを好む私がこの二品種のみはちみつを加えてみた理由は、節田梅に関してはお菓子や甘い加工がされている品種だから。また同品種は皮が破れやすく、梅干しにすると扱い難いこともあって今年は別の漬け方を試したかった。

まずは「りんご酢+氷砂糖」で単純に漬け込んだもの。塩は一切使っていない。二ヶ月近く漬け込んだ今、漬け汁も琥珀色で美しく、実の状態も見る限り落ち着いている。

食べてみると、ねっとりと柔らかな食感にりんご酢の爽やかな風味と砂糖の甘さが両方しみて食べやすくはなっている。
が、ピクルスとも砂糖漬けとも言い難い味の半端さ(私の半端な配合のせい)用途としては「これどうなんだ…」と思わなくもない。お茶うけにはなりそうだが、このまま食べるにはややりんご酢が勝ち過ぎているので、結局追ってジャムやゼリー等にしてしまうかも。
なお漬け汁は美味しいので(つまり梅のサワードリンク)炭酸水で割って飲もうと思う。

続いて梅干し。
漬けた量が少ないので梅酢もできあがりの梅干しも少量。

皮が柔らかい品種なので、やはりどうしても微量の皮破れが起きて水分が流出しがち。塩と赤紫蘇で漬けた方も生梅の53%とやや少なめの完成量だが、はちみつを加えた方はより少なく、生梅の半量を切っている。
この後書く豊後梅についても同様だが、はちみつを加えて漬けた場合同程度の砂糖(ざらめ、氷砂糖を含む)を加えた場合よりも実の縮みつまり梅酢への流出が多く起きた。必ずしも良くないことではないが、ふっくらと漬けたい目的で減塩し、その分をはちみつで補う意図でもあったので、その点ではやや誤算。

元々この漬け方は昨年城州白という非常に香りの良い品種で試し、最も美味しくできた方法。故に節田と豊後にも展開してみたのだが、同じようには行かなかった。

昨年私は「梅とりんご酢の相性は非常に良い」と書いている。城州白に関しては確かにそうだった。昨年漬けたこの分を今食べても美味しいと思う。だが、今年漬けた節田梅と豊後梅に関しては、「りんご酢とはちみつの味が強過ぎる」と感じる。

この違いは品種に加え
・使った塩の違い
・〃 はちみつの違い(昨年はマヌカハニー、今年は和歌山産みかん蜂蜜)
の二要素も考えられ、一概にりんご酢のせいにもできないが、最終的には好みの問題と言うしかないのかな…と思う。私が塩だけの梅干しが好きで食べ慣れてもいるので、それ以外が入ると余計な味に感じてしまうのかも知れない。城州白は例外だったが。

故に節田梅についてもはちみつを入れない方が美味しく感じた。今はまだ塩が少し尖っているので、もう少し寝かせた方が良さそう。

続いて豊後梅。
こちらははちみつ入り、塩のみの白干し、赤紫蘇を加えた分の三種類の梅干しを仕上げた。

結論から言うと、こちらも塩だけで漬けた白干しが私には最も美味しく感じる。紫蘇漬けも悪くないが、白干しの方がよりこの梅の良さが引き立つ味だ。

干している途中
こちらははちみつ入り。やはりかわいい見た目

今回の豊後梅はすももやさくらんぼを思わせるフルーティーで可愛らしい小粒種だったので、減塩+はちみつが合うかと思って多く漬けたのだが、判断を誤った。はちみつの匂いが強く感じられるのと、減塩(8%)で漬けたにも拘らずしょっぱく感じる(夫はそう感じないようなので、やはり私の好みの問題かも)。もう少し寝かせれば多少落ち着くとは思うが、ともかく今はそんな感じ。
できあがり重量は、皮破れはほぼなかったが生梅の55%程度。低過ぎる数値ではないが、はちみつを加えていない方と比べて水分流出が多いのは否めない。

なお、梅酢の色が漬け方によりこんなに違った。

梅干しに甘みを加えると縮むというのはよく聞く話で、昨年漬けた梅漬けでもその事例は起き、今回のケースとは少し異なる。「縮んで固い」とか「縮んでしわしわ」とかを防ぐためには最初に塩漬けを行い、梅酢を上げきってから甘味を加えることで防げると言われている。
浸透圧が先に砂糖(ショ糖)の大きな分子に働いてしまうと梅の水分がどんどん砂糖側へ流出して結果的にしぼんで固くなるためで、先に塩の分子(ショ糖より分子が小さい)に反応させることで砂糖への反応は緩やかになる。

今回の件は、塩漬け後に加えたはちみつによる水分流出量が砂糖の時よりも多いという事象。調べると、どうやらはちみつの分子が砂糖よりもさらに大きいからであることがわかった。はちみつは果糖とブドウ糖から成り、いずれも単糖類でショ糖は二糖類。
はちみつの方がより甘く感じられるのもそのためで、だったら砂糖を使えばよかったかな…と思うのは私がはちみつが苦手だからである。くせのないマヌカハニーは美味しいと思えるが、それ以外のはちみつは匂いがどうも好きになれず、上で「はちみつの匂いが」と書いているのは私がはちみつ嫌いで匂いを過度に感じ過ぎているからかも知れない。

そんな訳で、今年のはちみつ入り梅干しは私にとって成功とは言えなかった。はちみつ嫌いの私見ですので参考にはなりませんが、記録として。
来年はおとなしく塩と赤紫蘇だけを使って漬けたいと思います。反省。

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